ミト、白猫を倒す
ミトは野々乃の言葉を思い浮かべ考える。しかし、取得していないスキルや武器でしか大ダメージを与えられないのであればどうしようもない。
「野々乃ちゃん、やっぱり、終ー了ーってことだよね」
「そうかも知れませんが、可能性はあります」
「可能性?」
ミトにとって、野々乃の言葉は少し意外であった。
どうやら、白猫を倒せる可能性はまだあるようだが、それがどういうものかミトには見当がつかない。この期に及んで一体どのような方法があるというのだろうか。
「はい、特殊武器ならダメージを与えられるかもしれません」
「えっと、どういうこと?」
ミトには野々乃の言いたいことがいまいち理解できない。そして、マインや大吉もミト同様、理解できていないようだ。
「えぇと、そうですね。ボスにダメージを与える条件として、イベント武器や特定シリーズの武器で攻撃することっていうのがよくあるんです」
「?……それだと駄目なんじゃないの?」
……話が見えない。ミトには野々乃が、できないことの説明を繰り返し行っているようにしか思えないのだ。
「はい、しかし、第1階層とか第2階層の場合は条件が緩い場合が多々あって、特殊武器でも良いって場合もあるんです」
「???……でも、それって特殊武器がないと駄目なんだよね?」
会話が成立していないのではないか?……そう感じるほどにミトには野々乃が何を言いたいのかわからない。
「はい、でもミト様はもう既に特殊武器を持っていらっしゃいますよ」
ミトはここでようやく、野々乃の言いたいことに思い至る。
「えっ?もしかしてこの剣?」
「はい、そうです」
野々乃のその言葉で、ミトを含める全メンバーがようやく理解する。白猫を倒せる可能性を。
すると、そこで白猫がミトたちの会話を終わらせる。流石にこれ以上の会話は許容できないのであろう。
「もういいニャ。戦闘再開ニャ」
白猫はそう言うと、自分の両の尻尾をプロペラの様に回転させる。
「何あれ!」
マインは思わずそう声を上げる。そして、皆、その尻尾を警戒し、身構える。
…………しかし、その回転は直ぐに止まる。
「ん?止まった?」
マインは白猫が何をしたのか理解できない。勿論マイン以外も同様だ。回転前後で白猫の姿に何一つ変化はないのだから。
しかし、白猫の言葉でその意味を理解する。
「ふっふっふっ、これでどちらの尻尾が弱点かわからなくなっただろうニャ」
「あっ、うん、そういうことか」
白猫の言葉を聞き、マインは感心したようにそう声を上げる。
しかし、そんなマインに対し、ミトは(いやいや)と心の中で突っ込みを入れる。いくら尻尾を回転させたところで左の尻尾が弱点であることに変わりはないのだから。……いや、この白猫はモンスターなので弱点を左右入れ替えることができるのかも知れないが、マインがそこまで考えているはずがない。
大吉はというと、マインのことを呆れた様子で見ていることから、そこら辺のことはきちんと理解できているのだろう。
……それはともかく、今までの行動から白猫の性格、頭の良さなどの情報を得ることはできている。よって、ミトは自分のとるべき次の行動もわかっていた。なので、ミトは直ぐに行動に移すことにする。
「あっ、あんなところに豚を乗せたドラゴンが!」
ミトは白猫の後方上空を指差し、そう叫ぶ。……実に幼稚な作戦でこれに引っかかる可能性は低いだろうが、一応はやっておいた方が良いだろう。……その程度の考えではあったのだが、白猫は見事にそれに引っかかる。
「どこニャ?どこにいるニャ」
白猫は振り返り上空を見上げ、いるはずもないドラゴンを一生懸命探す。ちなみにマインも「どこ、どこ」とドラゴンを捜しているが、それについては取りあえず無視をする。
……そういう訳でミトは白猫に駆け寄る。そして、その勢いのままに剣(EXソード)を左の尻尾へと振り下ろす。
「ぎにゃー!!!」
剣身が尻尾へヒットしたことで白猫はそう叫び声を上げる。
「やられたニャン」
そして、そう言いつつ、その場へと倒れ込む。
「勝ったの?」
白猫のその様子を見て、ミトはそう呟く。
「はい、HPが0になってます」
野々乃はミトの問いにそう答える。
倒したのに消滅しないのはボスだからなのだろうか。……どちらにせよHPが0になっているということは勝てたということに間違いはないのだろう。……野々乃の言葉にミトはそう考える。すると、ミトの頭の中で『ピコン』という音が鳴り響く。
(なんかお知らせきた。えっと、タッチパネル開かないと)
ミトはタッチパネルを開く。そして、そこに表示された内容を確認するのだった。




