クリム、心配そうに質問する
「ブラックジャベリン」
ミトが6体目のグレイウルフを倒す。
「グレイウルフってそれなりに強いと思うんですけど……簡単に倒しますね。
凄いなあ……」
「いや、この魔法が強いだけですよ」
ミトは振り向き、カツラの言葉にそう答える。
「確かに、強力ですよね。こんな魔法初めて見ました」
「ユニーク魔法ですからね」
「あっ、そうなんですね」
カツラは半分納得し、半分感心しているようなそんな感じだ。
「ユニーク魔法とかユニークスキルを取得することで一気に強くなれる場合があるみたいで……。
私は完全にそのパターンですね」
「いいなあ。私もユニーク欲しいなあ……」
そう言うカツラは少し羨ましそうだ。
……しかし、ミトとカツラがそんな話している中、またもや一体のグレイウルフが現れる。
「あっ、また出たよ」
それに気付いたクリムがそう言う。
すると、クリムが指差した方向にミトは振り向き……。
「ブラックジャベリン」
と魔法を放つ。
「また、一撃。すごいなあ」
……ミトは現れたグレイウルフを全て一撃で倒している。……とはいえ、グレイウルフはバラバラに時間差で出てくるため、それなりに時間はかかってしまっている。
「うーん、ミイちゃんたちも連れてきた方が良かったかな……」
ミイは今頃どうしているのか……時間がかかっている為だろう、マインはふとそう思う。
「強いミンスターなので、来ない方が安全かと思ったんですけど、これなら連れてきた方が良かったかも知れないですね。
経験値も結構入りますし……」
すると、マインの言葉にカツラがそう答える。
「うーん、時間もかかってるしねー……。まあ、とりあえず戻る? もう結構倒したし……」
クリムはカツラの方を向きそう言う。
「そうですね。いったん戻りましょうか」
そして、ミトがそう言うと皆、首を縦に振るのだった。
◇◇◇◇◇
「あれ? 二人だけ?」
マイン達はミイ達のいた場所に戻ってくるが、そこにいたのはショウ、リタの二人だけだった。
「えっと、はいそうです……」
リタはクリムの言葉にそう答える。
(んっ?)
マインはそんなリタ、そしてショウを見て不思議に思う。
何故か二人の表情が暗かったのだ。先程までとは明らかに違う……。
「何かあったの?」
クリムも彼女たちのそんな表情に気付いたのだろう。心配そうにそう質問する。
「えっと、いや……二人はなんか鳥のモンスターを追いかけて行ってしまって……しまったんです」
「……そうなの?」
「……そうです」
(…………)
マインはリタの言葉……いや、様子を見て少し不審に思う。
……何というか……おどおどというか困っているというか……彼女の態度はそういったものに見えるのだ。
「他には何かあった?」
「……いえ、他には何も……」
……やはり、何か困っているように見える。
「えっと……。何もなかったようには見えないけど?」
クリムも彼女の態度を不審に思ったのか、リタをじっと見てそう尋ねる。
……だが、リタは口を閉じたままで……そして、困惑したような表情をし、俯いてしまう。
……そんなリタを見たクリムはショウに視線を移す。
しかし、ショウもリタと同様に視線を下に向けていたのだった。




