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マイン、初めてモンスターを仲間にする

戻ってきた

 マインが草原に辿り着いて15分。今だにモンスターを1匹も倒せずにいた。……いや、モンスターと戦ってすらいないのだ。

 目の前には子猫くらいの大きさのモンスターが10匹以上いるにも拘らずである。


「うん、確かに誰にでも倒せそうなモンスターだよ」


 表示させたタッチパネルに視線を向けながらマインはそう呟く。


(しかし、これは倒せないよね……うん、このモンスターたちはね)



――――――――――――――――――――

【リンゴリス】♀

Lv :1


特徴:おとなしい

   (攻撃してこない)

――――――――――――――――――――



 攻撃してこない大人しいモンスターを倒すというのは、マインには到底出来そうもない。


(リンゴリスにアップル・キャットとアップル・ラビットか……うん、こんな子たちを倒すことなんてできないよ)


 それは、見た目にとても愛らしいモンスターたちだ。

 どんなモンスターかというと、それぞれリス、猫、ウサギに似ており、そのどれもが、何処となくリンゴっぽいのだ。

 リンゴっぽいというのは微妙な表現ではあるのだが、このモンスターたちを見れば誰でもそう表現すると言ってもいいくらいしっくりくる表現なのである。


(うーん、ちょっと触ってみるかな)


 マインは最も近くにいるリンゴリスに近づいていき、その頭を撫でてみる。


(あっ、うん、本当に大人しい)


 リンゴリスは逃げる様子もなく気持ちよさそうにマインに撫でられている。


(可愛い~)


 マインはすっかりリンゴリスに夢中になっていた。頭だけでなくお腹や背中といろいろ撫でてみる。

 そんなことをしている中、急に頭の中に音が鳴るのを感じる。


『ピコン』


 するとタッチパネルが表示され、その中に『リンゴリスを仲間にしますか?』という文字と共にYESとNOの選択肢が浮かび上がる。


(あっ、うん、これはビーストテイマーの能力だね。

 確か、力を見せて認めさせた上でテイムのスキルを使わないと仲間にはできないはずなんだけど……攻撃してこないモンスターにはそれも不要みたいだね。

 ……うん、ここは勿論OKっと)


 マインはそう思いYESの文字に触れようとする。しかし、触れる寸前に手を止める。


(そうだ。仲間にできるモンスターには上限があるんだった。私は、Lv.1だからまだ4体しか仲間にできないけど……どうしよう)


 マインは少し考える。今の時点で最大4体を仲間にすることができる。しかし、4匹仲間にして、後から仲間にしたいモンスターが出てきた場合は、せっかく仲間にしたモンスターと別れなければならない。

 仲間になったモンスターと別れるなんて悲しいこと、マインはしたくない。


(レベルが上がる毎に仲間にできるモンスターも増えていくわけだから……うん、1匹くらい良いよね。

 ……だけど、どの子を仲間にしようかな)


 マインは周りにいるモンスターたちを観察する。1匹だけと決めてしまうと、この中でどの子を選べば良いのか迷ってしまう。


(メスとオスがいるなー……うーん、リス、猫、ウサギどれも可愛いし……)


 マインはなかなか決められない。


(Lv.1とLv.2の子がいるけど、これはLv.2の方が良いよね。……うーん、でもレベルの1差くらいならあっという間に成長しちゃうだろうからそこら辺はあんまり気にしなくても大丈夫かな?)


 観察していると、同じ種族で同じ性別であろうと顔のつくりや体形に差があり、動作にもそれぞれの個性があることがわかる。そして、それがマインを迷わす原因となっていた。


(うーん、でもやっぱりこの子だよね)


 マインは結局、自分が撫でているリンゴリスを仲間にすることに決める。僅かにでも触れあった分、愛着が湧いているのだ。


(うん、YESっと)


 マインはタッチパネルのYESの文字に触れる。

 すると、次は、『モンスターの名前を入力してください』という文字が表示される。


(名前かー。うーん、それじゃあ、『リンゴリス子』っと)


 マインは名前を入力し、決定の文字に触れる。すると、タッチパネルには、リンゴリス子のステータスが表示される。



――――――――――――――――――――

【リンゴリス子】

種族  :リンゴリス[魔獣種]♀

職業  :なし

Lv   :1

HP   :11/11

MP   :5/5


力   :7

魔力  :4

素早さ :15

防御力 :7

魔法耐性:3

運   :9


魔法  :なし

スキル :土属性ダメージ半減[パッシブ]

弱点  :火


装備  :なし


特徴  :おとなしい

――――――――――――――――――――



(へぇー、さっき見てたのより、情報が詳細になってる)


 マインは、リンゴリス子のステータスを見てそう思う。しかし、勿論、そのステータスの良し悪しはわからない。


(うーん、どうしようかな……うん、もうちょっとこの辺りを歩いてみるか。もしかしたら攻撃的なモンスターもいるかも知れないし)


 そこでマインは、リンゴリス子に視線を移す。


(この子はどうしよう……確か、うん、本拠地に転送することができるんだよね。

 でも私には、まだ本拠地が無いからその場合は、ええっと……うん、本拠地がなかったり、本拠地内にスペースが無い場合は、モンスター預かり所に行くんだよね……)


 リンゴリス子はキラキラした瞳でマインを見つめている。


(いや、うん、今日はこの子も連れて行こう)


 マインはリンゴリス子を胸に抱きあげ歩き出す。

 しかし、攻撃的なモンスターを見つけることはできない。


(あっ、あれは初めて見るモンスターだ。……『雪ウサギ』か、これも大人しいモンスターだな。やっぱりこの辺りには大人しいモンスターしかいないのかな?)


 マインは歩いているうちに、初めて見るモンスターとも出会うのだが、そのどれもが大人しいモンスターだった。


(うーん、場所変えた方が良いのかな?)


 マインがそう思った瞬間、またもや頭の中にあの音が鳴る。


『ピコン』


 タッチパネルを見るとそこには『[スキル:クンカワウイネ]を取得しました』と表示されていた。


(クンカワウイネ?……何これ?)


 そこでマインは、今取得したスキルの詳細を見てみる。


(えっと、『モンスターを仲間にするときに使用可能で、見た目を可愛くすることができる。但し、オスのモンスターへの使用はお勧めできない』か……うん、それで取得条件はっと)


 マインは取得条件の欄に視線を向けるが、そこには何も記されてはいなかった。


(うん、確か、取得条件が非公表のスキルもあるって話だけど、取得してからも公表されないんじゃ、何をしてこのスキルが手に入ったのか全然わかんないよ……。

 だって、私、今何もしてなかったし……)


 マインは首を傾げる。実際マインはただ歩いていただけなのだ。なぜスキルが手に入ったのか見当もつかない。


(うーん、わかんないなー何でだろ?)


 マインは再度、タッチパネルに視線を向ける。すると、タッチパネル右上にある時計が目に入る。


(あっ、もうこんな時間か。うん、後は明日だね。明日、このスキル試そっと)


 マインはそう思い、リンゴリス子を地面に座らせる。


「じゃあまた明日ね。預かり所で待っててね」


 マインはそう言い、リンゴリス子に軽く手を振る。


「ピッ」


 すると、リンゴリス子も手を振り返し、可愛らしい鳴き声を上げる。


(可愛い~)


 マインはそんなリンゴリス子を愛らしく思いながらログアウトするのだった。


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