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村上、マインの後をつける

 キョーコと村上は折角遊園地まで来たのだからと、遊園地で少し遊び、その後は、イーヴィマ・シティ内を少しの間ぶらぶら歩くことにした。

 そして、遊園地を出て少し歩いた時、人だかりが見えたので、その人だかりが何かを確認する。

 その結果、それは結婚式の野次馬であることがわかり、キョーコと村上もその野次馬に混ざることに決めた。


 ……そして、暫く結婚式を見学した後、そろそろ次に行こうと振り返った時、村上の目にある女の子の姿が映った。


「おい、あれマインじゃないか?」


 村上は隣にいるキョーコだけに聞こえる声でそう言った。


「あっ、ホント、偶然ね」


 勿論、キョーコもマイン達には聞こえない様に小声で言う。


「どうする?」


「ここじゃあ、色々話せないしちょっと離れよっか」


 マインが近くにいては自由に何でも話すわけにはいかない。

 よって、キョーコと村上は取り敢えずその場を離れる。




「あんなに近くにいたなんて、聞かれたら不味いことを聞かれたんじゃあ?」


 村上は人だかりから少し離れたところでそう言った。


「いやまあ、大丈夫でしょ。

 それに、聞かれたとしても問題ないよ。

 マインもまさか家族がこんなところにいるなんて思ってもいないでしょうから」


 そう言うキョーコは全く慌てる様子がない。


「まあ、確かにそうだな」


 すると、村上は納得したようにそう言う。

 しかし、直ぐに慌てた様子で言葉を続ける。


「しかし、あの二人また腕を組んで……もしかして、結婚式の下見か?」


 キョーコはその言葉に(そんなわけないだろうけど……)と思うが、口からは違う言葉を発する。


「そうかも知れないね」


「くっ……、ゲームといえど結婚するって……やはりそんな願望があるのか」


(……願望って、どんな願望よ)


 キョーコは今にも笑い出しそうになっているが、それでも何とか耐えている。


「さあ、どうだろうね」


 そして、キョーコは取り敢えず適当な返事をする。


「くっ、本当にどうなんだ……あっ、マイン達が歩き始めたぞ」


 ……まだ、結婚式だか披露宴だかは終わっていないのだが、マイン達もそれを最後まで見ていくつもりはないらしく、人ごみから抜け出そうと歩いていた。


(んっ? いつの間にかミトもいる)


 いつ一緒になったのかは不明だが、マインのユウヒと逆側の隣にはミトがいた。

 まあ、ユウヒと違い腕は組んでいないのだが……。

 ……ちなみにキョーコはミトが誰であるかも知っている。……村上に教えるつもりはないが……。


「くっ、ちょっとついて行ってみるか……」


 ……村上はそう言うが、実際はもう既に歩き始めている。


(……3人組に増えてることに気付いてるのかしら?)


 キョーコはそんな村上の後を追いながらそう思う。

 3人であるならば、最早デートとは呼べない。……そうなると、村上も少しは冷静になるだろう。


「あれ? 人数増えてる? まさか、恋人が二人もいるのか!」


 しかし、キョーコの想像とは逆に、3人に増えたと分かっても全く冷静にはならなかった。


(えっ、いやいや、そんなわけないじゃん……。

 ……いや、ゲームだからそれもありと思っているのか……)


 まあ、キョーコにとっては面白い展開だ。


(うーん、しかし、父さんって冷静さを失うとこんなに面白くなるんだ)


 キョーコはそんなことを思いながら村上と共にマイン達の後ろをつけていく。


 ……そして、そのまましばらく歩いて行くと、今度はマイン達に見知らぬ男性が近づいて行くのが見えた。

 そして、その男性はマイン達のすぐ近くまで来ると彼女等に何か話し始める。


(うん? 何だろう? 道でも聞かれてるのかな?)


 まあ、このシチュエーションであればその可能性が高いだろう。

 しかし、村上はそうは思わなかったようで、


「なっ、今度は男まで……」


 と、興奮気味に言っていた。

 キョーコはそんな村上に、(まじか)と思いながら、一生懸命に笑いを堪えるのだった。


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