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仲本、感心する

短めです

――都内、ASOのプロジェクトルームでのことである。


「高木、ちょっと良いか」


 自席でPCと睨めっこをしていた高木であるが、その言葉を聞き、その声の方に振り向く。するとそこには、若干、にやけた顔の仲本が立っていた。


「はい、なんでしょうか?」


 高木は立ち上がりながらそう答える。


「NPCがギルド加入したって聞いたんだけど」


 仲本はにやけながらそう話しかける。……そういう顔をしているということは、恐らく面白い話が聞けるのではと思い、話しかけて来たのだろう。


「はい、そうです。例のマインのギルドですね」


 マインという名を聞き、仲本はまたかという表情だ。


「なるほどな。……それで、どうしてそのようなことになったんだ?」


 しかしながら、興味津々といった様子でそう問いかける。


「マインがNPCと友達になったようですね。それで友達の誘いということで、そのNPCもギルドに加入したようです」


 仲本はNPCの仕事にそのようなものがあるとは聞いたことが無い。


「ほう、しかし、なんでそんなことになるんだ。NPCの仕事にそんなことは含まれていないはずだよな。パーティーの人数合わせにNPCを貸し出すということはあるがそれとは違うんだろ」


「ええ、それとは違いますね。今回のこれはNPCの判断ですね」


「NPCの判断?」


 仲本は高木の言葉を不思議に思い、そう口にする。


「はい、簡単に言えば、友達の言うことはできるだけ聞いてあげたい。友達と過ごしている時間はプライベート。プライベートな時間は自分の好きに使って良い。そんな感じの判断ですね」


「へー。なるほど」


 わからない話でもない。仲本はそう思い、そう返事する。


「それで今は、そのギルドに関することも自分のプライベートの範囲に含んでいるようですね」


「ふむ、仕事以外のことはプライベートってことで行動してるってことか」


「はい、そうですね。流石に友達とギルドのための行動以外はとっていませんがね」


 仲本はNPCのその行動の理由については、大まかにではあるが理解する。しかし、疑問点は他にもある。


「ふーむ、自分の為のプライベート時間はないわけか。まあ、それはそうだろうな……しかし、そのNPCの仕事に影響は出ないのか?」


「はい、そのNPCは分身ができるという設定ですから……なので、無数にある分身体の1つが自由行動をとるに過ぎないので、仕事には影響しません」


 仲本は(なるほど)と思い、それについても納得する。


「なら、問題ないか。……それで、今後もこんなことが起こりそうなのか?」


「いえ、今回の件はもう起こったことなのでそのままにしますが、これからについては、友達になるまではOKとしても仕事以外の行動については規制するつもりです」


「そうか、まあそれが妥当な所か。……しかし、NPCがプライベートな時間を持つとはな……」


 NPCがプライベートなどとは思いもしなったことだ。本当に驚くべきことなのだ。


「そうですね。流石はジョージ氏のAIですね。思いもしないことを起こしてくれます」


「ああ、本当にジョージ氏のAIは想定外のことばかりだよ。驚かされてばっかりだ」


 高木と仲本は感心したようにそう口にする。そしてそれを皮切りにジョージ氏の話で2人盛り上がるのだった。


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