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首取り物語:北条・武田・上杉の草刈り場でザマァする  作者: 天のまにまに
★★初陣だゾ★★
18/262

【初陣】酒配り?楽でいいじゃん。ロジスティック考えてればね



 上泉信綱の息子って、伝説によれば結構策士だったようで。

 (ほんとかどうかは別)

 それなりに活躍させたいです。






 1993年7月7日:小説家になっちゃえ

【戦国時代で儲かる特産チート考察】


「石鹸:難易度E:価格帯D:需要B。西日本ならばハゼの実や椿の実を使用で効率的。戦略物資になりえる。量産は油脂の入手に依存。松根油が使えれば最強。 


 清酒:難易度Ⅽ:価格帯Ⅾ:需要C。北陸日本海側以外は冬季の寒さがゆるい。良質米の供給の制限。杜氏と酵母の確保が難。競合する僧房酒などがある。


 焼酎:難易度D:価格帯C:需要B。1550年ころに大陸から伝来。その前ならば超貴重品。単式蒸留器は製作が簡単。高濃度アルコールは戦略物資。


 干し椎茸:難易度B:価格帯:S:需要E。菌が苗床に定着するかは偶然。


 朝鮮人参:難易度B:価格帯S:需要E。輸入でき、なおかつ作付け地を山間部に限定して転作でいける?地味を痩せさせることに注意。


 銑鉄:難易度S:価格帯C:需要A。ベッセマー法は不可。高炉は耐熱煉瓦さえ確保できれば……」




 1993年7月30日:ミリタリー雑誌「HQ」


 用語集P-33


 【参謀旅行】


 「18世紀ヨーロッパの陸軍大国、プロイセン王国にて日本陸軍より招聘された桂太郎少佐が提案しヨーロッパ初の参謀本部が発足した。

 桂はプロイセン陸軍将兵が机上演習の理論的な知識から抜け出せず、応用力や瞬発力の欠如を補うために参謀候補の陸軍大学学生を連れ数多くの旅行演習を行った。

 その際にはプロイセン領の地形を生かした……」







 1546年4月下旬

 上野国大胡城大広間

 長野政影(祐筆というか秘書役の方が正確だと思う役職)



 本日はここ、殿の御前に大胡家の主要な家臣が集まった。戦評定なので、士分に取り立てられたばかりの者もいる。


 城代を務めるようになった家老の大胡道定殿

 上泉城城主、上泉信綱殿

 一の備えを率いる後藤透徹殿。

 二の備え、大胡是政殿。

 三の備え、東雲尚政殿。

 荷駄隊、佐竹義厚殿。

 勘定方、瀬川正親殿。


 参謀見習と名付けられた側近、元服したばかりの上泉秀胤殿。

 そして既に今年で21になった某。


 左肩は殿の治療のお蔭で完治、危ぶまれた筋の断裂はなかった。それ以来5年の間、信綱殿に師事し、殿に一筋の傷も負わせないようにと剣を練っている。

 活人剣を身につけよ、と信綱殿。



「まったく困ったものですな、管領殿には。いつも無体な命を発せられる」


「今まで、出陣を下令されなかった事を幸いと思えばならぬのでは?」


「誠に。金山崩れの後、この大胡に遠慮したと考えておこうぞ」


 それはないと思う。口には出せないが、今まではお松様のわだかまりがあったのであろう。本人にはなくとも、安中と小幡は遠慮するだろう。そして此度はそれもできない、もしくはそろそろいいだろうと見切ったのか。

 既に殿も齢12。あの事件から12年もたっている。


「管領殿の下令として、小幡殿より【焼酎を】馳走いたせ、とな!? 馬鹿にしておる!!」

(注:馳走=参戦と当時は一般的に使われます)


 相変わらず沸点の低い後藤殿。だがその意見には某も賛同したい。この頃、全国で評判となっている焼酎。しかし非常に高い価格設定となっている。僧房酒や練り酒などの清酒に比べても2倍以上する。


 製法は大胡の門外不出だ。それを長対陣の慰みに持参せよとの下令。もののふに単なる荷駄の仕事で出陣せよと。

 しかも殿にとっては初陣だ。顔に泥が塗られようとしている。


「いいんじゃぁないの~? この際だから持てるだけ持っていっちゃいましょ~。しーえむだよん」


 また販即というつもりなのであろうか。いつもながら殿は外聞とか名誉・誇りというものが一切見受けられない。


「ただ……」


 一同、耳を澄ます。


「此度の対陣。まずいね~。もう1年近くになるでしょ? 河越城囲んで。農繁期を何度か過ごしたんでしょ?

 武将をローテ……じゃない順繰りに替えていると思うけど、もう士気がさいて~じゃないの? 足軽はお百姓さんなんだから田畑が心配で心配でしょうがないんじゃない? かわいそうに、シクシク」


 それは言えていることだ。また無駄な長対陣をするものだ。しかも北条は拠点の江戸城との距離も近い。どうやら江戸以南で雌伏しているらしい。


 古河公方足利晴氏殿の出陣させることに成功し大軍で川越城を囲んでいるが、外交で有利になったとみて油断している様が目に浮かぶ。

 さらに晴氏殿・扇ケ谷上杉朝定殿・山内上杉憲政殿、頭が3つあれば合戦も息を合わせてというわけにもいくまい。


「だから、この戦。負けるね。そんで大胡家としては~」


 皆、固唾をのむ……


「逃げる!!」


 は?


「いやいやいや。それはできますまい。さすがに管領家の下令を無視……」


「そうじゃなくてね~、多分合戦になるよ。それも負け戦」


 皆、思考停止している。

 果たしてそうなるか。

 さすればどうすれば?

 逃げるとは?


 皆、殿の顔を見、その言葉を待っている。


「僕は初陣になるとしても、まだおこちゃまだし~。元服もしてないからね。

 それに名誉や誇りで死ぬよりも皆の笑顔が見たい。だからみんなが絶対死なない策を練りま~す」


「それはあまりにも武人らしくない!!」


 勿論、後藤殿がキレる。


「じゃあ、初陣の12のそれに元服もまだ、さらに酒配りの小僧に先陣や最前線とかあり得る??

 まあ長対陣だし北条が攻めてくるとしてもどこから来るか分からないよね。だから最悪の時に活躍してね。お仁王様、頼りにしているよ~♪」


 この程度の声掛けで大人しくなる後藤殿である。顔を赤くして照れている。頼られるのが好きである。沸点だけでなく融点も甘い。


「でね。最悪への備えとして、往路でできるだけ戦場を想定して参謀旅行しちゃおうかなって思うんです。目指せ、ぷろいせん陸軍!」



 参謀旅行?








 1546年4月下旬

 上野国大胡城大広間

 上泉秀胤(元服したばかりの若武者。14歳)




 殿に参謀見習の任を仰せつかった。参謀とは謀に参加するということか? この「参謀旅行」というものに答えがあるという訳だな。


 その後、常備兵力の8割の出陣という非常識な発言も含め、荷駄で持ち運ぶ資材や「補給処」の設置。大胡勢250の規模にしては、考えられない量の物資が用意されることになった。これができるのは、ひとえに殿の蓄財・殖産興業が実ったことにある。


 撤退進路になると思われる場所には、数人の守備兵を立てて、兵糧・刀槍・矢の(たぐい)を密かに配置する。そこを基軸として策を練るという。


 今まで聞いてきた戦話とは全く違う世界にこれから出陣するらしい。殿といると飽きることはないようだ。

 殿の言う「人生楽しも~」か。


 某も楽しむとするか。





 佐竹義厚(流れの荷役夫の頭。計算が出来るので頭になっちゃいました)



 なんだかんだ言って、おいらが一番働かされるんじゃね~か?

 殿さんは「そだよ~。戦は補給で決まるんです~♪」だと。

「だからね。この中で一番偉いのはあっちゃんなんだよ♪」


 なんか乗せるのうまいやな。

 でもうれしくなんかないぜ。


 その後の言葉。

「荷駄に始まり荷駄に終わるのが大胡勢の真骨頂なんだよ!」


 はいはい。最前線に突っ込ませるわけですね。

 ……あぁあ。生きてけえれる(帰れる)かなぁ……








 瀬川正親(内政一本で食っています!)




「殿、某、戦のことはわかりませぬが、大丈夫なのでしょうか? これほどの焼酎を持参して、長対陣の弛緩した兵が飲み、さらに弛緩するのでは?

 兵だけでなく武将も……」


 儂は金と米の勘定しかしたことがないので合戦に参加したことはないが、後藤の奴の酒乱にはほとほと苦労している。

 あそこまで酒に飲まれるものも珍しいと思うが、酒飲みというものは長く酒を断っている程、酔いしれるとのこと。

「英気を養う」と称して、酒を飲むものが多いが、そこを突かれたら悲惨な事になりはせぬか?


 そう進言した。

 殿は、「あっ。それはまずいねぇ……」と、思いが至らなかったことを皆に謝った。この素直さをいつまでも持っていてくだされば名君になられるのでは、と思う。戦に出たこともない儂ごときにわかるわけもないが。


「う~ん。じゃあね。せめて武将以上は酒だけでなく肴を用意しよう。

 そしてそれを口実に、肴ができてから別々に……」


「それは無理でござろう。陣を同じくしている者が飲んでいるのに指を咥えて飲まずにいられようか。必ずや盃を酌み交わして、大宴会にあいなり申す!」


 後藤の奴が言うと、なんだか真実味が出てくるのが不思議だ。


「え~ん。何かいい方法ない?? 焼酎持って行って大宴会。士気崩壊。夜襲・潰走。そんな未来しか見えないよ~~~~」


 一同、皆、腕を組んだり顎を捻ったりするのみ。だれも何も発言しない。

 然れば……


「では、餌で釣るというのはいかが?」


「なになに? その餌ってなに?」


 儂は、まだ報告をしていなかった新しい特産品の名前を出す。


「干し椎茸。これを使った都風料理を食べたい者は順番が来るまで暫し飲酒は待たれいと、お伝えいたせばいかが? 約束をたがえて飲み干してしまった陣には、干し椎茸の料理は配膳しないという約束に」


「それいいかもっ! 干し椎茸って超高級品じゃん?

 あれ、遂に栽培できるようになったの??」


 儂は大きくうなずいた。


 合戦を知らぬ儂が戦評定で中心となるとは、世も変わったものよ。

 尤もこの大胡だけじゃろうがな。






 楽な戦場など、ないっ!



 なろうのなかにも、こういったチート考察だけの作品があるので、楽しく読ませていただきました。

 でもあまりこだわると面白くなくなっちゃう。

 松風の言うように「楽しくなくちゃ~♪」気にしない気にしない一休み一休み



 この瀬川さんも結構好きなおじさま。


 【作者からのお願い】


 続きが読みたい!

 なんだ、テンプレの干し椎茸か……

 瀬川さん、この胃薬使ってください!

 参謀旅行ってあれ!?


 そんな風に感じた方はブクマと★を1つでも結構ですので付けていただくと大変励みになります。よろしくお願いします。

 作者、病弱故、エタらないように★のエネルギーを注入してください!なんとか最後まで書かせてくださ~い


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― 新着の感想 ―
[一言] 有りましたね。 後実行出来るのあんぽ柿と杜仲茶(漢方薬の一種でゴムも採れる杜仲の葉を煎じた物、戦後発明、茶殻は豚の餌に)の発売でしょうか。 降圧作用あるので越後の軍神の寿命が延びますが……
[一言] 朝鮮人参、アレは土地の栄養を吸い取り捲くるから悪魔の植物言われてるらしいです 植えたら不毛の大地になるから植えちゃ駄目って
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