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クリム、階層ボスの話をする

 その日は、ギルドホームに全ギルドメンバーがそろっていた。

 非常に珍しいことだ。


「日曜日に階層ボスに挑戦しようと思います」


 そんな中、クリムはギルドメンバーを見回し、そう発表する。

 ASOには今現在、6体の階層ボスが存在するが、今回挑戦するは第1階層の階層ボスだ。それにしか挑戦できないのだから当然である。

 因みに第7階層の階層ボスは今現在、存在しておらず、第8階層実装時に7階層ボスも現れると考えられている。


「階層ボスって強いんですよね?」


 階層ボスに挑戦すると聞き、マインには、幾つかの疑問が湧いてくるが、真っ先に気になったのがそれだった。

 すると、それに対しクリムが答える。


「ええ勿論。第1階層とはいえ相当強いわよ。なにしろ、階層ボスは第1階層から第6階層まで全て同じ強さと言われているからね」


「えっ、全て同じ強さなんですか? うん、それだとゲームバランス的におかしいと思うんですが」


 それだと第1階層の階層ボスを倒せると、その他の階層ボスも倒せることになる。流石にそれはおかしすぎる。


「ええ確かに、でも強さは同じだけど、戦う条件が違うのよ。まあ、条件は色々あるのだけれど……そうね、簡単な条件で言うと、第1階層は多人数、それこそ複数ギルドでボスに挑めるけれど、第6階層になると、挑める人数もかなり少なくなるらしいわ」


「なるほど、うん、そういうことですか」


 マインは頷く。何故そのような仕組みにしているかは不明だが、それなら、一応、難易度的には矛盾はない。


「ええ、しかも第1階層の階層ボスは途中参加も可能だから、かなりやりやすいのよ」


「途中参加ですか?」


「えーと、そうね、初めに戦い始めたのが1人だけだとしても、後からどんどんその戦いに加わることができるのよ」


「あ、なるほど」


 ボス戦の場合、戦いが始まると部屋の扉が閉じ、他プレイヤーが参加できなくなる場合もあるのだが、これはそういうことが無いようだ。


「うん、だから、1回死んでもまた参加できるし……でもまあ、死んじゃったら、またボスエリアまでの道程を再度進まないといけないから大変だけどね」


「……何となくわかったような……うーん、でも、それってクリア条件はどうなるんですか?」


 マインは今までの説明で、戦闘については大体理解できたが、クリア条件といのがわからない。

 ボス戦に参加したプレイヤーは全員がクリア条件を満たすのだろうか。それとも他にもクリア条件があるのだろうか。

 どういう判定でクリアと見なされ、第2階層へ進出する権利を与えられるのかがわからないのだ。


「クリア条件は、ボス討伐に一定以上、貢献したギルドや個人かな」


「一定以上?」


 マインには一定以上の貢献が何を指すのかもいまいちピンとこない。


「ええ、ボスにダメージを与えたり、仲間を支援したり、回復させたりと何でもいいからある程度、活躍すればいいみたい。それがどの程度なのかはよくは知らないんだけど」


「へー、なるほど」


 全てが理解できたわけでは無いのだろうが、大体のことは理解できた。マインは今の説明でそう考える。


「うん、だから、死んじゃったりして、ボスを倒すその場に居合わせていなくても、それまでに活躍してたら大丈夫なんだって」


 ……死んでも活躍すれば良いのであれば恐らくは大丈夫だろう。こちらにはタマコやガブリエルがいるのだから。


「うーん、今聞いた感じでは行けそうな気がしますね」


「ええ、行けると思うわ。

 そもそも、この第1階層の階層ボス戦って、ボスが倒されることは決まっているのよ。

 そりゃそうよね、ボスが倒れるまで多人数で攻撃し続けるんだから」


「確かにそうですね」


 マインはまたもや頷く。


「だから問題は、ボスエリアまで辿り着けるかってことと、ボス討伐に貢献できるかってことなのよね」


 すると、ミトもそこで頷き、そして、口を開く。


「……どちらにしろ、行けそうってことですよね」


「まあ、サファイアドラゴンを倒せるんだから、ここをクリアできないはずはないわね」


 クリムは自信満々と言った様子だ。その様子を見たミトも自信が出たようだ。


「行けるどころか楽勝かも知れないですね」


 かもではなく実際楽勝だろう。マインはそう思う。他のメンバーも恐らくはそう思っているだろう。


「確かに、楽勝かもね。このギルドもプレイヤーだけで9人いるし、人数的にもある程度は活躍できると思うしね。

 まあ、それでも不安なら他ギルドと同盟を結ぶという手もあるんだけど」


「同盟?」


 マインは僅かに驚く。マインは同盟を結ぶなどということができる事を知らなかったのだ。


「うん、クリア条件でさっき、貢献したギルドや個人って言ったけどそれには、同盟も含まれるのよ」


「はあ」


 同盟を結ぶのは分かるが、それによってどうなるのかが、マインは直ぐには思いつけない。


「ええっと……つまりは、クリア条件が貢献度が10だとすると、個人の場合は、1人で10貢献しないと駄目なんだけど、ギルドの場合だとギルド全体で10貢献すればよくて、更にギルド同盟だと、同盟を結んだギルド全体で10貢献すればいいだけなのよ」


「へー、数がものをいうんですね。でも、それだと個人は大変ですね」


 複数ギルドで挑戦するところを1人で挑戦するのだ。大変に決まっている。ミトはそう思い、そう口にする。


「ああでも、個人同盟というのもあるから。

 階層ボス戦の時だけ個人同盟を組むってプレイヤーは沢山いるらしいよ」


 なるほどそれなら、ギルドに属さない人物でもそんなに大変ではないのかも知れない。ミトはそう考える。


「そっか、なるほど」


「まあ、とにかく、同盟した方が確率は上がるので、同盟組めそうなところに声をかけるのもありですね」


 ここでアルスが、そう口にする。


「そうです。だから、皆も問題なければ、フレンドとかにギルド同盟のこと話してみてくださいね。

 それと、日曜日は可能ならインしてほしいです。ということで、よろしくお願いしますね」


 そして、クリムは全員を見回しながらそう言う。

 すると、皆「了解」と頷くのだった。


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