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ミト、穴に落ちる

 ミトは森を歩いていた。宝箱を探しているのである。


(あっ、あそこにも宝箱が!)


 この森に入って、5つ目の宝箱である。

 ミトは駆け寄り宝箱を開ける。


(これもメダル2枚……また同じかぁ)


 先の4つと同じで、また、メダル2枚である。

 別にメダル2枚がいけないというわけでは無い。だが、中身が同じものが続くと、次もどうせ同じだろうと考えてしまい、宝箱を開けるときのワクワク感が無くなってしまうのだ。


(うーん、まだここら辺に宝箱はあるのかな? ……また、メダル2枚かな?)


 ミトはそう考え、辺りを見回す。

 するとミトは、(あれ)と思う。

 今まで開けてきた宝箱に何かの法則性を感じたのだ。


(何だろう?)


 ミトは考える。……すると不意にそれを思いつく。


(今までの宝箱って……五角形の頂点になっているんじゃ)


 ミトは宝箱の配置に何か法則があるのではと考えたのだ。

 そこでミトは今までの道筋を思い浮かべる。


(宝箱を線で結んでいくと…………やっぱり五角形だ)


 ミトはそれに気付き、(もしかして)と思う。


(五角形の中心にお宝があるのかも)と。


 そこでミトは五角形の中心部へと歩みを進める。

 ……だが、それらしきものは見えてこない。


(……宝箱は無さそうだな…………あっ、あそこに何かある)


 すると、ミトは前方に小さな何かがあることに気付く。

 視線の先に、幅15センチほどの灰色の四角い何かを捉えたのだ。

 ミトはその物体に近づいていく。


(何だろう?)


 …………それは、四角いボタンだった。『キケン』と文字が彫られている。


(キケンか……でもこれを押さない選択肢はないよね)


 現実リアルなら押すということはしないだろう。しかし、ここはVRだ。押すに決まっている。

 よってミトは、躊躇いもなく、そのボタンを押す。


『カチッ』


 すると、次の瞬間、ミトの足元の地面が消える。ボタンを中心に直径2メートルの大穴が空いたのだ。


「キャー」


 ミトは大穴へと吸い込まれる。

 そして、いきなりの無重力感で恐怖に襲われていた。


「何これ何これ」


 ミトはパニックだ。


『ドスン』


 そして、ミトは地面に落下する。尻もちをついた状態だ。


「いたたたた」


 ミトは尻もちをついたまま辺りを軽く見回す。

 ……そこはいくつものマグマの水溜り、赤い岩石の塊、見渡す限りが赤、橙、茶で構成された巨大な空間……そんな地獄のような場所だった。……ただ見た目とは違い、暑さは地上より少し暑い程度だ。もし現実リアルならこの景色でこの程度の暑さは絶対にありえないだろう。


(……凄い場所だな。この場所の上に森があるとか、流石ゲームだね)


 ミトは立ち上げり天井を見る。


(あそこから落ちて来たんだね)


 ミトの頭上数十メートルの場所に、彼女が落ちて来た穴があった。

 現実リアルなら生きてはいられない高さだ。しかし、ミトはLv.50を超え、防御力もそこそこある為、大したダメージは受けていない。


(高いなー)


 ミトは高所恐怖症というわけでは無いが、それでもあの高さから落ちてきたのかと思うとぞっとする。


(あっ、穴が閉じていく)


 ミトは頭上の穴を眺めていたが、それは急速に閉じていき、そしてそれは完全に消え去る。

 そして、次の瞬間、


「ギギャー」


 獣とも鳥とも判断のつかない咆哮が響き渡る。

 すると、ミトは反射的に咆哮がする方へと振り返る。


(あれは、火の鳥?)


 それは赤と橙色の混じった炎を纏った鳥型のモンスターだ。

 翼を広げたその大きさは15メートルくらいあるだろうか。そんな巨鳥がミトに向かい飛んできている。


「ヤバッ」


 正に疾風のごとき速さだ。

 巨鳥のそのスピードはあまりにも速く、一瞬でミトの目前まで到達する。

 しかし、反射神経が良かったからだろう。ミトは寸前で躱し、何とか衝突を避ける。


「何? あのモンスターは」


 ミトは巨鳥の情報を少しでも知りたい。

 よって、ミトは急ぎタッチパネルを表示させ、その内容を見る。



――――――――――――――――――――

【フェニックス】?

Lv :225


特徴:激しい

――――――――――――――――――――



(えっ? Lv.225! そんなの勝てっこないじゃん!)


 ミトは心の中でそう叫ぶ。そして直ぐに巨鳥に視線を向ける。

 巨鳥は身を翻し、ミトの正面に身体を向けている。


(……逃げ場……なんてないか……)


 ミトの視界には逃げ込める場所は無さそうだ。


(どうしよう)


 ミトはとるべき手が思いつかない。

 しかし、巨鳥は待ってはくれない。既に次の行動に移っている。

 どうやら攻撃魔法を発動させているようだ。

 嘴の先から50センチ程離れた空間に、直径3メートル程の巨大な火の球が生まれているのだ。


(うわっ、凄い火の球)


 ミトはどうすべきか分からず、取りあえず防御の姿勢をとる。

 そして、次の瞬間、火の球が放たれ、ミトの身体は巨大な炎に包まれていた。


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