表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/434

マイン、サファイアドラゴンと戦う

 サファイアドラゴンと戦うにあたり、マイン達は軽く話し合いを行っていた。

 その結果、この中で最も強い、タマコとガブリエルに戦いを任せることになった。

 しかし、ASOのイベントは、テイムモンスターだけではクリアできない。何故かというと、テイムモンスターは武器と同等の扱いだからである。

 もし、テイムモンスターだけでイベントボスに戦いを挑み、勝ったとしても、それは、武器だけでボスを倒したという事……つまり、地面に突き刺さっていた刀の上に偶々ボスが倒れてしまい、それにより、絶命してしまったということと同じになるのだ。

 勿論これは、プレイヤーがボスを倒したことになるわけもなく、同時にイベントをクリアしたことになるわけもないのだ。

 よって、武器には持ち主が必要であるのと同様に、テイムモンスターにはその主人が必要なのである。


 ……というわけで、タマコとガブリエルがボス戦に挑むには、マインの参加も必須なのだ。




◇◇◇◇◇




 マインは妙にやる気になっていた。

 先程までは、(どうせ勝てないんだから適当にやろう)などと考えていたのにだ。


(うん、恥ずかしい思いをさせられた分はお返ししてやるんだから)


 だが、マイン自身の攻撃など第7階層級のボスであるサファイアドラゴンには通用しないだろう。

 しかし、マインはビーストテイマーである。テイムモンスターに戦って貰えば良いのである。


「タマコちゃん、ガブさん、やっておしまいなさい」


 よって、マインはそう言い、タマコとガブリエルに丸投げする。

 ……まあ、タマコとガブリエルにやってもらうのだから、マインがやる気になったところで特に何も変わらないのではあるが……。

「しょうがないニャ。でもその言い方は何なんだニャ?」


「時代劇の見過ぎなんじゃないですか。まあ、取りあえずやってみましょう」


 すると、タマコとガブリエルはそう言い、やれやれという感じで前に進み出る。

 ちなみに、ミトたち他のメンバーは少し離れた場所で、事の成り行きを見守っている状態だ。

 下手に戦いに参加しても、足手まといになるだけだからである。




「では、まずは私から行かせてもらいます」


「うむ、来るが良い」


「アルティメットアクア!」


 まずは、ガブリエルの魔法攻撃である。いきなりの大技だ。

 ガブリエルの頭上に現れた無数の水の槍が、サファイアドラゴンに襲いかかっていく。

 しかし、ドラゴンはそれを避けようともしない。

 そして、その無数の水の槍は『ビシュ、ビシュ、ビシュ、ビシュ』と大きな音を立て、見事にドラゴンに命中する。


「やった」


 それを見ていたマインはそう声を上げる。


「ふっ、効かんな」


 しかし、ドラゴンは余裕ある口振りでそう言う。

 すると、それを聞いたガブリエルは、ドラゴンの様子を観察する。


「……確かに全然効いてませんね。というか、吸収されちゃってますね」


「えっ、そうなの?」


 マインはドラゴンに少し位はダメージを与えたと思ったので僅かに驚く。


(あれが通用しないのは、結構きついんじゃ)


 そして、マインはそう考える。

 するとその時、「では、次は我がいかせてもらうぞ」とドラゴンが口を開いた。

 ドラゴンは身構え、そして、口をカパッと大きく開ける。

 すると開かれた口の前に直径2メートル程の水の球体が生まれ、次の瞬間、それがマインに向かい放たれる。


「うわっ」


 マインは思わずそう声を上げ、やられることを覚悟する。

 しかし、その瞬間、マインの目の前にガブリエルが超スピードで駆けつけ、マインの代わりにその球体をその身に受ける。


『ブシャー』


「ガブさん!」


 マインはそう叫ぶ。

 球体が直撃したガブリエルは…………何ともなっていなかった。

 特にダメージを受けた様子もない。


「余裕ですね」


 ガブリエルはマインの方に向き、にっこり笑いながらそう言う。

 そのガブリエルの様子を見て、マインは思い出す。ガブリエルが持つスキルを。


「……あっ、そうか……ガブさんも水属性は吸収するんだった」


「そうです。私の得意とする攻撃は吸収されますが、敵の水属性攻撃も吸収するんでおあいこですね。

 ということで私は壁役に徹しますね。敵も水属性が得意だと思うのでそれでいけると思います。

 攻撃はタマコお願いね。私の背に隠れながらどんどんやって頂戴」


 作戦はガブリエルが一瞬でそう決める。ガブリエルが防御でマインとタマコを守り、タマコが攻撃するという形だ。

 タマコはそれに頷く。


「なるほど、それは良い作戦だな。これは勝つのに苦労しそうだ」


 すると、ガブリエルの作戦を聞いていたドラゴンはそう言う。

 ドラゴンもこれで攻撃方法がある程度封じられることになるのだ。

 マインに水属性攻撃を当てようとするには、まず、ガブリエルを引きはがさないといけないのだから……。

 よって、攻撃方法が水属性以外に限定されるのだ。

 得意な属性攻撃を封じたとしたらそれは大きい。


(でも、本当にサファイアドラゴンの得意な属性攻撃って、水属性なのかな?)


 しかし、そう考えたマインは一応、ガブリエルに確認する。


「ガブさん、ドラゴンの得意攻撃が水で間違いはないのかな?」


「いえ、私にはそこまでの判断はできません。その可能性が高いとしかいえないですね」


 すると、ガブリエルはそう答える。

 ガブリエルがそう言うのだからその可能性が高いのだろう。しかし、念のため、エミにも確認する。


「エミさん、サファイアドラゴンの得意な属性攻撃って水属性ですよね?」


 マインはエミに声が届くよう大きめの声で、そう問いかける。


「ん? そうかも知れないね。水属性魔法効かなかったみたいだし」


「水属性魔法は吸収されたんです」


「吸収されたの? なら、水属性が得意とみて間違いないと思うよ」


「そうですか。……あっ、そういえば、掲示板とかにそういう情報は載ってなかったんですか?」


「うーん、掲示板とかにも載ってたかもしれないけど……ごめん、そこまでは覚えてないや。

 でも、掲示板を見るまでもなく、得意な属性攻撃は水属性で間違いないと思うよ」


「そうですか、ありがとうございます」


 エミがそう言うのだから、恐らくは間違いないだろう。

 そうなると、ガブリエルの作戦で問題ないはずだ。


(となると、うん、タマコちゃんに攻撃しまくってもらうだけだね)


 マインは、そう考え、タマコに視線を移す。

 すると、タマコは既に攻撃魔法の準備を整えていた。

 一方、ドラゴンは、まだ攻撃準備は整っていないようだ。水属性攻撃を封じられたため、次の攻撃をどうするかに迷っているのかも知れない。


「アルティメットボルト」


 そして、タマコはそう魔法を放つ。


『バリバリバリッ』


 強力な電撃が、ドラゴンを襲う。


「グワアアー」


 ドラゴンは悲鳴を上げる。ガブリエルの魔法とは違い、今度はダメージを与えられたようだ。


「よしっ」


 マインはそう声を上げる。

 そして、ガブリエルに、「うん、これならいけるよね」と問いかける。

 しかし、ガブリエルは真剣な表情をしている。そして、重々しく口を開く。


「いや、結構きついですね。ダメージは与えてるんですが、ドラゴンのHPが大きすぎます」


「えっ? そうなの」


「はい、火力がもっと欲しいです」


 それを聞き、マインは考える。そして、後方でこちらを見守るミトたちに視線を向ける。

 ミトたちは今のところ戦闘に参加する意思はないのだろう。

 しかし、マインはミトたちに話しかける。


「あのねー、倒すには火力が足りないかもだってー」


 ミトたちは少し離れたところにいる為、マインは大きめの声でそう話しかける。

 すると、それを聞いたミトたちは、何やら相談し始める。


『バリバリバリッ』


 その間もタマコは攻撃を続け、ガブリエルはドラゴンの攻撃を防いでいる。

 ドラゴンは水属性攻撃から風属性攻撃に切り換えたようだ。しかし、その攻撃力は水属性と比べると微々たるもののようだ。

 ……そして、そんな状態がしばらく続いた後、ミトが声を上げる。


「私も戦いに参加する」


 相談の結果、ミトが戦いに参加することになったようだ。

 するとドラゴンは答える。


「うむ、そうか、お主も戦闘に加わるのか。大歓迎だ。かかってくるが良い」


 そうして、ミトはマインの元へ駆け寄っていく。……戦闘に参加する為に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ