マイン、次の冒険を考える
「雷竜神系武具って、何処にあるんだろう?」
マインはタッチパネルを見ながらそう言った。
「さあ……。調べるなり、誰かに聞くかなりすればわかるかも……」
ミイもタッチパネルに目をやりつつそう答える。
『[称号:雷竜王討伐者]を取得しました
取得条件:カーネリアンドラゴンを討伐すること
効果 :雷竜神系武具の取得を可能にする
[セット不要]』
ミイも恐らくはマインと同様にそのメッセージを見ているのだろう。
そう、マイン、ミト、ミイはカーネリアンドラゴンを倒したことで新たな称号を手に入れていた。
しかし、その称号がどれだけ有用なものなのかはよく分からない。
以前、他のボスドラゴンを倒した時にも同じような称号を手に入れているが、残念なことにそれが役に立ったことは今まで一度もないのだ。
「それじゃあ、戻るとしますか」
マインとミイがタッチパネルを見ながら話していると、そこにミトがそう言いながら近づいてきた。
ミトはカーネリアンドラゴンが残した虹色クリスタルを回収し、スキルで召喚石に変換していたのだが、それが終わったようだ。
「うん……それで、召喚石はできたの?」
「いや、それが召喚石じゃなくて『橙色石』ってのができちゃったんだよね」
「……そっか……、うん、今までに倒したボスドラゴンのクリスタルも召喚石にはならなかったんだよね。
……ということは、このボスドラゴンたちは召喚対象じゃないってことなのかな?」
「うーん……たぶんそういう事なんだろうね」
マインとミトはそんなことを話しながら、元来た道を歩き出し、それにミイとテイムモンスターもついてくる。
……そして、雑魚モンスターを倒しつつも歩いていき、十数分後にはカーネリアンドラゴンの丘を抜け出していた。
◇◇◇◇◇
第3階層コンティ・シティ・エリア41。その日、マインとミトは領主館のマインの自室にいた。
ミトはそこで、壁にかけられたディスプレイで、ドラマを見て楽しんでいる。
「うーん、この階層には少なくともあと2体のボスドラゴンがいるんだよね?」
そんなミトにマインが話しかける。
「そうらしいね。それがどうかした?」
すると、ミトはディスプレイから目を離さずにそう答えた。
「いや、うん、次はどちらのボスドラゴンと戦ったらいいのかなって思って……」
「……うーん、でもその2体のドラゴンって、未だにどのプレイヤーにも倒されてないらしいよ」
「えっ? そうなの……。そんなに強いんだ」
……ここは第3階層……所詮は中級者レベルが集まる階層だ。
それなのにいまだに倒されていないモンスターがいるのはマインにとって意外なことだった。
「うん、だから、挑戦するのはまだ先かなと思ってる」
マインはカーネリアンドラゴンを倒したその延長で他のボスドラゴンにも挑戦しようと考えていたのだが、ミトはそうではなかったらしい。
「そっか……。じゃあ次はどうするつもりなの?」
「どうするも何も、もうすぐ新しいイベントが始まるそうじゃない」
マインはその言葉を聞き、僅かに考える。……すると、数日前に届いた通知のことを思い出した。
「あっ、そういえばそっか。
……えっと、確かギルド単位のイベントだっけ?」
「そうそう。だから、次はそのイベントへの参加で良いと思うけど」
「うん、そうだね」
マインはそう言いつつタッチパネルで、通知を確認し、そのイベント内容に目を通す。
(……うん、なかなか面白そうなイベントみたい……)
そして、一通りの内容を見たマインはそう思うのだった。




