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ミト、メダルダンジョンをクリアする

 マゼンタ、グリン、ミトはそれぞれタッチパネルで自分のメダル所持枚数を確認していた。


「よっし、増えてる増えてる」


「うん、確かにメダル34枚増えてるね」


「あっ、私も増えてます」


 確認した結果、3人共34枚のメダルが増えていることがわかる。


「しかし、勝手にメダルが増えるというのは少し味気ないわね。宝箱に入ってるのをゲットする方が冒険したって感じがするし」


「仕方ないわよ。ボス戦で倒れたプレイヤーにもメダルを渡そうとしたらそうなるわよ。このダンジョンでボス部屋までたどり着いたのにメダル0枚は流石にきついでしょ」


 ミトはグリンのその言葉を聞き、胸がチクッと痛む。ボス部屋の手前まで辿り着いたのに、ここまで来れなかった盗賊たちを思い出して……。


「でもほら、生き残った者のみのボーナスもあるし、キングフロッグのクリスタルもあるしさ、それだけで結構、達成感あるわよ」


 グリンの目の前には高さ1メートルほどの黄色い透明の仮想タッチパネルが表示されており、その最初の一文には『生存者ボーナス』と記されている。


「確かにそうね。でもクリスタルはどうするの? 普通ボスとか強いモンスターの場合は、複数のクリスタルになるはずなのに、今回はどでかいのが1個だけだよ」


 マゼンタは先程倒したキングフロッグのクリスタルに視線を向け、そう口にする。


「うーん、虹色クリスタルだから1つなのかな?」


「そうかも。ボスの虹色クリスタルは初めて見たよ」


 ちなみに、虹色クリスタルとは、モンスターの魂が残っているクリスタルである。通常のクリスタルと違って、輝きが虹色なのでそう呼ばれているらしい。その輝きは24時間持続し、その間なら、召喚士がLv.3で覚えるスキル『召喚石生成』で召喚石に作り変えることができるのだ。……まあ、実力に見合わない召喚石の生成はできないのではあるが……。


「まあ、虹色クリスタルなんだから、ミトに召喚石にできるか試してもらおうよ」


 グリンは折角の虹色クリスタルなのだから召喚石にするべきと思ったのだろう。ミトに召喚石化して貰うようそう提案する。


「うん、そうだね」


 すると、マゼンタもグリンの提案にそう賛同する。


「えっ、いや、でも、召喚石化に成功したらどうするんですか? 1つだけだと分けることもできないし」


 ミトは不公平になることを嫌い、そう口にする。クリスタルのままなら『換金』のスキルでお金に換え、公平に分けることができるからだ。

 だが、マゼンタはミトとは逆の考えを口にする。


「その時は、ミトがそれ貰っちゃってよ。召喚士なんだからさ」


 ……この提案は実に当たり前のものだ。何故なら、クリスタルの状態よりも召喚石に変えた方が遥かに価値が上がる為、虹色クリスタルは召喚石に変えるのが普通だからだ。


「えっ、でも、それだと私だけが得することになるし……それじゃあ、召喚石化ができなかったらそのクリスタルは貰ってくださいね」


 これで断ってしまっては角が立つ。よって、ミトはせめてもの譲歩を見せ、そのように答える。


「うーん、わかったよ。じゃあ、早速、やってみてよ、召喚石化」


 マゼンタもマゼンタでそれ以上言っては角が立つと思ったのだろう。ミトの提案を受け入れ、そう口にする。


「分かりました。それでは、召喚石化しますね」


 ミトもマゼンタの言葉を受け入れる。

 そして、大きな虹色クリスタルに右手を触れ、スキル『召喚石生成』を発動する。

 するとクリスタルは光に包まれながら消え去り、ミトの手の中にぎょくが作られる。


「あっ、出来た」

「ホントだ」


 それは緑色に輝いている。


「へー、綺麗」


 ミトはその輝きを見て、そう口にする。するとその時、ミトの頭の中に『ピコン』という音が響く。


「あっ、通知だ……すいませんちょっと確認しますね」


「あっ、うん、どうぞどうぞ」


 マゼンタにそう言われ、ミトは通知を確認する。

 そこには召喚石についての説明が記載されていた。

 装備することにより、召喚を行えるようになることや、テイムモンスターとは違い、モンスターのスキル等を使用する為に、一時的にモンスターを呼び出すということ、そして、モンスターのスキルや魔法はプレイヤー自体が使用するという扱いになること、スキル等の威力はプレイヤーのステータスに依存することなどだ。


「何の通知が来たの?」


 ミトの通知を読む様子を見てグリンがそう尋ねる。


「あっ、はい、召喚石の説明ですね」


「「えっ!」」


 ミトの言葉を聞き、マゼンタとグリンがそう驚きの声を上げる。ミトには、どこに驚く要素があるのかわからない。


「ちょっと見せて貰っても良い?」


 マゼンタはミトにそう尋ねる。断る理由がないミトは、「どうぞ」と自分のタッチパネルをマゼンタとグリンに見せる。


「ホントだ」

「でもこれって……でもそうか……嘘じゃなかったんだ」


 ミトは訳がわからない。


「あの、何かおかしな所でも……」


「あっ、えっとね、これって、召喚石を初めて手に入れた時に通知されるメッセージだからちょっとびっくりして」


 マゼンタのその言葉を聞き、ミトは2人の驚いた理由を何となく理解する。


「えっ、まあ、召喚石を手に入れるのは初めてですから……」


「そうだよね。そう言ってたもんね。ごめんなさい、Lv.51で召喚獣を持ってないなんてありえないと思って信じてなかった」


「私も嘘だと思ってた。ごめんなさい」


「あっ、いえ、嘘だと思うのは当然だと思うし、気にしてませんから」


 マゼンタとグリンの言葉にミトはそう答える。実際、ミトはそんなに気にはしていない。


「ホントごめん……でも、Lv.51で召喚獣なしって、ある意味凄いよね。……そういえばミトってちょっと変わってるかもね。召喚士なのに武器は剣だし」


「うん、かなり変わったプレイスタイルなんだろうね」


 どうやらミトは、この2人に変なプレイヤー認定されてしまったようだ。ミトとしては納得いかない部分もあるがそれは仕方ないだろう。


「えっと、それはよくわからないですけど……そうなのかも知れないですね」


 なので、ミトは取り敢えずそう答える。


「うん、そうだよ。召喚士なのに召喚獣がいないって意味わかんないもん。

 ……まあ、それはともかく、次はこれを決めないとね」


 ちょっとの間続いたミトの召喚獣の話だが、グリンはそこで話をそう切り替える。それはミトとしては有難いことだ。召喚石のことでこれ以上突っ込まれても困ってしまうのだから。

 そして、グリンが切り替えた話が、彼女の目の前にある仮想タッチパネルに表示された内容、『生存者ボーナス』についてである。

「ああ、そうだね。これを決めないといけないね」


 すると、マゼンタもそう言い、グリンと同様にそのタッチパネルを見つめ、ミトもそれに倣う。



―――――――――――――――――――――――

生存者ボーナス


以下より1人につき1点

アイテムをお選びいただけます


①雷の盾

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

②雷の鎧

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

③雷の法衣

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

④雷のローブ

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

⑤雷のポンチョ

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

⑥雷のワンピース

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

⑦雷の胸当て

 (主な効果:雷属性ダメージ軽減)

⑧雷の剣

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑨雷の刀

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑩雷の長刀

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑪雷の槍

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑫雷の弓

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑬雷の斧

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑭雷のハンマー

 (主な効果:物理攻撃雷属性付与)

⑮サンダーバードの召喚石

 (主な効果:召喚中、雷属性ダメージ半減)

⑯ライトニングの杖

 (主な効果:MP消費なしでライトニングの

                   使用可)

⑰雷のマイク

 (主な効果:???)

⑱雷の棒

 (主な効果:???)

⑲雷の水着(男用)

 (主な効果:???)

⑳雷の腕輪(ビーストテイマー用)

 (主な効果:雷属性による遠距離からの

            初回攻撃を自動で防ぐ

          ※テイムモンスターに有効)

―――――――――――――――――――――――




◇◇◇◇◇




「うん、これにしようかな」


 マゼンタがボーナスアイテムを選び終える。

 ミトとグリンは既に選び終えており、取得アイテムはアイテムボックスの中である。


「ごめんね、ちょっと迷っちゃって」


 マゼンタはそう言うが、ミトもグリンも全く気にはしていない。


「別にそんなに待ってないし」


 なのでグリンはそう口にし、ミトもそれに頷く。


「そう? ……でもまあ、これでこのダンジョンのイベントは終わりだね」


 すると、マゼンタは名残惜しそうにそう言う。


「そうですね」


 ミトも少し名残惜しそうにそう答える。

 するとその時、生存者ボーナスを表示したタッチパネルが消滅し、その代わりに半径2メートルほどの魔法陣が現れる。


「あれは?」


 ミトは少し驚いたようにそう言うが、マゼンタとグリンは落ち着いた様子だ。


「あれは、地上に戻る魔法陣だね」


 グリンのその言葉を聞きミトはなるほどと思う。


「じゃ、行こっか」


 そして、マゼンタがそう言い、3人は魔法陣へと進んでいく。

 すると、3人の姿は地下迷宮から消え去り、地上へと戻って行くのだった。




◇◇◇◇◇




 地上に戻ると、そこにあった地下迷宮への入り口とそれを示す立て看板は綺麗さっぱり無くなっていた。


「……ダンジョン消えちゃったね」


 マゼンタは入り口があった場所を見つめ、そう口にする。


「そうですね」


 ミトはマゼンタの言葉にそう返す。

 すると、マゼンタはミトに振り向き、急に、


「あっ、ミト、フレンド登録良いかな?」


 と、言ってくる。


「あっ、はい、勿論」


 ミトは勿論そう答える。ミトもそうしたいと思っていたのだから……。


 ……そして、3人はお互いにフレンド登録をする。


 そうしてその後、3人は僅かな雑談をしたのち解散するのだった。


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