小幡
「殿。一大事のございまする!」
「なに~?政影くん。飛砲食らっちゃったおかげで、大抵のことには驚かなくなっちゃった」
「そのようなこと、言ってはおられませぬ!キシリ〇様の壺が割れてしまいましてござる。勝手にランキングが勝手にリセットされておりまするっ!」
「ひゃあああ。折角のマの勇者様方に申し訳が立たない~~~。きっと題名替えたせいだ。平に、平にご容赦くださいませ~。折角29位までいっていたのにぃ」
申し訳ございませんでしたm(__)m
2004年12月1日:月刊アスゲー新春1月号
【政賢の野望。待望のVR戦闘機能付きシリーズ販売】
「今回は政賢の野望の派生シリーズとなるFSPをご紹介します。
政賢軍と言えば弩弓部隊と鉄砲部隊。
その分隊を指揮するVRシューティングゲームが登場。
残弾数や銃身の消耗具合による暴発危険性など数多くのパラメータに眼を配りながら迫力満点の戦闘シーンを堪能できます……」
1553年11月下旬
上野国和田城(現高崎群馬音楽センター)
小幡憲重
「小幡殿。先導ご苦労であった。感謝いたす」
武田晴信殿が儂に礼を言う。
6000もの信濃の軍勢が碓井峠を越えるのは至難の業だ。
所々、崖が崩れ危険な場所があるが、それを知らずに進軍すれば思わぬ被害を出してしまう。
戦わぬ内から損害が出ては士気に関わる。
もし西上野の国衆が奇襲を仕掛けたなら容易に壊乱するであろう。
そこを先導するのは大事な役目じゃ。
ひとまず最低限の功は上げた。
「小幡殿。西上野の国衆の内、北条に臣従したこと疑わしいものはどの者かの?」
「はっ。
まず箕輪長野の業政。
こ奴は面従腹背の輩。
努々(ゆめゆめ)御信じ召されぬよう。
既に一族の厩橋長野は大胡に付いて居り申す。
その次に惣社長尾。
これは家宰の足利長尾の一族にて管領家への忠誠が篤い家柄。それから……」
儂は大まかな国衆の状況を伝えていった。
これも大事な役目じゃ。
「して、この和田城は西上野国衆に睨みを利かせる上で良き場所であるかの?倉賀野よりも良いか?」
倉賀野は隘路の要地じゃ。
ここは押さえねばならぬ重要な交通の要衝。
じゃが今回の晴信殿は西上野に睨みを利かせることが目的じゃと聞く。
ならばここが一番じゃろう。
そう申し上げた。
「ふむ。相分かった。
倉賀野に国衆の質が居ると聞いての。
その方が良かろうと思っておったのだが。
地場の者が申すのであれば、そうなのであろう」
確かに。
人質は倉賀野城に集められている。
倉賀野16騎はここ和田城に移され、倉賀野には北条の兵が詰めている。
それを直接見たいとの仰せか?
「倉賀野の人質をこちらへ呼ぶ必要がございまするか?」
晴信殿は、すこし呆れたような眼で儂を見た。
そうじゃった。
あの質は北条に差し出された者たちじゃ。
儂としたことが!
これは評価が下がった。
「まあ質は安全な所に居ればよし。
武田はこの西上野に睨みを利かせるだけ。
それが氏康殿から要望された出陣の目的じゃ。
ゆるりと手並みを拝見するとしよう」
この間にも物見が四方八方へ派遣され、頻繁に出入りをしている。
さすが武田の軍じゃ。
諜報に余念がない。
「御屋形様に至急!」
「通せ」
「昨夜。倉賀野に幽閉されていた西上野国衆の人質。
その全てが闇に紛れて逃亡!
北条の兵が追っておりますが、依然行方が不明とのこと!」
これは!
今はもう午の刻(12時)を廻っている。
そこまで気づかなんだとは。
相当な念の入れ様。
かなり前から手引きが為されていたと見られる。
「ここの国衆、もう北条に愛想を尽かしたか。
武田と上杉と天秤に掛けようとしておるか。
変わり身が早いというか、あっさりしているというか」
晴信殿も信州の国衆相手に泥沼のような合戦をしてきた。
国衆の生き残りが悲惨な事、熟知しているに違いない。
だったら「人質を見殺しにする」ことが当たり前な事など知悉していよう。
西上野の衆は気質があっさりとしているが、生き残りに関しては泥臭いものじゃ。
それが今回はなぜ、このように素早く人質を引き払った?
ここは北条にも賭けておくべきではないか?
今回だけ違う意図があるのか?
「これは、箕輪城を囲む方が良かろうかの?勘助」
「御意」
晴信殿の脇に控えている隻眼の男が答えた。
あれが山本勘助か。
西上野の国衆にはあの者が訪ねて廻ったという。
……なぜ儂の所には来なんだ?
嫌な奴じゃ。
1553年11月下旬
上野国箕輪城
長野業政
真田殿の素ッ破の手引きで人質が帰ってきた。
本来ならば人質を見捨てる覚悟で臨むべきじゃ。
そんな状況に来ておる。
じゃが大胡の政賢殿は、自信たっぷりに「絶対にこてんぱんに叩き潰しますので、皆さまは武田に目を光らせていてくださいませ」と密書を送って寄越した。
そこまでの自信はどこから出てくるのか知らぬ。
そう思っていた、次の日。
更なる密書が届けられた。
こちらは絶対に奪われてはいけないとの念を押され、厳重な警戒と共に届けられた。
その内容は、大胡の兵力概要じゃった。
沼田城駐屯兵
300
岩櫃城駐屯兵
200
渋川白井城駐屯兵
100
箱田駐屯兵
100
厩橋守備隊(長野勢)
500
上泉城守備隊
200
大胡留守居隊
200
華蔵寺駐屯兵団
1100
赤石城守備隊
100
那波城駐留兵団
2500
機動兵団
2500
以上7300(+500の厩橋長野勢)
内訳
常備兵5000
後備予備兵2300
鉄砲常備7000丁
予備……な~いしょ♪
その他いろいろ
だから安心してね。
絶対勝つからね。
皆で自由な上野作りましょ~!
これはまた……
言葉が出なんだ。
いつの間に7000名以上の兵を養えるまでになっていたのだ??
それもあの高価な鉄砲を7000丁以上!
一人1丁。それで長柄や大胡の代名詞となってきた弩弓が配備されているのであろう。
この軍備に立ち向かう氏康が哀れになってきた。
しかし、戦は戦。
何が起きるか分からぬ。
とんだ落とし穴が待っている時もしばしばある。
政賢殿は才があるが、まだ経験が乏しい。
儂が近くにいてやれればよいのだが、遠くで見守るしかない。
それよりも……
武田がこの城に迫っている知らせも来ている。
己が城を守れんようでは、人の心配など出来んわ。
この城、1800が守っておれば3年は戦えるわ!
かかってこい、武田晴信!!
1553年11月下旬
上野国と武蔵国境、八斗島の渡し
北条長綱
50艘近い河船が目の前の桟橋に繋がれている。
もともとこれらの舟の船主の殆どは、関宿を拠点とした商人たちだ。
しかし最近になって大胡に靡く者が後を絶たない。
本拠をこちらへ移した者も多いと聞く。
その川船衆を強引に総動員した。
関宿の主、古河公方足利晴氏は半分北条の虜であるが、未だ独立勢力。
それを動かすにあたり、人質に取ってあった梅千代王丸を送り返した。
そこまでして初めてこの強引な舟の動員が可能となった。
もう本当に己が身を喰らって生き延びる蛸の様じゃ。
後がない。
儂の指揮の元、寄せ集めの軍団10000が続々と河を渡っていく。
此度も情報が少ない。
風魔からの連絡が途絶えた。
もうほとんど使える者がいなくなっているとの報告の後、繋ぎが取れなくなった。
騎馬武者による物見を出し、向こう岸を探った。
討ち取られる者も出たが、大胡の兵は殆どが那波城に引き籠っているらしいことが確認されたのは十分な成果じゃ。
さらに何度にも渡り、四方八方に物見を出す。
奇襲は受けぬぞ。
此度は那波城を囲むことにした。
南に儂の本陣5000
東に2500
北に2500
西は旧利根川が北西に伸びて自然の防壁となっている。
後詰が来るとすれば北側から。
そこには急いで柵を作る。
ここには黒鍬衆とこの軍団で最精鋭の小田原衆2000を配置した。
那波城。
妙な城じゃ。
どう見ても径3町足らずの、低い土塁に囲まれた丸い城だ。
いや丸くはないのかもしれぬ。
所々角張っている。
矢倉はそれなりにあるが、周りが平地すぎて中身が見えぬ。
平城の防御力が弱い性質を利根川から引いた幅広い堀で補っているらしい。
もっと特徴的なのは周りに町がなく、建物も茂みもない。
どうやら大胡ご自慢の鉄砲による攻撃力を最大限に生かす造りらしい。
「長綱様。風魔の小太郎が報告に参ったようです」
今頃まで何をしていた?
使える配下がいなくなったのではないのか?
「長綱様。小太郎にございます。遅くなり申した。那波城の中の様子わかり申した」
小太郎はそこかしこに傷を負っていた。
腕と足を血止めの縄で結んでいる。
相当な戦闘を繰り広げてきたようだ。
「どうした?城まで忍び込めたのか?」
「は。首尾よく敵素ッ破の頭目を生け捕りに。それを囮に内部を見て参りました」
よくもそんな強硬手段に出たな。
もう風魔もなりふり構わぬか。
「那波城の手勢、僅か400。
それも招集した農民兵で長柄も弓も持っておりませぬ。
聞くところによると常備の主力は全て厩橋方面に集中しているとのこと」
400か??
いくら小さい城で堀が深いとはいえ、それでは守り切れまい。
そうか。
偽兵の計をしているつもりか。
あんなに多くの幟を立てて、炊事の煙も多く立ち上っている。
あれも偽計か。
そう言えばわざとらしい場所が何か所もある。
最たるものは、目聡い者が見つけた城に向かう道。
北には豪華な煉瓦?が敷かれており、そこに泥で足跡がついていた。
雨の少ないこの時期、泥で汚れた足の兵などおらぬわ。
それが城の中まで沢山向かっていた。
これは一当たりして様子を見るか。
もしこの情報が本当ならば、すぐにぼろが出よう。
儂は仕寄りの準備を命令した。
大胡城奥の間
楓
「楓様。大丈夫ですよ。
お殿様は強い御方。
皆そうおっしゃります。
今まで負けたことはないと。
きっと今回も勝ってお帰りになります」
絹が声を掛け慰めてくれます。
大胡へ来てもう4年。
大胡には大変慣れてきました。
もうここが私の故郷と思っております。
殿は明るくて、いつも私に優しくしてくれ、お付きの絹にすら気さくに声を掛けてくれます。
しかし、残念なことにまだ子宝に恵まれません。
私がいけないのでしょうか?
毎日お社に参り、祈りを捧げております。
殿は「大丈夫。いつかは生まれるから。だいじょ~ぶよ♪」と毎回慰めてくれます。
それなのに、今回は大戦に出かけると聞き、政賢様のお世継ぎが産まれずに傷を負われたり、万が一お亡くなりになるようなことがあれば!
そう思うと自然と涙が零れてしまうのです。
せめてお世継ぎが出来ていれば安心して戦えるのでは、と思ってしまうのです。
その時、勝手の方から声がして、殿の乳母である福が入ってきました。
「奥方様ぁ。
そんなに気にすることはないですよぉ。
殿さまには強~いおまじないが掛かっているから大丈夫だよぉ」
「そのおまじないとは何でしょうか?」
「それはな、お母様の松様の願いじゃ。
そう簡単には死にませんよぉ」
そんなに強い願いなのでしょうか?
私の願いなどよりも強く長く届くのでしょうか?
私にもその強さが欲しい!
その思いが顔に出たのか。
福が言いました。
「いやいや。
殿さんはきっと今の奥方様が一番好きだと言うんじゃあないかなぁ。
強すぎるのも問題だよぅ」
福は何か知っているようです。
問い詰めるつもりでいると、福が襟元から奉書を出してこう言いました。
「この手紙。
殿から預かっているんだぁ。
奥方様が不安で不安で堪らない時はこれ出してね、と。
できれば読ませたくないけど、と言ってたよぉ」
震える手で急いで中の手紙を出し、読み始めました。
「かえでちゃ~ん。
心配させてごめんね。
そしてありがとね。
こんなこと言うとフラグが立つので言いたくないのですが、この戦が終わったらきっと子供を授かると思うのです。
そういう仕組みになっているので。
詳しくは言えないんだけどね。
ちゃんと僕たちの未来をこれから切り開いていくから。
一緒に歩いてくれると嬉しいな。
末永くお付き合いしてくださいな。よろしくね!」
意味は半分も読み取れませんでしたが、政賢様は必ず勝って戻ってくるつもりであることは、私の胸にスッと染み込んできたのです。
待っております。
私の政賢さま。
段々と、チート業政が使用可能になる気配が……
今暫し、お待ちください~
「殿。拙僧は外交陰陽師として再出発をしようかと‥‥」
「それはまずいよぅ。武田編では比叡山との交渉が始まるんだから、天台僧侶でなくなっちゃうと外交の幅が‥‥」
「拙僧の呪いが、こうも効果があると様々な外交がうまくいき申すこと必定!」
「‥‥それにしては、既に効果が薄れていると思うけど」
「やはり本格的に修行を‥‥」
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