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マイン、隠し通路に入る

 マインは大吉、エミと共に東の遺跡へと来ていた。

 マインはその腕にリンゴリス子を抱いている。

 東の遺跡には強いモンスターは出てこないということで、連れてきたテイムモンスターはリンゴリス子だけである。


 東の遺跡は石の建造物の巨大な遺跡で、その内部は迷路のようになっている。

 普通に探索するだけなら特に難しくもない場所で、冒険者からも注目されるような所ではない。

 しかし、野々乃の情報によると、その遺跡には誰も足を踏み入れたことのない隠しエリアがあるらしい。

 そして、そこには、分身スキルを与えてくれるというNPCがいるらしいのだ。

 そして、その隠しエリアこそが今回の目的の場所である。


「しっかし、野々乃ちゃんって、『何でもかんでもは教えられません』って言う割には、『今回だけですよ』とか言って、大抵のことは教えてくれるよね」


 遺跡を歩きながらエミがそう口にする。


「確かにそうですね」


 マインはエミの言葉にそう答える。


「確かに……おっと、ここだな」


 大吉もそう答え、目的の場所に着いたのか、そこで足を止める。


「えっ? ここですか? 特に何もないように見えますが……」


 しかし、マインは不思議そうにそう言う。

 その場所は左右が灰色レンガの壁に挟まれた通路で、今まで歩いてきた場所と何ら変わりはない。


「そこの壁なんだけど、飛び出してるレンガが6つあるよね。その部分が隠しエリアへの鍵になってるんだよ」


 すると、マインの疑問に、大吉がそう答える。


「あっ、確かにちょっと、レンガが飛び出してますね」


 その壁には、横一直線上の4つのレンガ、そして、そのうちの左2つのレンガの中間部から上に位置する1つ、下に位置する1つ、合計6つのレンガが僅かに飛び出していた。


「それで、そのレンガをどうするの?」


 エミはどうすれば隠しエリアへ行けるのか気になるようだ。そのレンガのある壁を眺めながら、大吉にそう尋ねる。


「ええと、上の方のレンガを2回叩いて、下のレンガを2回叩く、次に横1直線になってる部分だけど、左から数えて、1番目、2番目、1番目、2番目、3番目、4番目の順番に叩くと隠しエリアへの道が現れるんだってさ」


「へぇー、そうなんだ」


「ああ、じゃあやってみるよ」


 大吉はそう言い、先程自分が言った通りの順番でレンガを叩いていく。

 そして、最後のレンガを叩き終えた次の瞬間、壁や床が僅かに揺れる。震度2、3の地震位の揺れだろうか。


「うわっ、ちょっと揺れてる」


 マインは僅かに驚き、そう口にする。

 すると、次の瞬間、目の前の壁の一部が消えてなくなり、その消えた壁の向こう側に新たな通路が出現する。


「……これが、隠しエリアへの入り口」


 エミは現れた通路を目にし、そう口にする。


「ああ、では行くとしますか」


「そうだね」


「うん」


 大吉の言葉にエミとマインはそう返事し、3人は現れた通路を進んでいくのだった。




◇◇◇◇◇




 通路を進んでいくと、分かれ道があり、分かれ道の手前には立て看板が立っていた。


『←マッチョの森 | 水着ギャルの森→』


 立て看板を見た大吉は茫然とする。


「これは、どっちに行けばいいんだ?」


 ある意味、究極の選択である。


(何なんだこの選択肢は)


 大吉は180度違う選択肢を見てそう思う。

 すると、エミが大吉のもとへ近づいてきて耳元で囁く。……マインには聞かれたくないのだろう。


「いや、これはギャルでしょ。普通に考えて」


 大吉もそれに対し、小声で答える。


「いや、それは罠かも……っていうか、マインの前でそっちを選べるのか?」


 その言葉を聞いたエミは僅かに考え、そして答える。


「マッチョを選ぶのも変じゃない。だったらギャルでも良いんじゃ」


 ……姿は女の子だが、エミの思考は完全に男である。


「いや、しかし……そうだ、マインに決めて貰おう」


 そう、大吉やエミがギャルを選ぶのは不味い気がする。だからといって、マッチョなど選びたくない。

 ……そうなると、マインに決めて貰えばいいのだ。それが一番いいはずだ。


「うーん、まあ、それが無難かな」


 それには、エミも賛成のようだ。

 よって、大吉はマインの方に振り返り、問いかける。


「マイン、あのさ、右と左どちらに行くのが良いと思う?」


「私ですか? いや、私はどちらでもいいですけど」


 マインは、キョトンとした表情でそう答える。自分に話を振られたのが意外だったのだろう。

 大吉とエミは、コソコソと話していたので、2人で決めると考えていたに違いない。

 まあ、マインとしては選択権を譲ったつもりなのかも知れないが、大吉としては『どちらでもいい』が一番困るのだ。


「ねぇ、どっちにするの?」


 エミがまたもや大吉の耳元で囁く。


「いや、流石にギャルは選びづらいだろ」


 大吉もそう囁き返す。


「くっ、仕方ないか」


 エミは嫌々諦めるといった感じだ。完全なる男である。


「じゃあ、左に行くとするか」


 エミも一応は賛成した為、大吉はそう声にする。マインとエミに対して。


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