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首取り物語:北条・武田・上杉の草刈り場でザマァする  作者: 天のまにまに
★★北条氏康君の最後だゾ★★

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攪乱

 2012年12月29日:軍事雑誌【HQ】


 【アンティグア紛争】


「日本にとってパナマ運河を通り大西洋に抜けるための要衝、アンティグアに石油を始め多くの地下資源が存在することが確認された1993年以来、欧州の後押しする北部十三州連合と日本の支援を受ける南米諸国との紛争が頻発した。

 20世紀末までの2度の紛争では海空戦を中心とした正規戦争であったが、21世紀にはいると非正規戦と歩兵によるドローン戦が中心となった。

 そしてそれに隠れ、激戦が繰り広げられたのはWEBの世界における攪乱戦であった。

 それまで技術面で圧倒的に有利であった日本軍であったが、3年半に及ぶ旧野党政権によって大量の高度科学技術が欧州に流れていき、その優位性は数年で大きく縮まった。

 これに自信を持った欧州連合は先年の第5次攻勢に出ることになる。

 その際の攪乱戦術はブロックチェーンをトレースし……」






 1555年12月下旬

 上野国那波城松の間

 上泉秀胤



「では晴信は津久井城を出たと。兵7000の中には春日の鉄砲隊もいるか」


 幸綱殿がこの場にいる石堂殿に確認を取る。

 此処には留守居組の幸綱殿、瀬川正則殿、冬木元頼殿、大胡是政殿、原虎胤殿そして某がいる。是政殿は華蔵寺に駐屯しているのですぐに来ることが出来た。後藤殿や東雲殿は様々な地にて軍事演習をしている。新兵がまだ練成中だからだ。


「は。品川には信繁率いる別動隊が。主力備えとしては内藤や馬場がいます」


 皆、じっと聞いていたが、原殿が事細かく備え武将の配分を聞き出し始めた。

 さすが元武田の臣。よくご存じの様にて、皆その言を頼りにしている。


「では、確実に品川を落とすことが狙いでしょうな。虎昌の赤備えは囮じゃな。騎馬で要衝攻撃・攻城戦などやらぬ。槍弾正(保科正俊)も品川じゃ。

 逍遙軒殿(信廉)と小山田が留守居であろう。騎馬の数はやはり本隊に多いであろうが、若手の精兵は品川に向けられていると言えよう。


 ……しかし……(横田)康景が出てきているとか、何を考えておる?

 康景は儂の息子で付いてきたいと言いおったが、「辞めろ! 」とどやしつけて置いてきた。晴信の奴、何か考えがあるな。

 して、勘助はどちらに居るか分かるかな? 」


 石堂殿が品川の別動隊にいると答えた。


 「では間違えなく主作戦は品川じゃ」


 武将の人事でこれだけわかるとは。これはよく覚えておかねば。

 敵方の一人を味方に引き入れるだけでこうも違うとは考えもしなかった。


「では武田の狙いは品川の攻略ということでよろしいな。兵が7000と4000で11000。鉄砲600丁。そんなところか」


 幸綱殿が確認する。

 もうこれだけで普通の大名は木っ端微塵であろう。


「それに対する大胡は機動部隊3大隊6500。

 太田殿の河越駐屯兵団が2000。

 品川が800。

 上野の守備隊がおよそ1000。

 原殿の騎馬隊1000。

 強襲鉄人部隊500。

 砲兵隊はまだ使えませぬ。

 特殊任務中隊300は200が使用可能です」


 某が説明する。この11000に約2000名の黒鍬衆・輜重兵など後方支援部隊がつく。

 合計13000。大胡も大きくなったものだ。


「では、緊急展開案として乙2号を採択しようと思う。

 武田には早々にお引き取り願おう」


 !!!!!!

「品川を見捨てると? 」

「決戦は致さぬ? 」

「3号の方がよいのでは? 」

 皆から驚きの声が上がる。

 それに答えるように幸綱殿が続けた。


「里見殿は動かぬそうじゃ。兵は江戸まで5000出すが守備に徹すると。

 それから形だけは海上封鎖をする。お逃げなさるのはご勝手。ただし増援はご遠慮願いたいと」


 里見殿は日和ったか。形だけ堺の味方だな。

 東国に在って東国商人を使わないでいることはできない。大分銭が動いたであろうが、里見を買えなかったな堺の奴ら。増援を許すと申し開きが出来ぬであろうが、逃げるのは「取り逃がした」とするのであろう。


「では殿も海路にて帰国出来るのであろうな? 」


 皆が心配していたのは正にこれだ。北陸路以外は危険で通れぬ。じゃが北陸は今雪に閉ざされている。

 海路が使えればいち早く決戦なりなんなり出来よう。


「いや、それはあまりにも危険。里見がそれを狙っているやもしれぬ。殿が人質になるなど目も当てられぬ」


「それではどうなさる!

 乙2号とは決戦を避け、逃げ回るだけではござらぬか。

 品川は見殺しにすると??

 なれば乙3号の武蔵野を通り世田谷から一気に品川まで……」


「それは殿が成らぬと言うておったであろう。晴信が出て来ず、里見も日和って居ることが条件だ」


 それはそうだが、乙1号の決戦以外には品川を救うこと能わぬ。

 某の拙い案であるが言うてみよう。


「しばらく。

 某は乙2号の後の策が必要かと思いまする。幸綱殿のお言葉にもその匂いがいたしまする故、これでも行けるのかと。

 お聞きいただけるでありましょうか? 」


 皆の許しを受けて某の案を披露し始めた。


「以前、松山における参謀旅行にて殿が言われたことを思い出しました。何も戦う必要はないと。必要な時、必要な場所を確保できれば良いと。逆に言えば、敵が必要な時にその場所を使えなくしてしまえばよろしいのでは?

 つまり……」


「小荷駄襲撃、補給線の寸断、伝令狩り、流言飛語、闇討ち、酒を振舞うなどの士気低下策。色々とやり甲斐がござるな」


 石堂殿が続けた。


「そうじゃな。やり甲斐がある。

 ここは東雲殿の第4大隊の出番であろうか。特殊任務中隊の2個小隊も使えよう」


「儂にもやらせてもらえぬか?

 腕が(なま)って仕方ないわ。騎馬で縦横無尽にこの武蔵野を駆けたいぞ!! 」


 原殿が腕をまくりながら、吠えるように言う。


「申し訳ござらぬが、原殿の赤備えは本隊に居てここで決戦に及ぶと見せたいので、ここは忍んでくだされ」


 幸綱殿は最大効率で各備えの力を引き出すことを考えているらしい。第1・第2大隊は大胡の中核兵力。後藤殿と是政殿の鉄砲隊の威力は、それだけで1万以上の敵を退ける力がある。


 だが、出来るだけ損害が出ない戦いをする。それが大胡の戦い方だ。接戦で辛うじて勝ったものの戦傷者続出という勝ちは、大胡では「負け」と言う。

 だから第4大隊の東雲殿の竜騎兵が攪乱するし、第3大隊の太田殿の部隊から送り出した2個猛犬小隊が闇討ちするのだ。


「ではこれから各部隊の目標を決定していく。

 それでよろしいか? 」


 皆が縦に(かぶり)を振る。




 書くの忘れていた、補給線は冬ですので発起点は小田原です。

 笹子峠、冬でも通れますかね?

 岩殿城から津久井城付近は?

 冬に通ったことないからわからぬのですじゃ。

 通れればそっちが補給線。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 透破の献身が素晴らしいすぎる… [気になる点] なんぼなんでも旧野党政権が売国すぎません?
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