【戦備】戦が近いぞ!
「殿、遂に歴史ジャンル週間1位になり申した」
「でも、総合は落ちてきたよん。一喜一憂しないのが楽よん♪」
やっと戦備まで来ました。
4年でそこまで行くの?
と突っ込まないで~~
とりあえず技術的なことは厩橋時代にやっているということで><
1993年1月10日・世界火力年鑑1992年版付録
【コンバインドアームズの歴史】
「一般的に銃兵と鎗兵の混成集団戦術の始まりは、中世スペインの大隊とネーデルランドのマウリッツが考案した大隊の激突から発達したとされる。
しかし、同時期の日本において中隊規模の混成部隊が活躍したことはあまり知られていない。
特記すべきは騎兵や工兵まで有し活用されていたことだ。
それが大隊規模に拡大編制された時、すさまじい威力を発揮した。
その威力は時の精強な戦国武将を押さえつけ、天下一統を……」
1546年5月上旬
大胡南東2里華蔵寺周辺
冬木元頼(大胡の兵器技術の要。産業部門にも足突っ込んでいるのでヒィコラ言っている)
ここ3~4年で急激に増えたため池と、湧き水を使った水車があちこちに目につく。作るたびに人足が集まり、またその手で水路と水車が増えていく。大胡の殿さまが采配を振るい、打ち出の小槌を振るかのように無尽蔵にばら撒かれる銭。
それにより、元々水捌けのよい扇状の台地の扇端で湧き水による耕地が南へ伸び始める華蔵寺跡周辺。
ここより北は荒れ地が多く、僅かばかりの水田と桑畑が広がっていた。それが今では北側も次第に水路が増え、田畑が広がりを見せ始めている。そして、ここ湧き水の出る一帯は、水車の力で様々な工作が行われ始めた。
殿さまに言わせれば「瀑布線ほどじゃないけど水力使うにはちょうどいいね」ということだ。今も私の両脇で梅雨の増水を受けて2台の水車が勢いよくまわっている。
はじめは無人の粉ひき水車。次に段差のある水路から田んぼに水を揚水する道具として。そして生糸の糸繰り動力に。
今は、やっと稼働し始めた高炉で作られる銑鉄を型に流し込めるようになってから作られるようになった鉄の棒を細く伸ばしていく作業に使用している。この「針金」は様々な所に使われている。
高炉自体のふいご動力としても便利だ。さらには鉄の棒も太さによっていろいろな道具に使用され始めている。それを水車の軸に使い始めてから効率も飛躍的に上がった。
金具も昨年までは青銅しか作れなかった鋳物が鉄製に替わり様々な道具や器械の部品として使われる計画中だ。
戦武具周旋方に命ぜられた私の腕の見せ所だ。殿から軍備全般を任せられたことにより、鉄生産に熟知するようになってしまった。
そして秘匿されているものとして武具の改良も行われているわけだ。金属製の装具が多数作られた。しかしそれに伴い重量化した甲冑などは、新たに藤蔦を加工して軽量化を行なっている。俗にいう「大胡胴」などが典型だ。殿が好んで着けるために「松風胴」とも呼ばれている。
「大胡笠」も軽量の割には防御力が強い。長柄足軽の怪我が少なくなったと評判だ。大量に配備され始めた弩弓にも、鏃や絡繰り金具として鉄が大量に使用されている。同じく大量に使う鏃は鋼ではなく、銑鉄を鋳型に入れて成形したものを研磨して製造している。
貫通力を犠牲にして手数を増やす目的もある。頭数の少ない大胡勢に使い捨ての弩弓が先制攻撃力を与えている。両足で固定しつつ全身の力で弦を引いて矢を番えるものが現在の主流だ。
他にも投射武器として投槍器を使用した投げ槍。これは100から最大で250匁(400~1000g)の槍を30間先(60m先)まで投げる。近寄るにつれ次第に重い槍を投げることにより、殺傷力が増す。
また、印地打ち(投石)に使える縄も工夫が凝らされるようになった。長弓は訓練が間に合わないために現在は種子島の量産を急いでいるところだ。
天文11年からの4年間、比較的平穏だった坂東も、そろそろ時が満ちてきたようだ。戦の時期が近づいている。
戦備えを急がねば……
1546年5月中旬
上野国大胡城西練兵場
東雲尚政(斜に構えているが実は……)
「放てぇえええええ!!」
「次の列。構え。放てぇええええ!!」
後藤のおっさんが大声で自分の率いる備えに弩弓の訓練をしている。この備えは領民の中から志願した体躯の良い者どもを訓練して精兵にしている。大胡勢の中の主力備えだ。
ちなみに俺が指揮する備えは銭で雇った足軽だよ、悪かったな期待されてなくて。そんなことを考えていると城の方角から「みんな、頑張ってるね~~~♪」と、素っ頓狂な叫びが聞こえてきた。
殿の声は相変わらずでかいな。それに気の抜ける声色。小走りに歩いて俺に近づいてきた殿。
「しのちゃん。その顔は自分のへーたいさんに不満がありそうだね~」
目ざといな。
気が抜けん。
「いえ、銭で集めた足軽は逃げ足が早くて困り……」
「いいねいいね~。足が速いのはいいことだよ。これまでもたくさん走って体力つけたじゃないの。これは使えるよ。
特にしのちゃんが一番よく使えるよ♪」
何を言っているのだろう? 早いと速いを混同しているのか? 大体逃げ足が速いのが役に立つのかよ??
「しのちゃんは策を練るのが上手だよね。きっとうまく使えると思うんだよね~。これは戦の原理原則だけどね、戦力の三大要素は攻防走。
走は機動力と呼ぶね。機動することで相手を弱くすることができるよ~」
なるほど。喧嘩でいえば逃げ回っていれば相手の体力気力が落ちるな。
そこを突くか。
「だからね。お仁王さまの真似はしなくていいの。敵の分断と遊兵化を狙い、ついでに奇襲・伏兵、横槍その他色々をしてほしいんだ。
だからしのちゃんにお願いするのが一番だと思いますっ!」
あんぶ~~~しゅ、とか片手を振り下ろしながら叫んでいるが気にせず思索に耽っておこう。
確かに長弓では伏せながら射ることはできないが、弩弓ならば草むらに隠れて射ることができる。数は頭数の数倍あるから矢の雨を降らせることができよう。
まあ、鋼の鏃で直接狙ってもいいかな。そして混乱している敵から一目散に逃げる。なるほど、これも使えるな。
他の使い方も考えよう。
これは面白くなるな。
大胡是政(こいつ、肝が据わっているなぁ)
親父の名代として、二の備えを任せられた。
銭で雇った足軽はお味方不利と見るとすぐ腰砕けになる。だから不利に見えないようにすることだ。長柄で対峙した際には目の前で敵が倒れる姿を見させる。
これに尽きる。
と、殿が言っていた。
童の仕草と、あの気の抜けた声で言われると疑いたくなるが実際の手順を説明してもらうと、なるほどと合点がいく。
現在はその練習をしている。我が家宰大胡家の家臣4名が、殿曰く「分隊長」として、それぞれ10名をまとめ上げ、俺は残りの荷駄係10名を必要な時、矢などを運ばせる。そして突貫、後退の差配の訓練。反射的に体が動くようになるまで兵を練る。
それの繰り返しが、戦の真っただ中で逃げずに戦い続ける力となるのを期待する。
佐竹義厚 (いつもびくびくアッちゃん)
流れもんのおいらを侍分に取り立てて、一つの備え?を指揮させるなんて正気じゃねぇよ。
まあ、兵も流れもん中心の集団だがね。特に馬子や船頭が多いのは荷駄隊だからさ。結構ガタイがいいやつが多いぜ。
あとは人足頭をしていた奴なども幾人かいる。その中の一人なんざ、土木作業の専門家だったらしい。陣を急ごしらえするときに、おいらの代わりに指揮するんだ。
で、おいらは何をするって? 実はな。この備えは「重装歩兵」というんだそうだ。殿さまが「ふぁらんくすで斜線陣!!」とか喜んでいたっけ。
頑丈でも軽い「大胡胴」のしっかりした奴に「大胡笠」を元にして改良した兜みたいな奴を被り、藤蔦で編んだ盾を持って前進する号令をかけるだけ。
今日はその後の行動を殿さんが直接教えてくれるらしい。
ああ、噂をすれば来た来た。大声でようわかるわ。
さて、いっちょやったるか!
今後、どんどん個性がはみ出ていく個性派武将たち。
弩弓についてはいろいろな意見がありますが……
手数を増やせば結構いけるんじゃあないかと。
生身に当たれば効果あるんで。
だから焼きを入れた鉄使います。
この冬木さん。
実は超ブラック管理職です。どんどん悲惨になっていく!
この辺りは世界線を超歪めています。
まずはこの一帯はほぼ完全な扇状地の扇端で、湧き水は多いですがその湧水をため池にして灌漑しているのが正史です。
しかしこの世界ではこの桃ノ木川のみ河床が岩盤になっており、湧水を集めて急流となる地域があるという設定です。
似たような場所は香川にもあります。それの真似っこです!
「藤蔓の装備」
これの元ネタは諸葛孔明の南征の際に苦しめられた、蛮族(雲南の兵)が使っていた甲冑です。軽くて丈夫。刺突にも強いです。
「弩弓生産」
大胡の住民の内職の一種。
色々と計算して今後出て来る弩弓と矢の生産、大体このくらいは可能と考えました。
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これ使ってどんな戦するか見て見たい!
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