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閑話:高木、納得いかない

閑話の続きです。面倒くさい方は適当に読み飛ばしちゃってください。

「はぁー、脱線してるぞ。あとな、テストやるのが大変だからってことだけで駄目って言ってるんじゃないぞ」


 長身の男が溜息交じりに高木に対しそう口を開く。


「えっ、それってどういう事ですか?」


 高木は不思議そうな顔をする。


「どういう事って、そりゃ、どうせ、荒井や諏訪のことだからこれ以外にも爆弾沢山組み込んでるんだろう?それに、この2人に限らず、高木自身も組み込んでたりするんじゃないのか?」


「うっ、それは確かに」


 長身の男の言うことは尤もだ。高木にはその心当たりが思いっきりある。


「テストやればそれが出てくるだろ?それの言い訳も今回と同じようにするわけか?そりゃしんどいだろ」


「いやー、爆弾に関しては見なかったことにしてテストすればいいんじゃないですかね」


 高木は深くは考えずにそう答える。しかし、それはそう簡単に済むことではないようだ。


「プレイヤーがその爆弾見つけたらどうするんだ?本当にテストやったのかって大目玉喰らうぞ」


「あああ、そうですね。しかし、だからといって本当のことを言うのも不味いですよね。お遊びで称号作ったなんて絶対怒られますよ。部長、無茶苦茶怒りっぽいですし」


「まあ、そうだな」


「ああもう、なんでこんな日に限って出社して来てないんだろう、荒井さんは。諏訪さんも来てないし」


 高木は少し腹立たしげに声を上げる。

 そもそも荒井か諏訪が出社していれば高木がここまで考える必要は無かったはずなのだから。……おそらくは……。


「まあ、うちはフレックスだし、在宅勤務もOKだからな。仕方が無いだろう」


 高木の言葉に対し、眼鏡の男はそう言い、ここにいないメンバーのフォローをする。


「だとしても、あいつらの出社日数は少な過ぎるけどな」


 見た目若い男は僅かに怒ったようにそう口を開く。彼は自由過ぎるその2人に、しばしば迷惑を掛けられることがあり、フォローよりも文句の方を言いたくなるのだ。そして、そんな彼を宥める様に長身の男が口を開く。


「まあ、最低限の日数は出社してるんだから文句は言えないさ。……とはいえどうする?荒井にリモートで繋いでみるか?」


「いや、そこまでしなくてもいいんじゃないか。何か聞くにしても今度来た時で良いよ。

 この会議は部長への言い訳を考えることと、部長への説明のリハーサルってだけだからな。出社してない人間を巻き込む必要はないさ」


 荒井のことを思ってか、リモートで繋げるのが面倒くさいのか、どちらかかはわからないが、眼鏡の男はそう口を開く。

 しかし、その考えには不服なのか、長身の男はそれに対し異議を唱える。


「しかし、上への説明は荒井にしてもらうべきじゃないのか?」


「いや、荒井にさせたらややこしくなる。あいつにやらせるとほぼ間違いなく、部長と喧嘩するからな」


「まあ、そうだよな。」


 今の眼鏡の男の意見には長身の男も納得できたようだ。荒井という男はそういう人間なのである。

 とりあえず、それが納得できたこともあり、長身の男は話を次に進めることにする。


「とにかく、高木の言い訳は却下だ。他、誰か何かないか」


「じゃあ次は僕が」


 長身の男の問いかけに声を上げたのは見た目若い男であった。


「おお、加藤、頼む」


「ええとね、『エロ男爵』って称号は隠し称号でしたってことにしたらいいと思うんだよね」


 見た目若い男(加藤)のその意見に3人は考える。しかし、考える時間はほんの一瞬であった。


「うんそうだな。それでいいと思うよ」


「ああ、それで決定だな」


 加藤の意見に長身の男と眼鏡の男はいともあっさりと賛成したのだ。

 しかし、高木は男たちのその態度には納得いかない。


「えっ?もう決定。私の一生懸命考えた言い訳はいっぱい突っ込みが入ったのに?」


「まあ、突っ込みどころ満載だったからな」


 長身の男はそう言うが、高木はその言葉にも納得はいかない。満載というほどでは無かったはずなのだから。

 それに加藤はたったの一言しか発していないのにそれで決定というのはあんまりな話だ。まあ、部長に説明するときはもうちょっときちんと話をするのだろうが、それにしてもである。


「えぇー。……でも説明はもうちょっとするんですよね?隠し称号でしたって言うだけってことではないんですよね」


「まあ、それだけで済むならそれでいいし、説明求められたら、さっき高木が話してたことの辻褄が合う部分を話せばいいさ」


 長身の男は部長への説明はできるだけ短く済ませたいらしい。他の2人も同様なのだろう。確かに、それは当然の話である。高木としても説明するならできるだけ短く済ませたい。まあ、誰が説明するのかはまだわからないのではあるが……。

 とにかく、相手が納得してくれさえすれば、説明が短くても良いという考えには高木も賛成である。


「はあ、そうですか。でもそんな説明で納得してくれますかね?」


「まあ、納得させるよう話すしかないな」


 長身の男は静かにそう答える。

 そう、相手が納得してくれるかどうか、それが問題なのだ。


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