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首取り物語:北条・武田・上杉の草刈り場でザマァする  作者: 天のまにまに
★★嫁も取っちゃうゾ★★

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【来客】朝廷工作もお約束ですよね


 食事のネタも書きたいけど冗漫になってしまうので止めておきます。

 本来の趣旨を充実させます。




 1999年4月29日:ヒストリーキッズQ&A


「Q.昔の貴族は何を食べてたの?」

「A.日本の貴族は強飯こわいいという白米を食べていました。白米を食べるのがステータスだったようです。姫飯ひめいいという現在の白飯もありました。お粥も頻繁に食べられていたようです」


「Q.貴族は平民より長生きしたの?」

「A.平安時代の貴族は平均寿命が30代だったと思われます。栄養バランスの偏った食事と運動不足で、高血圧や糖尿病などになっていたようですね。かえって一般庶民の方が健康な生活を送っていたようです」


「Q.江戸時代までずっと優雅に暮らしていたの?」

「A.武士の世の中になると、持っていた領地を取られて、生活がとても苦しくなっていました。皇室も収入が小さな武士のものよりも少なかったのです。そのため山科言継という人が……」






 1998年3月5日:月刊ゲーム雑誌「アスゲー」4月号WEB版


 新発売アプリ【戦国アイドルknight】


「……今回紅英エンターテイメントより発売された今話題の新アプリ【戦国アイドルknight】。

 この新感覚RPGは今までの乙女ゲームとは一線を画し……戦国の女性を主人公が操り、内政や外交、軍事も【夫への助言】により……そして、破滅フラグを防ぎつつの逆ハーシナリオまでも用意されています……」



注:結構、似たようなのが出ていると後で知って驚き!






 1549年6月中旬

 上野国大胡城大広間

 山科言継



 目の前に、都では想像もつかぬ料理が並べられている。

 というより、今の料理が食べ終わるか否かの瞬間を見計らったかのように、次の料理が出てくる。

 これはまことに珍しいものだな。


 真新しい檜造りの8畳間。

 畳の色も青々としている。

 みやびた掛け軸や屏風は一切ないが、それも坂東の片田舎では詮無きことだ。

 この蒸し暑い時期、殆どの戸をあけ放って景色を眺めながらの食事。

 雄大な坂東の大地、きっと秋ならば遠くの山々が見事に違いない。

 物見ができる程の踊り場のような座敷で食事を振舞われている……

 これで目の前の武人が剛毅か知的な怜悧さを持つものであれば、一つの絵になろうというもの。

 しかし……


「どおどお?ことっち、おいしい?まだね、富国強兵軍備増強安全保障にかまけていて、文化的な所端折はしょっていたので、ぜんっぜん料理まで手が行っていないんだぁ。でも形だけでも整えて見た~」


 今年齢15といったか。

 元服間もない嫁取りもまだな若武者とはいえ、これはいただけぬ。

 お会いした時は立派な身なりのキリリとした明朗な国衆と思ったが、話をしていくうちに見る見るその口調と共に服装と髷が崩れていき、今ではどこぞの悪戯小童に見える。


 しかし、この者が、あの関東管領まで上り詰めた後北条氏の軍勢を退けたとか。

 しかも4倍の兵力差を打ち破り、北条の先手衆を壊滅させ大将を討ち取ったと。

 信じられぬ。

 だが、少しだけ領地の様子を見ただけでも、富強な事はわかる。

 それだけわかれば、私の仕事はうまくいくに違いない。


「これ。これからの献立表ね。いつまで逗留していてもいいよん。やっと赤城の中腹で温泉出たからそっちに行ってもいいし~♪」


 ここへ来る前に駿河の今川、甲斐の武田、相模の後北条に出向き、帝への献金を願い入れたが色よい返事は引き出せなかった。

 ここの所、甲斐信濃武蔵その他の坂東は戦続き、それも凶作を押しての出兵が多いために余裕がないと言われた。

 越後の長尾に行く前に、1年前、偶然なのか? 1万石にも届かない上野の国衆が単独で後北条を打ち払ったとの噂の者に会うことにした。

 大胡政賢というそうだ。

 1万石の身代では大した献金を望めないが、今はたとえ1貫文、いや100文でもよい。

 御上の台所に入れたい。

 そこで見たものが今の料理であった。


「最初のはね、山菜の炒め物とお浸し。

 次は豆富ね。ついでに湯葉も作ってもらっちゃったぁ、おいしかったでしょ。

 僕も好きなんだ。

 主菜は魚だと飽きてると思ったんで、山鳥のローストした奴。

 香辛料ないからちょっと物足りないかな。

 あとは、てんぷ~ら!アマニ油で揚げたから健康にもいいよ。

 最後はでざあと。ぷでぃんぐ~、具がないけどぷでぃん具~。

 お米は白米でよかった?

 明日の朝食はお粥がいいかなぁ」


 まくし立てているが、半分もわからなかった。

 しかし、味はわかる。

 この世とは違ったものだ。

 あの世のものとは思わないが、殆ど全てが斬新で、ここでしか食べられないであろう。


「あと、これ、あめにてぃぐっず。手ぬぐいと歯ブラシ石鹸が入っているから、あとで湯船で旅の疲れ取った後に使ってみてね」


 もう何が何やらわからぬが、ひとまずお礼を。


「此度はこのような歓待、誠に結構なもので感服することしきりでおじゃりまする。大胡の地に来た甲斐がありまするな。この地はまるで坂東の中に一縷の来光が射した極楽の様に思いまする」


「いあいあ。それほどでも……あるよ! 僕の望みはね。この日ノ本すべてに明るいご来光が射すような安寧を作ることなんだぁ」


 なんと!

 ここから出で、日ノ本を変えていくと宣言しているのか?

 これはまた気の早い。


「ですが~、いろいろと旧弊があるよね。それをぶっ潰すつもり。けどすぐにはできないのは分かっています。だから」


 急に居を正し厳かに言うた。


「帝の権威が欲しい。行く行くは帝の権威をさらに高めていく一助となりたい」


 そして小姓が用意した奉書を載せた三方を私の目の前に置く。


「これで帝の宸襟しんきんを安んじ奉りませ」


 お礼と断りを入れ、奉書の中身に眼を通す。

 通したが、目が通り越して落ちそうになった。


「い、1万貫文!!??」

「少なかったですかな。今、大胡の出せるのはそれが精いっぱいでござる。お恥ずかしい」


 桁が1桁、いや2桁3桁違う!

 何かの間違いか?


「この証文は日ノ本の商人司などで引き出すことを可能としてあります。

 毎年1000貫文までの銭を必要な時に計10000貫文まで、京都の角倉殿などでお取引出しくだされ」


 1万貫文あれば、破損の改修に手が回らぬ内裏の修復どころか、今後10年に渡って内裏の収入を支え ることもできる。

 これは相当な見返りを要求されるのを覚悟せねば……


「して、政賢さまは、今後如何様な形での帝の御威光を必要とされているのでおじゃるかの?」


「いいえ。某が必要としているのではござらぬ。

 帝の無垢なる赤子せきしが必要としているのです。

 帝に置かれましては、毎年の新嘗祭にて帝の最大の願いでありましょう。

 それがこの乱れた世、銭がなく毎年寂しいくらいな規模で執り行わねばならぬとのこと、お嘆き遊ばされると聞き及びました。

 大いに天下の安寧・五穀豊穣を祈願していただきたい。

 ただそれだけです」


 これは。

 単なる建前ではないのか?

 実のところは……


「崇高なる心がけ。

 麿は関心いたしましたでおじゃる。

 そのような心がけのお方には何かを下賜せねばと思うのが人の常。

 帝のみならず必ずや殿上人、政賢どのへの御挨拶を致したいと思うのでおじゃるが、どのようなご挨拶がお望みでおじゃろう」



 やはり、このまま何もせず1万貫文を受け取ってしまえば、前例を作ってしまう。

 今後、大名からの官位目当ての献金へ支障が出る。

 ここはなんとしてでも何かを受け取っていただかねば。

 上野介あたりが適当なのか?


「……では。帝の御宸筆ごしんぴつ(帝の文)を少しばかり……家宝にいたしまする」


 !!!

 今上きんじょう様は清廉な方でいらっしゃる。

 まいない(献金賄賂)を献上されても、それの対価に官位などを下されぬ方。

 宸筆を密かに売ることで内裏の御料収入の足しにしている。

 それを知っていて、言っているのか?

 この国衆、ただの国衆ではない。

 この坂東でも都の情報を掴んでいる。

 最近頓に珍しいもの、高価なるものが越後の蔵田屋を通して都に普及しているが、噂によればその元は大胡とも聞く。

 ここに来る間にも、「仁将」「猛将」「知将」との噂を耳にしたが……

 その噂、本当やもしれんな。

 とにかく、献金は頂こう。

 帰ってから参議の方々が対処を考えてくれるであろう。

 私は単なる集金屋でしかない。


「ああ、それと。

 付け足しで悪いんですが~。

 みやびなことを教えてくれる人、こちらにお招きしたいので~紹介してくれるとうれし~ですっ!

 僕は興味ないんだけどね、今度来るお嫁さんに色々教えてくださいな。

 家臣もなんだか張り切っちゃっているので、和歌や蹴鞠とかもいいなぁ」


 変わり身の早い若者であるな。態度がころころ変わる。

 だが、他の大名の厭味ったらしさよりもはるかに好感が持てる。

 とても珍奇だがな。

 蹴鞠か。飛鳥井殿か?

 和歌は心敬殿・能阿弥殿が良いか?

 都に帰ったら、色々と忙しくなるな。

 そうだ、内府殿(後の近衛前久)が武張った話が好きであった。

 しかも1つ違いじゃ。

 大胡の話をすればきっと大喜びするに違いない。


「あとね。言ちゃんに個人的なお願い。


 薬種商売しない?」





 1549年6月吉日

 上野国大胡城寝所

 楓



 大胡に来てびっくりの連続でした。

 由良新田にったの領地と大胡の領地境から大胡城まで、殆ど隙間なく道の両脇に人々が並び手を振って喜んでいました。

 口々に「おめでとうございます」「幸せになってくださいませ」「儂ら一同楓様をお守りいたします」 と、大声で騒いでいました。

 大きな大名家の輿入れの時は何千人もの行列ができると聞きました。

 由良の家もそれほどではないにしても、3百人余りの兵が護衛の行列を作っておりますが、この大胡の歓迎の様子にびっくりしているようです。

 きっと数千ではきかない数の人々が並んでいるのでしょう。

 老いも若いも老若男女、打ち揃って歓喜の声を上げています。

 なんと領民から慕われているお方なのでしょうか。



 その方が今、わたくしの目の前で真っ赤になって固まっています。

 何かブツブツ仰っています。


(賢者とおさらば、賢者は堕落する、謙信に勝てるのか?勝っちゃえ。勝とう!でも一度はナリタヤ大賢者、いあいあ、ここは戦国時代。DTは関係ない!)


 まったく意味が解りません。

 側使えの政影様に先ほど耳打ちされましたが、「政賢様の独り言はそのうち慣れます。独り言に惑わされずに、殿の本当のお姿を見ていただけると幸いです」と伝えてくださいました。


 先の婚儀の場でも鯱張しゃちほこばっておられましたが、きっと女子には慣れておられないのでしょう。

 ちょっと安心いたしました。

 お体も鐘馗様のような方ではなく、小柄である私と同じくらい。

 皆さま「お似合いですぞ」「殿が大きゅう見えまする」「殿がお喋りいたさねば見事な夫婦めおとじゃ」などと囃し立て、一層殿は堅くなられたご様子。


「dddde、でえええ、はははぁはぁ、すぴーすぴー……、これから……ら~、よろよろしくしく……頼みまする~」


「こちらこそ不束ものですが、宜しゅう。お傍にいさせてくださいませ」


 わたくしも初めての事。

 ドキドキいたしておりましたが、子供の様な殿を見てなんだかしっかりせねばと思い、お傍に寄り添うため白無垢の裾を持ちながら立ち上がり、近くに侍ることにしました。






「堕落したのに……極楽じゃああああああああああ」



 上野介どうなるんだろ~、もらうのかなぁ。

 とりあえず、信綱さんは伊勢守名乗っていて、言継卿記には出ているけどこの時代、自分で勝手に名乗っているのが多くて。

 よくわかりません。


あと、いまさらですが、この年関東の諸侯に献金の依頼をしていた奥家さんは、三条西実澄という御公家さんだそうです。

しかし、言継卿の方がわかりやすいのでこのままにします。


 遂に主人公、堕落しました!


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― 新着の感想 ―
[一言] 幕府は要らないが天皇は必要という強いメッセージですねぇ。
[一言] 支援
[気になる点] 長野さんに嫁は暫くもらわないと言って数か月で由良から楓さん嫁入りしてますが大丈夫なのでしょうか? 叱られない?
感想一覧
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