傍観(地図あり)
2013年7月26日:政賢の野望攻略WIKI
【復活! ぎりわん選手権!! 】
「ぎりわん」、つまり義理と人情ステータスが最低の1しかないキャラクターの事。
今までに確認されている人物として以下の人物が要チェックであった。
・松永弾正
・斎藤道三
・藤堂高虎
・宮部継潤
しかしこれらの武将が実際に義理に無頓着であったとの史実はない。殊に松永弾正は非常に忠誠心が高かったのは周知の事実である。よってバージョンが更新されるたびに義理値が高くなっている。
実際の正史との整合性があるギリワンNo1ならば、間違いなく斎藤道三であろうと思われていた。
しかしこの度のアプデにおいて、とある集団が「ギリマイナス」であることが検証班によって確認され……
1556年1月6日
武蔵国品川北西8町(800m)武田別動隊信繁本陣
武田信繁
「して、やはり里見は動かぬと? 」
「はっ。江戸湾の封鎖はするが退き陣が難しいため、品川南と湊内への上陸は叶わぬと」
江戸にいる里見義堯殿に3度使いを送り海側から上陸して敵守備隊への牽制を要請したが、言を左右にされ使者は追い返された。
表裏比興の行いをする。
これで美味しい所だけ持っていくことをすれば、さぞや兄者が怒り狂うであろう。
最近、兄者は怒りっぽうなってきた。
大胡に戦わずして負けたからだ。孫子の兵法を体現していると自認している兄者にとって、孫子の極意「戦わずして勝つ」に嵌ったのが余程悔しかったのであろう。今回も里見に虚仮にされれば完全に敵と認識しよう。
柔軟性に欠けてきた。
ご自身も苦しいのであろう。堺に囚われ戦略の幅が極度に狭くなったことで苦悩されている様に見える。
「4度目の使者を送れ。此度は文を認めてもらえ」
使者を江戸城へ送り返す。
せめてこのくらいの事をせねば里見に侮られよう。
「里見も虚仮にしおって! 今にその江戸城、追い出してくれよう!! 」
(保科)正俊が吼えている。
いつもは虎昌と吼えまくっているが戦場では慎重、必要な時に勇猛果敢、得難い勇将だ。
「それよりもあの品川の防壁。
北西大手門と東の搦め手門だけであるが、見たこともない凹凸のない城壁。
あれは危険でありましょう。
あの上から鉄砲や大筒にて狙われたら、如何様なる仕寄りでも大損害を被りまするな」
(内藤)昌豊が話を本筋に戻して、重要な点を絞っていく。
脂の乗り切っているよき武将じゃな。
「問題は法華宗徒が高尾の指示にどれだけ従うかでしょう。
三ツ者の知らせによれば法華宗徒兵200は、湊の南に備えられている2つの堡塁に100ずつ配備されているとのこと。
後、未確認ながら50程度が北東部にいるとの情報もある。
これらを当てにしての作戦は危険ではありまするが、もしここで動きがあればその後の攻略口を新たに決めねばなりませぬな。しかし、その時にすぐ対応するのは時期を失しましょう故、ある程度の決め事は必要かと」
(馬場)信春。たしか40を越したか。
これからの武田を担うべき武将だな。
よう作戦を考えおる。
「既に里見のお陰で城攻めを3日も遅らせ申した。これ以上待つは、御屋形様の動きとの連携が崩れまする。里見の助力は期待せず、わが方独力にて我攻め致しましょう。今宵が三ツ者の手によって法華宗徒との繋ぎを持ってくる期限。これを見て明日にでも攻めることを進言いたしまする」
軍師の(山本)勘助が儂に目配せをして決を求める。
「では、明日をもって総がかりとする。主攻正面は東搦め手門。此処を破り、街を分断。その後、大手門を開け放ち主力を突入させる。
搦め手門は保科殿、仁科殿、市川殿ら1500。
大手門は内藤殿、馬場殿、小宮山殿ら1500。
南方への囮部隊は伊賀者に任せる」
皆が盃を交わし、土器を地面に叩きつけた。
1556年1月6日
品川湊南堡塁東
東鬼坊願尤
「で、結局御山は傍観せよと? 折角入り込めたんじゃからひと暴れするつもりじゃったがそれは為らぬか」
相棒の庵甚が愚痴る。
ここ品川に傭兵として雇われたのは鈴木屋の手配であった。飯も酒も食い放題とか魅力的じゃったからもっと集まるかと思いきや、儂らのような半端者しか集まらんかった。
それはそうよ。この品川、いつ攻められるかわからんぞ。武田と里見と今川の約定にて自治を勝ち取ったものの、その後大胡が事実上支配することになってその3大名の怒りを買うのは当たり前よ。
それで大胡は兵を派遣して大々的な砦……ああもうこれは城じゃな……を作り始めた。
駐屯する兵は800というからすごいものよ。それに加えての儂ら法華宗の衆徒で構成される部隊(大胡じゃこう言うらしいの)を作った。
しかしそりゃ、儂らの身元が分からんから信用おけねえだろ。だから一番敵が来そうにないところ。この海に面して建てられた1間程の高さがある2つの矢倉を中心とした堡塁が配置場所じゃ。こちらが内応してへ攻め入ろうとしても、街の中央に総予備の200名が陣取っている。
一応、ここも重要なんじゃろうが、危険なのは北と東の堡塁と壁に配備されている大胡兵じゃろう。
ようわからんが元旦の騒ぎに紛れ、身延山からの使いが忍んできて繋ぎを付けてきた。それによれば「里見が動かぬ」という。よって3日後に逃げるための小舟を寄こすという。
まあ、どうでもいいけどよ。
「3日間、何してるかだな。期待はされておらんじゃろうが、そのうち大胡が援軍を要請してくるんじゃあねえか? そんときはどうするよ」
難しいとこじゃな。一応給金は前払いで半額貰っているが、残りの半額を貰いたくとも品川が落ちちまえば貰えない。でも、それのために命を懸けるほどの銭じゃねえから、ここはお山のいう事を聞くか?
「一応な、お山の命令は聞くようにするか。じゃが好機があれば戦う覚悟はしとくのに越したことないじゃろうて」
「好機っていうと、武田を助けて内応か? 」
儂は首を横に振り、こう言った。
「そりゃあ、どっちでも有利な方よ。当たり前じゃねぇか。その方が褒美を貰い損ねることはないじゃろう? 」
周りにいた仲間も「そうじゃ、そうじゃ」と、同意する。
まあ、儂たちはこんなもんよ。流れの僧兵じゃい。文句あっか?