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マイン、剣を引き抜く

 そこは木々に囲まれた部屋――部屋と言っても通路が少し広くなった程度のものだが――だった。

 その部屋の中心部分は少しだけ土が盛り上がっており、その更に中心には剣がただ突き刺さっていた。

 周りに何かがあるわけでもなく、青い剣身の剣だけがそこにあった。


「あれを抜けばいいわけね」


 マインはそう言いつつ、剣のもとへ近づいて行く。


「一本だけか……ということは、もう一本は別の場所にあるってことね」


 クリムもそう言い、マインと共に部屋の中心へと歩いて行く。

 ミトとミイもそれについて歩く。


 このイベントで聖なる剣を抜かないといけない人物はマインと村上である。

 一つの場所に剣が二本あれば、後はこの場所を村上に知らせればいいだけだったのだがそう簡単な話では無かったようだ。


「とりあえず、それ抜いちゃいなよ」


 しかしまあ、ここで一本抜いてしまえば、半分はクリアである。

 よって、マインはミトの言う通りとっとと剣を抜くことにする。


 マインは剣の柄をを両手で握り足を踏ん張る。

 そして、思いっきり引き抜くが……。

 それは思いのほか簡単に抜ける。

 あまりに簡単に抜けてしまった為、マインはその勢いで尻もちをついてしまった。


「いたたたた……」


「簡単に抜けたね」

「ホントあっさりと」

「そうですね」


 ミトたちはその様子を見て意外そうな表情をしている。

 恐らくは、少し位は引き抜くのに苦労すると思っていたのだろう。


「何だろう。普通に抜けちゃったよ」


 マインはそう言いながら立ち上がる。

 マインにとっても簡単に抜けたことは意外だった。

 簡単には抜けないと思ったからこそ思い切り力を入れたのだ。


「まあ、うん、抜けたんだからいいんだけど」


「それで、その剣がダイヤの剣なの?」


 ミトはマインの持つ剣に視線を向けている。

 その剣が結婚報酬であるダイヤの剣かどうか気になっているようだ。


「えっと……」


 マインはミトの質問を聞き、タッチパネルで手に持つ剣を調べる。


「いや、違うみたい。うん、サファイアの剣だって」


 だが、それは結婚報酬のダイヤの剣ではなかった。


「ダイヤの剣じゃないんだ……。

 でも、それがこのイベントの聖なる剣は聖なる剣なんだよね」


 ここに来るまでの立て看板に『この先に、聖なる剣が眠る』と書いてあったのだ。

 それはミトの言う通り聖なる剣で間違いないだろう。


「うん、そうだと思う」


 よって、マインはそう答える。


「ということは、それとは別に、更にダイヤの剣も貰えるってことなのかな……。

 お得だね」


 すると、ミイはマインの言葉に続けるようにそう言った。


「このサファイアの剣が本当に貰えるアイテムかどうかは分からないけど……。

 確かにこの剣も貰えるんなら、お得だよね」


 そして、クリムもミイと同様にそう言い、


「まあ、取りあえず、剣を抜いたこと皆に伝えておくね」


 タッチパネルを開け、その画面を何やら叩き始めた。

 まあ、このイベントに参加しているメンバーたちにマインが剣を抜いたことを知らせる為の操作だろう。


 ……そして、その操作を終えたのか、クリムは顔を上げ、マイン達3人に向かって言う。


「それじゃあ、取りあえずもう一本の場所も探そうか。……村上さんの分も」


 すると、それを聞いたミイは「そうですね」と言って頷き、マインとミトもミイ同様に頷くのだった。


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