SS4:大胡牧場の決闘
サブテーマ
【おっきなお友達】
1557年2月中旬
上野国那和城下
後藤透徹
ようやっと我が家に帰れる。
半年に渡る里見との戦、太田の奴に付き合わされてようわからん戦をした。官兵衛ならば説明してくれるであろうが、太田の彼奴はニヤニヤするだけで指図だけ済ませてさっさと行動を始めやがった。
まあ聞いても分からんからな。ただ時がくれば突き進むのみ!
殿も「それでいいよん。段々と勉強していけばいいんじゃない?」と仰ってくれる。
先程まで那和城の殿の居室にて、明日から当分の間、部下に訓練指揮を任せて己自身を鍛えよと仰せつかった。
華蔵寺まで毎日通い、戦術や統率、補給や兵への手当・士気の維持など、様々な事を覚えよという。
あとは……なんじゃ? 「子供の喧嘩相手」を用意したとか。何者じゃ? それとどう付き合うのか? 何故?
考えても無駄じゃな。殿の命に従って居れば大抵うまくいく。何か理由があるのであろう。
騎乗しての帰り道。少し愛馬を休ませるために利根川の河原へ降りた。儂の屋敷は城と八斗島の渡しの中間にある。最近は街道筋が発展してきた。お城の周りの冥途坂には建物は建てられぬので、その南に大名で言えば武家屋敷に相当するものが立ち並んでいる。
その屋敷を商売相手にしているのだという店が並んでいるのだ。儂の屋敷は一番城から遠い。普通ならば一番近い所に重臣の屋敷があろうが、儂の屋敷はちょっとした砦のような構えになっている。
南からの侵入を防ぐための施設だという。大任を負かされて嬉しいぞ!
河原に降り、馬に水を飲ませる。此奴は殿から下賜された稀に見る巨躯の馬だ。陸奥へ調略のため智円坊主が出かけた際に、伊達晴宗という奴との友好関係を結んだ。その贈答品だという。
儂よりも造詣が深い殿が儂に代わって名付けてくれた。
白石鹿毛、という。
やはり殿の悪ふざけらしい。殿はよく人の名前で遊ばれる。武蔵の小僧の名前ではそれを聞くたびに腹を抱えて転げまわっている。公方の前で二刀流を披露した帰りには、帰り着く前に10度以上道端で「ヒイヒイ」笑い転げていたそうじゃ。
きっとこの名前も殿の諧謔が含まれているのじゃろう。
だがそのようなことは良い。殿が喜んでくれればなんでもしよう! 単純馬鹿で何が悪い!
この利根川の上流から吹き下ろしてくる空っ風のように、大胡の敵を拭き散らして震え上がらせる。ここは風の神様に守られた土地。越後の長尾政虎が毘沙門天の化身とか言うておるが、儂は「風の神」風神じゃい。
そうなると雷神は誰じゃ? あの是政か? 雷のような銃撃、そうじゃな。今度、そういっておだててやろう。たまには儂もそのような事を言えると皆を驚かしてやろう。
川上で童が水切りをしている。平たい石を拾っては川に投げ込んで何度跳ねたかを争っている。
その横に儂と遜色ない程の巨躯をした武士が尻を踵の上に降ろし、つま先立ちをしている。両肘は太腿の上。頬杖をついて眺めていると思えば童の声を掛けて囃し立てている。
おっと立ち上がった。やはり背丈も儂より少しだけ低い程度だ。でかい。動作からすると相当しなやかな動きが出来よう。
何をするかと思えば自分で拾っていた石を、一番上手そうな童に与えた。どうやら同時に投げるらしい。
大男の投げた石は20個以上の波紋を残して沈んでいった。
……こいつ、所作は童のように見えるが、武者働きをすればきっと相当な波紋を投げかける奴なのであろう。
いずれにせよ彼奴からは殺意がない。それに丸腰だ。警戒を解いた。
白石が水を飲み終わったらしく、草を食んでいる。そちらへ目を向けた少しの間にその大男の姿は消えていた。
彼奴は忍びではないだろうな?
気が抜けぬな。後で幸綱の奴に調べさせよう。
翌日
「ああ、それは多分滝川殿でござろうな。本人は前田で良いと言っており殿も「それがいいね。わかりやすい!」と仰っているので前田殿で通されている。ひょっとこ斎とでも呼んでくれとも。気取らぬ……傾奇いた方ですな」
幸綱の奴、最後の方は笑いを精いっぱい堪えていた表情であった。どんな奴なんじゃ?
今日も華蔵寺で頭がはちきれんばかりに色々と捻じり込んできた。しかしのぅ。明日には大体忘れておる。東雲の奴が真面目腐って「何度も何度も声に出して読む。それを毎日ですぞ」とここぞとばかりに威張り散らしてくる。
「なにお!?」と思うが、これも殿の御為。皆が幸せになるため、そして官兵衛への手向けじゃ。官兵衛がいなくとも儂の隊が一番の戦力にならねば!
昨夜は半年ぶりの帰参故、家では大騒ぎじゃった。上の娘2人は嫁ぎ先が決まり、大分おしとやかになったがそれでも久々に酌をしてくれた。以前は「明日の朝臭くなるから嫌ですっ!」と言うておったが、嫁ぎ先の者も酒飲みと聞き我儘を言わなくなった。
だがやっぱり時期が経つうちに「かかあ天下」になるんじゃろうな。儂のお慶のように……
「今帰った!」
いつもの様に「普通に」帰りの挨拶をする。
だが……返事がない。奥の方で笑い声がするから皆いるのであろうが。
今から廊下へ盆を持って笑いながら出てきたお慶に声を掛ける。
「今帰ったが、誰かいるのか?」
草鞋が置いてあるのを指さして問いただした。でかいな、この草鞋。儂の物とそう変わらん大きさ。
「ふふふ、へんなお侍が貴方を尋ねてまいりまして。なんでも殿のお指図とかで」
?
そういえば「武略に長けたものから教わるだけじゃ詰まんないでしょ? お友達連れてきたよん。仲良くしてね~」と仰っていた。そいつか?
ならばきちんと礼を正さねば。
「奥へ行く。正装の支度を」
裏の渡り廊下を通り奥へと向かう。その間にも娘たちの「キャッキャ」という歓声が聞こえる。相当に面白い奴らしい。もしかしたら昨日の大男か?
彼奴なら子供に好かれそうじゃな。儂の場合は逃げていくか、髭を引っ張りに来てどやされるかだが。あれはどうやら触れるかどうかを賭けているらしい。実害はないから遊んでやっているが。女児には怖がられるな。
お慶が声を掛けて居間の襖を開ける。
「お待たせいたした。某、大胡左中弁政賢の次席家老、ゴホン。今は第1機動兵団団長を拝命して居る、後藤透徹と申す」
立礼してから円座に腰を下ろす。
!
目の前の大男に色とりどりの織物が纏わりついている。
なんと!!! 全て儂の娘たちではないか!?
流石に貰い手の決まった長女次女は脇に控えているが……
く、悔しいぞ!!!!
儂の事を殿は「瞬間湯沸かし器」と言っていたが、一気に血の気が上った。しかし殿の客人か? 失礼があってはならぬ。
「し……して。某の屋敷に何用でござるか?」
大男は娘たちに脇の行くように諭した。ムムム、娘達があのように素直なのは初めて見る。クゥ。
大男はこちらに半身を向け直し、両の拳を床につけ惚れ惚れするような優雅な所作で礼をとってきた。
「失礼仕った。外でお待ち申し上げようかと思い、門前で立ちん坊をして居った所、それを見かけた娘方が遊んでくれとこの居間に通され申した。
改めて。某、甲賀の住人滝川一族の末にて滝川一益の弟、滝川政大……いや、これは戸籍上の物で殿さんは「前田慶次でいいよ。もしくは穀蔵院忽之斎か飄戸斎でいこう! でね、ひょっちゃんって呼ぶよ」と。面白い御仁ですな。あの大名は。あ~っははは!」
やはり殿は名前で戯言を言われているか。
だが!
此奴はどうも気に障る!
殿が「最初の1呼吸の間で人の印象は決まっちゃう」と申しておった。此奴は見た瞬間から「イヤな奴だ!」と感じたぞ!
「再びお伺いし申す。この屋敷に如何様な用向きが?」
その男。一番下の娘に手を振りながら答えた。
「殿さんのお願いで後藤殿の遊び相手になってやれと。よって遊びに参った」
一々ムカつく奴だ。殿の事を「殿さん」。そう言ってよいのは昔からの付き合いである佐野のおっさん位な物。新参のものが馴れ馴れしいわ!
「あ、遊びとは如何なる要件ですかな。石切り勝負でも所望したくて参ったのか?」
厭味ったらしく言うてみた。あの戯れ。どう見ても自分が楽しんでおった。ここへも囲碁か何かをしに来て儂に能書きを垂れに来たのを独楽ッしゃくれていうたか? それとも相撲か?
「いや。殺し合いをせいと」
ニヤニヤ笑いながらも目がギラリと光る。
そういう事か。儂に「手加減しなくてよい敵」を用意してくれたのか。やはり殿は分かっていらっしゃる。儂の今一番欲しいものじゃ。
「これは面白い。お相手致そう。慶、物干しの竹を2本用意いたせ」
「いや。やはり殺し合いは得物が実戦と同じでなくてはな。俺の得物はあれじゃ」
指で差し示した場所は、いつも儂の仁王丸が掛けてある欄間だった。そこに見慣れぬ朱塗りの槍が掛かっている。
「貴方。あまりにも長い故、置き場に困り取り敢えずそこへ納めさせていただきました。御免なさいまし」
くううううううう!!!!
おのれ!
儂の家。儂の家内にその長い一物を差し込んでいただと??
許さん! 断じて許さん!
「表へ出ろ! 成敗してくれる!」
儂は娘が12人がかりで持ってきた仁王丸2号を掲げて、中庭へ出る。ここは下に白い細石が敷き詰められている。忍び除けだ。足元が面倒でなくていい。思いっきりぶちのめしてくれる。死んでも知らんぞ!
「お~。頭に血が上ってるねぇ。それでよく大胡の最強部隊を率いられるもんだなぁ。直ぐに言葉合戦で操られないか?」
ひっ、人が一番気にしている所を!!
大男、前田慶次は欄間から片手で自分の朱槍を、ヒョイと掴んで中庭に出てきた。そんなひょろひょろ槍など儂が……いや、違う。この槍、芯が鉄だ。鋼かもしれぬ。儂の仁王丸と同等の槍だ。それを片手で軽々と。
侮ってはいかぬ。心を静めよ。伊勢守殿が言っておった呼吸にて沈めてから言うた。
「し合う決まりはなんじゃ? 殺し合いか? それは困る。どちらが死んでも大けがを負っても殿に、大胡に迷惑じゃ」
前田慶次は、ふぅ~ん、というようにこちらを見る。そして言った。
「面白くない奴だが、面白い!」
何だかよく分からぬが、鞘付きの槍での試合が始まった。
同日同刻
前田慶次
面白い奴だ。
いや。初めて見るぜ、初めて会った。
これだけ馬鹿真面目に主君の事を思いながら、自分を高めようとする。だがそれが叶わない。こんな奴はいくらでもいる。それこそ掃いて捨てる程な。
織田でもそうだった。前田の利家ってやつも表面では信長の忠臣であった。だが出世欲の塊でもあった。功名功名と血眼になっていた。
それがどうだ。此奴は何のために戦う? 何のために大胡に忠誠を誓う? 殿さんの為か?
その答えは「とりあえず娘達から」聞いた。
「自分たち家族を守るため」
「お嫁に行く先を不幸にしないため」
「日ノ本をすべて大胡のように豊かにするため」
「死んだ官兵衛という義理の兄の為」
最後の奴が一番気に入ったが、何かが違うんだよな、此奴。
それは戦ってみればわかる。
此奴、片鎌槍か。
こっちは素槍だ。中に鉄を入れて勝手に朱で染めた簡単な造りだ。それでも普通の者にはとても扱えないどころか、大の大人が持ちあげるのも苦労するであろう。これをぶん回せば大抵の武者は吹っ飛ぶ。
だがこのような長さの槍、2間半はあろう。長物同士の戦いともなれば槍を前に構えて突くのが正当な戦い。すると断然片鎌槍の方が有利だ。絡めとられる可能性が高い。そこを突いてくる。
さて、どうするか。細石を蹴り散らす事も出来まい。届かぬ。これは場所を改めるしかあるまい。どうせ此奴は言葉で言いくるめられるような頭の軽い奴だ。
「おや? ここでやりなさるのか? ここは戦場ではなかろう? 戦人ならば戦場と同じ環境で戦うのが筋。どこかそのような場所はござらぬか?」
簡単に乗ったわ。
まあ、おれもそれを望んでいるがな。段々と血がたぎってきた。右腕が震えだす。俺の奥底に沈んでいる何かがムクリと目覚めてきた。
同日1刻後
大胡西方富士見野大胡牧場
後藤透徹
風が強くなってきた。枯草と砂埃が目に入る。よしっ。これなら実戦と同じだ。足場も所々凹み、たまに馬の糞があり滑りやすい。それを躱しながらの戦闘が本来の稽古。
あいつも案外いい奴かもしれぬ。殿の意を汲んでおる。
「では手加減なしだ。半殺しまでに致そう。致命傷は避けるぞ」
右から吹き下ろす赤城おろしが両者の間5間(10m)を砂埃で遠く感じさせる。
「おうよ。殿さんに泣きつかれるのは勘弁だからな。半殺しまでだ」
「ぬかせ!」
儂は小股で素早く近寄る。勿論、大股で走るなど阿呆のすること。足を取られて死ぬるわい。
あと2間に迫った。小手調べの突きを小さく入れる。右側に逃げた。儂は穂先を下へ向け落ちていた小枝を奴に向けて投げつけるとともに懐へ入ろうとする。槍を短く持ち替え斬撃を狙う。
だが奴は異様なまでの跳躍力を持って遠くへ逃げる。
どうにか風上へ向かわせずに済んだ。
風下に立つのは致命傷となる。
この砂埃はとてつもない武器だ。
……いや、もっと強い武器を見つけて、儂はほくそ笑んだ。
前田慶次
このおっさん、やっぱ強ええ。
これが本当に「おつむの軽い武将」か?
さっきから俺の動きに対応するばかりか、先読みして立ち回り、あろうことか俺に罠をし掛けやがる。
風上は取らせてもらえねぇな。それをする間にそれを見越したぶん回しが来る。
突けば振り下ろすか、かち上げ。危うく槍を絡めとられる。10年の歳の功か。潜った戦の修羅場の数で負けている。体のしなやかさはこちらが上であろう。だから今のところ避けていられる。体力はどうか? 向こうはもう40手前。一回り違う。だがもう半刻も戦っているのに全く衰えを見せない。
流石、大胡の突撃隊長だ。
そうも言ってはいられねえな。そろそろ腕が痺れてきた。彼奴も多分同じだろう。前よりも槍の速度が遅い。それに持ち方を頻りと変えている。今は完全に左手を後ろにして構えている。
そろそろ決着だな。
おっ、奴。糞にでも足を突っ込んだか。ずるりと体が泳ぐ。ここで突いても多分同じ事の繰り返し。俺はこの機を逃さず彼奴の北側に移動する。これで一気に決着をつけてやる!
「そろそろ決着か。風下はきついがそのような事関係ないわい。いくぞ!」
「おう! いい試合だったぜ!」
ついつい口に出してしまった一言に、奴はニヤリと笑いこういった。
「殺し合いじゃなかったのか? ひょっとこ斎よ! 倒したらその面ひょっとこの仮面をつけて野ざらしにしてやろう!」
此奴!
俺が自分で言うか、命を救ってくれた殿さんが言うのは問題ねえ。だがこんな奴に言われたくねえぜ。
「いくぞ!」
俺は奴に向かって足を踏み出した。
そして転んだ……
後藤透徹
手が痺れて動かねえ。
遂に仁王丸を取り落としてしまった。足もがくがく。膝をついて前倒しに倒れてから半分横に転がり仰向けに大の字になる。
隣には馬の糞で足を取られて転んだ所を、胴を強かに打たれて転がっている前田という奴。同じく大の字になっている。
もう腕に力が入っていなかったせいで、大した威力のない打撃だったはず。だがまだ起き上がらない。
フフフ。フゥア~~ハハハア!
急に大きな笑い声が聞こえてきた。まあ腹が痛そうなので、此奴に取ってはそれほど大きくは無いのであろうが。
「おもしれえ。あんた。頭、悪い悪いと思い込んでいるだけじゃあねえのか? 周りもそう囃し立てる。だからそう思い込んでいるだけだぜ。
本当の馬鹿はあんな立ち回りは出来んさ。風上にわざと立たせて馬の糞踏ませやがって! それを戦場でやればいいだけじゃねえかよ。まったくおもしれえ」
……何を言っている。
儂は単なる馬鹿で……
「あんた、俺に似ているな。周りには理解されねえ。自分の中に眠っている何かを出したいがそれは戦場でしかできねえ。だから俺は鬱憤がたまって傾奇いている。あんた、それを紛らわせるため自分で自分を馬鹿と思っているんじゃねえか? 周りと違う自分を」
周りと違う自分。
そうだ。
儂はこの身に「獰猛な何か」を飼っている。それが滾りに滾る時、それを戦場でぶつける。それを周囲にまき散らせば凄惨なことになるのは小僧の時によくわかった。親父に良く殴られた。「お前は馬鹿だ」と。それが今の自分を作ったのか?
「おもしれえな。隊長さんよ。今度またコロし合いしようぜ」
儂は首だけ奴の方に向けて言った。
「おうよ。今度こそコロしてやるぜ」
同日同刻
ちょっと離れたところ
長野政影
「あ~あ。長かったね~。同じ態勢でいたんで腰疲れちゃったよ。ついでに手のひら握りしめすぎて痛いのなんの」
殿があの二人に見つからないように丘の上から降りていく。某も殿の影のように追い慕う。
物干し竿か何かを使うように言っておいたのだがまさか真剣勝負とは。いつ首が飛ぶか、風穴があくかハラハラドキドキして殿は声を出さないで百面相をしておられた。
「ここからじゃ、なんの話をしていたかわからないけど、まあすぐには仲良くはならないでしょ~。でも心が通じ合うと思うんだ。なんだか似た部分あるでしょ? あの2人」
それは某も感じでいた。後藤殿はいつも何かにイラついているようにも見られた。それを隠す癖が幼いころからあると是定殿が仰っていた。あの前田殿の傾奇き方も同じという事か?
人間、心の奥底のものが性格に大きく影響するのかもしれぬ。某は何かを守る事。多分幼き頃よりお松様、それに殿を見守ることを続けてきた。これがおせっかいとも取れる性格となったのであろう。
では殿は?
よくわからぬ。もう20年もお近くにいるが未だに全くわからない気がする。だが一つだけ言えることがある。
それは殿がこの日ノ本の住人たちのために大きなことを為す。これに人生すべてを賭けているという事だ。
目の前で馬の糞ですべって転んでいる殿がどれだけのことをなさるのか。失敗を重ねつつ、それを糧にして新たに一歩を踏み出す殿を
お支えしよう。
そう思いつつ殿の腕を取り、立ちあがるのをお手伝いした。
砂塵舞い上がる大胡の牧場にて。
いつもお読みくださり誠に感謝しております。
★評価やブックマークをいつもありがとうございます。




