【緒戦】さあ始まるぞ。魔女の大釜
段々とシュタ〇ンズゲートが活発化してまいりました。
世界線が多数できつつあるようです。
いったいど~なるか?
作者もわかっていない気がする(;´・ω・)
1997年7月1日:第3次上海攻防戦公文書開示
「明日予想される敵軍の大攻勢に直面し、各団隊長の訓示を聞いた隊員の感想と決意。
1.北部正面重機関銃座。弾帯保持係。平田寧路二等兵。
怖かった。ひたすら怖かった。けれど、この上海に来て初めて日本に生まれてよかったと思った。
日本人は勤勉で真面目。それでいて優しく聡明なんだと思った。
だからその国を守りたい。
そのために明日はひたすら弾を切らさないことだけ考えて、生き残る!」
1948年6月22日:西プロイセン、フルダ・ギャップ
【D-day】
「先ほどまで東欧機構軍砲兵部隊によって、魔女の大釜のようなカオスと化していた連合軍前哨陣地に駐留する西プロイセン装甲偵察大隊第2中隊の兵士は、壊れかけた掩体壕から這い出てきて配置に付いた。
これからできうる限りの遅滞戦闘を行い、後方主力部隊がフランクフルトまで続く縦深防御作戦の態勢を整えるまでの時間を稼ぐ任務をこなす。
その後の撤退に際し、どれだけ損害を出さずに済むかは前線指揮官の力量に掛かっている。
自陣を見る隊員の視線の先には、中隊長・小隊長らが……」
1548年8月30日巳の刻(午前10時)
赤石砦南方主正面
後藤家譜代家臣:駒形信元(大胡隊第2小隊長)
砦の一重の柵は最終防御線だと言われた。普通は柵越しに弓矢を交わしたり長柄で突き合ったりする事が、砦での戦い方となる。しかし、此度の戦はできるだけ敵の侵攻を遅くすることが目標であるとの命令。時が来て総攻めで敵主力を撃破するまで、なるべく被害を抑えることを厳命されている。
今、私の小隊の兵40が配置されているのは、柵の南方2町(200m)に作られた簡単な陣だ。土俵で作られた土塁の上に矢盾が数枚だけの貧弱な防御であるが、「矢が防げればい~んだよん。こっちの矢が尽きたら後退してね♪」と殿がおっしゃった。干戈は交えず、矢など投射武器だけの戦いのための塁である。できる限り多くの手負いを敵に出すことが目的だ。
この塁の前方1町(100m)には、ずらりと逆茂木が並ぶ。この逆茂木は敵に向けて先が尖るように切り落とした枝を向け、根に近い幹を地面に固定するものだ。大量に作られ始めた鉄でできた金具。この二股に分かれた(U字型)ものを地面に突き刺して固定するため、太刀程度では中々壊すことはできない。
2か所だけわざと隙間を開けているが、そこに敵が入ってきた際には集中して矢を放つことになる。
その前面に私の小隊ともう一つの小隊が配置されている。
北条方はもうその鹿塞のすぐ近くまで近づいてきている。矢を交わせる距離だ。さあ、これから半日が勝負。死なない程度に頑張れと、兵に指示した。
「死んだら命令無視で今日の酒は無しだ!」
と檄を飛ばした。
皆の笑いを見て、小隊の実力を発揮できると確信した。
同日同刻
南部主正面北条方
黒田義直(成田先手武者)
「この木は太刀では切り落とせませぬ。
無理に切りましたところ歯こぼれいたしました」
「地面から抜くこともかなわぬか?」
そうだとの言葉が返ってきた。今回はいらぬと思い鉈を用意しなんだ。あるにはあるが、後方の小荷駄に積んである。
さらにはあの木でできた妨害物に近づいていくと矢の雨が降る。既に手負いの兵が10名以上出ている。
儂の率いる備えは先手に命じられた成田泰季様の配下。足軽100名を束ねている。先手の最先鋒を任された。
もののふの誉れだ。それだけの実力があると自他ともに認めている備えである。それが既に1割の兵を失っている。
何とかせねば……
「あの入り口は罠であろうが、矢盾を2名で持ち上げその陰に隠れて仕寄るぞ。弓を持っている者はできるだけ援護せい。その間にあの小癪な木を何とかせい」
儂が先頭に立って矢盾で仕寄り、一気にあの塁を抜く。太刀持ちの足軽50もいれば、5間まで仕寄った後、全力で駆ければ一気に片が付く。
「仕寄り、準備できました」
一つの矢盾に5名が隠れ前進を始める。よし。敵は一射しただけで諦めた。今頃、動揺しているだろう。士気はこちらが高い。
そう思ったとき……
前を行く矢盾が吹き飛んだ!?
ここまで近づくと見えてきた。敵の矢盾に隠れて、巨大な弩弓がいくつも配置されている。また1つ、矢盾が吹き飛び、兵が3名ほど後方へ飛ばされた。大けがを負ったものもいる。
このままでは、まったく戦わないうちに我が備えが壊滅してしまう! 大声で撤退を命じたが、先の場所まで帰り着く足軽は何人いるだろう。
そう思った時、足に激痛が走る。
儂も後退できるか、怪しくなった。
南部正面戦力比
350vs1600
戦闘後
350vs1500
1548年8月30日巳の刻(午前10時)
赤石砦東正面
三ツ木弘敏(那波家足軽大将。右翼迂回部隊)
そろりそろりと雑木林を進む。下生えに何かが隠されていて罠にかかるのはかなわん。手槍で足元を探りながら足軽が先頭を進む。手斧を持つ者もいる。
ここは赤石砦東方を流れる粕川西岸に沿って南北に伸びる草叢と雑木林の中だ。儂の備えはこの茂みに沿って北上し砦東門を守備する敵後方に出ることが目的じゃ。そして東門の守備隊を南北から挟み撃ちにして、東門を攻略する。若しくは、そのまま素通りして北門を狙うこともあるやもしれぬ。東門南部で腰を据えている殿を軸として、左回り(反時計回り)で包囲する形となる。
見える敵は200。これを700で包囲だ。主になる柵の前方に出ている敵の備えは、殆どが長柄を立てて防備を固めている。その後ろに弓兵でもいるのであろう。馬出しの部分だけ柵は二重となっている。左右の矢倉には、10名も上がれないだろう。
勝った、と思った。しかしそれは早計であった。
「申し上げます。前方雑木林。黒松の多いところで鉄の縄が無数に張ってあります。切れませぬ!」
やはり、仕掛けがしてあったか。
「罠はないか?」
「いいえ。近寄っても何も見つけられません」
これは、ここは通さない! 見えるところに出て行け!! という事か。左は西の砦から3町、荒れた田畑が広がり丸見えになっている。これは殿に報告後、指示を待つか。
多分遊兵化しないように叢を出て右翼に合流することになろう。
同日同刻
赤石砦東正面南東矢倉から15間(30m)
那波宗俊(結構焦っている北条勢右翼700の指揮官)
使い番が最右翼の前進が不可能なことを伝えてきた。鉄の縄が張り巡らされている?
どうやって? という疑問は、今はおいておく。これで回り込んでの伏撃はできなくなった。右翼に合流せよと使い番を返す。
砦内部は土塁に囲まれ見通せないが、あの東門に200が配置されているという事は、正面に300から400。
西と北にそれぞれ50で100。
700が配備されているわけだから、総動員しても1200程度である大胡だ。
後詰がないことは確認してあるから本城などの留守居に100置いておくとして、あと400がまだ確認されていない。
それが砦内部にいる本隊か?
それとも別動隊が外にいるか?
わからぬ。
殆どの物見が帰ってこなかった。それでも強引に城攻め(フンッ! たかが砦攻めだがな)を開始したのは、もうすぐ刈り入れ時だからだ。儂の都合に合わせておるのじゃから、ここはなんとしても一番乗りせねばならぬ。
あと四半刻で完全に包囲できる。なるべく叢などに隠れるよう移動するため時間がかかる。これならば同じ速さになるかもしれない矢盾を持っての移動をした方がよかったか。儂の陣取る場所を旋回軸としての移動だから、先の三ツ木の備えが遅れている。儂がここに陣取ったのは、こちらに目を向けさせ右翼の移動に気取られぬようにと考えていたが、これも裏目に出たか?
その時、左の上の方から声が聞こえてきた。
でかい声じゃ。
「おお~。そこに見えるのは、赤石城を由良ちゃんに取られそうになって燃やして逃げちった臆病……おっと失礼、腰に羽が生えているくらい軽~い、那波宗俊殿じゃぁないですかぁ?
どうせならここまで飛んできたらいかがかな~。ここには大将である大胡の政賢様がおられますよ~♪」
あ奴。大胡の松風か!?
大男に負ぶられて、大見えを切っておる。
阿呆か?
「人に負ぶさって言うセリフではないのう! 松風の坊主!
登ったはいいが、高いので怖くなり降りてこれなくなったか。もうすぐ戦が始まる。戦の間、そこで指をしゃぶりながら見ておれ!
経験の浅いガキの作戦と本当の戦い方の違いを見せてくれる!!」
「ああ、これね。今度はおんぶされなくても見られるように台を作るね。その時もう那波くんは、相手にならないけど。だって地獄に送ってあげちゃっている後だから~♪」
くっ、言葉合戦か。
相手は口から生まれてきたという噂もある童だ。
かなわん。と思っていると、
「那波ちゃんの相手をするのに矢はもったいないなぁ。
これでも喰らって倒れていてね~」
いつの間に大男の背中から降りたのか、前を開けた松風が矢盾の間から尿をし始めた。
ぬぉお!
そこまで人を小馬鹿にするか??
さらには、尻を捲り尻をこちらに向けて、ペンペン音を立ててはたきおった!!
「ええい! 弓兵、あの小僧を必ずや射殺せ!」
矢が何本も飛ぶが、その時には矢盾の隙間は塞がれており、顔だけ少し、上から出されたり引っ込んだりしている。
「火矢だ、火矢を射かけて、燃やせっ!」
火矢を射かけても先ほどの矢もそうであったが、矢盾にはじき返される。
くそっ! あの矢盾は鉄で出来ているのか?
こうなったら矢倉ごと引き倒してくれるっ!!
「縄を持て! かぎ爪で引き倒せ!!」
今度は縄が何本も伸びるが、先ほどの大男がすかさず切り捨ている。何本か足桁に掛かるが全く微動だにしない。
どうやら柱にも所々鉄が使われているらしい。
そうこうするうちに、敵もこちらに向けて矢を放ち始める。
儂の兜にも当たった。
矢盾に隠れて指揮をすることになる。矢倉は弓兵で牽制しながら突撃を繰り返させるか。
既に南では戦が始まったらしい。
こちらも前進を開始する号令を掛ける。
いよいよ憎っくき大胡の陣を崩壊させる時が来た。
段々、戦術チートも出てきたので、専門用語が出てきてしまいます。
これを当時の言葉に直すのが……大変”(-“”-)”
大胡の兵の言葉がたまに変なものになるのは見逃してやってください。
そのうち改稿するかもしれません。
実は1980年代に流行った第3次世界大戦ものの小説が好きでした。
むか~しむかし、ボードゲームのSLGで第3次大戦ものをやっていた記憶がこれを書かせました
(*ノωノ)
続きが読みたい!
魔女の大釜みたいな戦場が見たい。
第3次世界大戦ものの作品見たい。
撤退戦の見事さとか見たい!(あ、そこカットしちゃった。アウッ)
そんな風に感じた方はブクマと★を1つでも結構ですので付けていただくと大変励みになります。よろしくお願いします。
作者、病弱故、エタらないように★のエネルギーを注入してください!なんとか最後まで書かせてくださ~い




