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マイン、雑談しながら歩く

「これからどこ行くの?」


 ミトの装備も一通り揃い、これからモンスター討伐というところである。

 ミトは若干そわそわした様子だ。おそらく、先程手に入れた剣の試し斬りをしたくて仕方がないのだろう。


「うん、私も大吉さんもいるんだし、Lv.10くらいのモンスターがいるところはどうかな?その方がミトちゃんのレベルも直ぐに上がると思うんだけど」


 Lv.10くらいのモンスターだと、ミトと野々乃を守りつつでも十分に戦えるはずだ。

 ……今までの会話でわかったことだが、実は野々乃のレベルは1で、戦闘では殆ど役に立たないらしい。なので、ミトに加え、野々乃も守らなければならないのである。


「そうだな。だったら、前に行った南の草原に行こうか?」


 マインは大吉のその言葉に、以前行った南の草原のことを思い出す。


「あっ、うん、あそこですか。確かにあそこが丁度良いかも知れませんね。……うーん、でも、出来れば初めて行く所が良いかな。今まで行ったことのないLv.10モンスターの出現場所ってないんですか?」


 マインはどうせなら知らない場所に行ってみたいと思い、そう言ってみる。


「初めての場所か……何処かあったかな……野々乃さんは何処か良い場所知りませんかね?」


 しかし、大吉には思い当たる場所がない。なので、野々乃にそう質問する。


「あっ、はい、ちょっと地図、表示させますね」


 野々乃はタッチパネルを出現させ、その中にマップを表示させる。


「私には、どこが初めての場所かはわからないので、ちょっと確認していただけますか」


 マインと大吉は野々乃のその言葉を受け、そのタッチパネルを覗き込む。

 それは第1階層のマップで、モンスター出現レベル、出現の頻度、出現モンスターの種類などが表示されていた。案内人ガイドのマップだからだろう。その記載内容は非常に充実している。


「LV.10、Lv.10……うーん、ここも行ったことがあるな」


 マインは、LV.10と表示されている場所を幾つか確認するが、そのどれもが行ったことのある場所だ。


「そうだな、こう見てみると俺たちも結構、いろんな場所に行ってるんだな」


 大吉もマインと同じく、行ったことのない場所はまだ見つけられていないようだ。

 マインと大吉は本当にお目当ての場所がないか念入りに探す。すると、マインがその場所を探し当てる。


「あっ、ここ、うん、ここ行ったことないんじゃないかな」


 マインはマップを指差す。すると、大吉はその場所に視線を向ける。

 そこには確かにLv.10の表記があった。


「ああ、そこ……あれ?」


 マインの指先の場所を見た大吉は、不思議そうな声を上げる。


「あれ、もしかして行ったことあります?私は行ったことが無いはずですけど……」


 マインにはその場所へいった記憶はない。なので、大吉が行ったことがあるのなら1人もしくはマイン以外のプレイヤーとで行ったのだろう。


「ああ、うん、確かに行ったことはあるんだけど、ここって確かLV.4から6のモンスターしか出なかったはずなんだけど……しかもこんなに出現頻度も高くなかったはずだし……」


「えっ?そうなんですか?」


 大吉の記憶違いではないか。マインは少しだけそう思う。


「ああ……おかしいな……モンスター出現について何か変更でもあったのかな……野々乃さん、何か知ってます?」


 大吉はどうやらシステム側での変更を疑っているようだ。よって、野々乃に対し、そう尋ねる。


「いえ、残念ながら、それは知らないですね」


「そうですか」


「ええ、実のところ、私にも知らないことは沢山あるんですよ。

 ……プレイヤーに案内すべきことは全て知っているのですが、それ以外については知らないことの方が多いかも知れません。

 なので、裏技とかそういうものは、知っているものもあれば知らないものもあったりするんです……ゲームをプレイする上で必要なことは全てお話しできるのですが……」


 野々乃のその言葉は大吉にとっては少し意外である。大吉は野々乃がNPCしかも案内人ガイドであることから、何でも知っているように感じていたのだ。


「へぇ、そうなんですね。でも知っているものもあれば知らないものもあるって……その境界は何なんですか?」


 野々乃はNPC武器屋の裏アイテムについては知っていた。……そうなると何を知っていて何を知らないのか、それが大吉は気になっていた。


「境界ですか……それは単にこのゲームの製作補助AIが、情報を知っているかどうかの初期フラグをオンにするかオフにするかの違いですかね……」


 ……その野々乃の返答は専門的なもので、大吉の期待していた返答とは毛色が異なっていた。

 それに、大吉にとって、その説明は不十分に感じるものである。しかし、十分な返答をしてもらうにはかなりの時間がかかりそうだ。よって、大吉はそれ以上の質問は控えることにする。


「……そうなんですね」


「あっ、はい、まあ、全ての設定を製作補助AIがしているわけでは無いのですが、大抵のことはそうです」


 ここで、会話は僅かに途切れる。大吉も、次に続ける言葉を思いつけなかったのだろう。

 すると、その僅かな沈黙を嫌ったのか、ミトが口を開く。


「まあ、それは良いとして、結局、その場所にするんですか?」


 ミトはそう質問する。そろそろ本題に戻しても良いと考えたのだろう。


「ああ、そうだね。ここにしようか」


「うん、そうですね。ここにしましょう」


 大吉もマインも行く場所はそこで良いと判断したようだ。


「了解。じゃあそこに向かいましょうか」


 大吉とマインがそこで良いと言うのならミトとしても何の問題もない。よって、ミトは素直に了承するのだった。


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