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43.春風が吹く

閲覧ありがとうございます

まだ鋭意作成中ですが、エタる気はないという決意表明も含めとりあえず1話投稿します。

また少し期間が開いてしまうかもしれませんが目に留まったときは読んでいただけると嬉しいです。

「会長っ!!? これどういうことですか!?」


いつものように生徒会室で勉強をしようと廊下を歩いてたところ廊下の壁、さらに言えば教室から生徒会室に向かう途中にある新聞部の前の壁にありえないものが張られていたためそれをひったくるようにはがして全速力であの人の待つ生徒会室に向かった。


「あらあら、成瀬君。そんな息を切らしてどうしたのですか? まずは座って落ち着いて紅茶でも飲んではどうですか? 今入れて差し上げますから少し待っていてください」

「わかりました・・・。じゃないですよ!? これ見てくださいこれ!! 絶対あなたが差し向けたでしょう!?」


そういっては彼女にA3サイズの学園新聞を手渡す。

その見出しはあろうことか

『新入生があの生徒会長に手を出した!? 見よこの学生Aのすっきりした様子とその時の会長の様子を!!』

と書かれている。

ご丁寧にもルンルン顔で生徒会室を出る写真と、やや服が乱れた状態で床に座り込んで顔を手で押さえている会長の写真付きだ。


「あらあら・・・これは大変なことになってますねぇ」

「いやあんただろこれやったの!? 捏造だろ完全にこれ!!」

「言いがかりはよしてください。でていこれはあなたがこのルンルン顔で部屋を出て行った日に私がお気に入りのカップを落として割ってしまったときを運悪く新聞部の人に撮られてしまったのでしょう。あらぬ誤解が広まってしまいますわ」

「じゃあなんで服が乱れてんですか!?」

「まあその日は暑かったから服を着崩してたんじゃないですか? それよりも大変ですねぇ。私、この容姿とスペックのせいでどうやら学園内にそこそこ大きいファンクラブがあるみたいなんですよ。これを見たら彼らはどうするでしょうねぇ? あなたが生徒会役員でしたら生徒会室に入るのは何にも不自然なことではありませんけど、ただの一般生徒が何度もこう頻繁に通っているのを聞きつけたらあらぬうわさが広まるのも仕方がないのでは?」


「なっ・・・! 勉強を教えてやるって言ってくれたのは会長じゃないですか!」

「それはそれ、これはこれです。こんな強硬手段私だってとりたくなかったですよ」

「今認めたよな強硬手段って!! やっぱ捏造じゃないか!」

「捏造はあなたも初回授業でやったらしいじゃないですか。自分の魔法をほかの生徒がやったことにしたとかなんとか。それにもうこうなってしまったら私から新聞部に撤回を求めなければ彼女らは明日にでも多分ばらまきますよ。この新聞を」


やられた。というかこの人はこういう卑劣な手段をなんの悪びれもなく平然とやるような人だということを忘れていた。ゲームでも何度もやられたはずなのに何も学んでいないんだ俺は。


「・・・・・・今回は油断した俺の負けです。わかりました」

「あら、もう負けを認めるのですか? 一応まだあと3つくらい手はあったのですが」

「・・・それを聞いてさらに反抗する気が失せました。もう好きなようにしてください」

「わかりました、ご協力感謝します。成瀬書記」



こうして俺はアドミラ学園生徒会の書記に無理やり任命させられるのであった。




******



あの事件からひと月が経ち、アリアさんの策略にまんまとはまり書記となった俺は学園生活をそこそこ謳歌していた。というのも新人戦も一応決勝戦の途中までは中継されていたため俺が最上級魔法を使っている姿がばっちりと放送されたため、日ごろの授業で全く魔法の使えない落ちこぼれの烙印を押されていた俺の評価が上がってきたからだ。とくに初戦でみせたあの『八咫烏』は結構なインパクトを与えたようで復学した最初の方はその話題で持ちきりだった。

ただ俺自身原理などを全く理解していないため誰にも教えることができなかったためすぐにブームは去ったが。


結局俺はあの大会のあと、まわりの皆にはあの炎の剣の魔法をオリジナル魔法と伝えて、あの魔法だけは使えると説明したらそこそこ納得してくれたし何よりシルフとウノが俺が入院してる間にいろいろ説明してくれてたみたいだから今の俺のクラスの立ち位置は

『ただ一つのオリジナル魔法を駆使して戦う、魔力やセンスはないけど一発はある平民からの成り上がりを目指す男子学生』

みたいな感じになっていた。

いろいろ違うけど大方は合ってるし都合もいいから俺はこの肩書を受け入れたのだった。


それでも授業では初級の魔法すら使えるかどうか怪しい状態だし、このまえ火魔法を使った時なんて手からわずかに出たと思いきやすぐ俺の足元に落下して足の甲をやけどしてしまったレベルだ。

座学に関してはもっとひどく目も当てられない。これは当面の課題だな。




なんて考え事をしていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。

今日はこの後昼休みに入って座学を2時限受けて帰宅だからかなりちょろい。

「ふぁあ・・・、もう昼か。ウノ、学食行こうか」

「お前はよくそんな寝れるな。また赤点とっても知らねえぞ」

「まあ何とかなるって。それにしてもよく寝たな」


ぐーっと伸びをして深呼吸する。この平和な日々がずっと続けばいいのにな、なんて思ってると急にクラスがざわつき始める。特に男子たちがざわざわ言っているようだ。

そのざわつきの方に目を向けてやるとこのクラスにはいない、赤髪を靡かせながら凛と歩く美しい一人の女子生徒が目に留まった。どうやらこっちに向かっているようだ。


「なんかおはようのあいさつのほうがよさそうな顔してるね、ユーキ。ちょっと話があるんだけどいい?」

「エルサか・・・。ウノごめん、シルフと先に食堂行ってて。てか俺いけないかも」

「わかった。先行ってるぞ」


ガタンと席を立ちウノとシルフが教室から出ていくのを見届けエルサに向き直る。

「ここじゃないほうがよさそうだね」

「うん、屋上とかどうかな」


重い腰を上げ席を立ち、そのまま無言のまま二人で屋上へと向かっていく。


そのまま階段を上がり一番上にある重い扉を開けるとそこにはやや広めの屋上が広がっており、弁当を食べている学生たちで割とにぎわっていた。

ただクラスとは違ってみんな自分たちの世界に入ってるしそこそこ風も吹いているからほかの団体の話なんか気にならないであろう空間が広がっている。俺は割とこのオープンだけど閉鎖的な空間が気に入っている。

俺らはそのまままっすぐ歩いていき誰もいない屋上の橋の方のフェンスにもたれかかり、一息ついてから話を始めた。


「あのさ、来週から王国建立記念週間が始まるじゃない」


王国建立記念週間。

名前こそ違うが大体は前世でいうゴールデンウィークのような大型連休の事で一週間丸々休みになる学生にとっては非常にありがたい記念週間で、おれはレイと一緒に実家に戻る計画を立てていた。


「まあそうだね。なにか一緒にやりたいことでもあるの?」

「フェニクス家は昔からこの記念週間の間に一回集まってパーティーみたいなことをするしきたりがあるの。そこでなんだけど・・・、ユーキも一緒に来てくれないかな?」

「え゛っ、俺が!?」

「うん・・・。どうやらユーキの魔法をお父様たちも見たらしくて興味を持っちゃったみたいなの。ほら、私たちの家系って炎に異常なまでの執着心があるから知らない魔法を使うユーキに興味深々みたい。パーティーには絶対連れてきてほしいってお父様が私に言ってきて・・・。ユーキお願い!! 何でもするから今回だけ付き合って!!」


何でもするから

この言葉だけが鮮明に耳に残ったが頭を振り煩悩を振り払う。

落ち着け、俺。エルサは良くも悪くも純粋だからそこまで考えてないはずだ。


フェニクス家か・・・。ゲーム中でこんなイベントあったっけ?

もしかしたら炎魔法をめちゃめちゃ使うと現れるイベントなのかもしれないが俺はあいにくこのイベントを知らない。ただ何となくだがこのイベントを逃すとエルサが危ない目に合うに違いない、と謎の勘の感がささやいている。


レイには申し訳ないがこっちのほうを優先したほうがいいかもしれないな。あの病室で見たエルサの目も気になるところだし。


「わかった、一緒に行くよ。また日時とかわかったら教えて」

「本当!? ありがとう・・・。また連絡するね」



そういって勢いよくフェンスから離れ屈託のない笑顔を見せるエルサ。

その笑顔にどきりとしてしまい急いで顔をそむけてしまうがまたすぐに向き直る。


「エルサ、俺は何があっても君の味方だからね」

「えっ、き、急にどうしたの?」

「いや、なんとなくそう伝えなきゃって思っただけさ」

「そう・・・。でもありがとうね」


二人の間を吹き抜ける風に乗り、その言葉は宙へと舞い上がっていった。


頭で思い描いてることを文章にすることの難しさをひしひしと感じております。


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