42.第三章 エピローグ
3章ラスト+4章の入りです
あれから2週間ほど経過し、入院していた6人全員が学園生活へと戻ることができた。
俺の骨折ももうサポーターをするだけで大丈夫になったりとこの国の医療技術及び回復魔法はかなり優れているのがうかがえる。
約2週間の間学校に行ってなかったこともあり最初はみんなに心配されたり、いろんなことを聞かれたりしたがもう学園生活に戻ってさらに2週間、事件からはもう1か月以上たっているのでもう落ち着きを取り戻しつつあった。
そしてそんな俺は今、もはや行き慣れてしまった生徒会室で会長と向かい合わせになって紅茶を飲みながら話しているところだ。
「あれからもう1月経ちましたし事態も落ち着いてきたようで何よりです。そういえばあの決勝戦の続きはどうなったのですか?」
「なんかまた夏に練習試合っていう形でもう一回やるみたいです。無観客らしいですけど」
「そうなんですね。大変でしたねそれは。で、どうですか調子の方は?」
「まあぼちぼちですね。もうあと2週間もしたらテストがあるっていうのが絶望的ですけど」
「ふふ、だから今こうやって生徒会室で私が手取り足取り教えてあげているんじゃないですか」
「・・・そうですね。助かってはいますけど」
「じゃああの話に乗ってくださいな」
「それだけは勘弁してください」
話は少しさかのぼり、病室で目が覚めた次の日まで戻る。
*****
結局学園長の話のあと俺らは各々個室にうつり療養期間にはいったがそんな俺の個室を最初に訪れたのはルーンさんであった。
「昨日ぶりだな成瀬。具合はどうだ?」
「まあぼちぼちです。利き手が折れるとしんどいなぁって思っているぐらいです。それにしてもどうしたんですか? なにか話でもあるんですか?」
「ああ、お前にこれを渡しておこうと思ってな」
そう言って渡されたのは赤色の飴玉くらいの大きさのビー玉みたいなものであった。
「何ですかこれ?」
「これは私たちがお前を救助したときにお前か握っていた魔力石だ」
「魔力石? ってことはこれってもしかして・・・」
「ああそうだ。これはあの魔物の魔力石だ」
魔力石。
普通魔物を倒したとき、その体は消えてなくなり魔力が霧散して消滅するといわれている。
ただある程度の魔力を持っていたり、バグハンドのように魔力は持っていないが特殊な魔法を使うような魔物はその魔力が霧散せずに石となってその場に残ることがあるという。
この石にはまだ有効な使い方が見出されていないが研究者は日々研究を重ねているらしい。ゲームでもただ売ることしかできなかったから俺にもよくわからない。
「最初にお前が握っているときはもっと真っ赤に光っていたんだが救助する際に受け取った瞬間光を失ってただの石になってしまたんだ。もしかしたらお前が持っておると何かが分かるかもしれないとなったからこれをお前に託す。何かわかったら連絡してくれ」
「わかりました。大切に保管しておきます」
世間に報道されなかったことにより俺らがあの場でバグハンドと戦ったという証拠は俺らの怪我しかないという状況でこうして形あるものとして残っているものがあるというのは素直にうれしかった。
「それでは私はこれで失礼する。ああ、そういえばアリアから伝言を受け取っていたな。是非生徒会に入ってほしいとのことだ」
「えっ! ちょっと待ってください、あの人そんなこと言ってたんですか!?」
「私としてもお前が生徒会に入るのはいいことだと思うから薦めておいたぞ。事後報告にはなるが連絡先も伝えた」
「なっ!」
急いで病室においてあったカバンから俺の携帯電話を探す。
あの日控室にあった荷物を全部ここに持ってきてもらっているからどこかにはあるはずなのだが右手が使えない都合上中々見つからない。
「あ、あった! ってなんかめっちゃ来てるーーー!」
事件後から放置していた携帯電話にはウノやシルフ、義母さんからの心配メールなどがいっぱい来ていたがその中に知らないメールアドレスからのメールが来ていた。
それも何回も連投されている。
『お久しぶりです。アリアです。突然の話ですが学園に戻ることができたら真っ先に生徒会室に来てください。話したいことがあります』
『先ほど書き忘れましたがもしこのメールを読んだら返信してください。返信待ってます』
『返信が来ないようなので心配になって再度連絡をしました。待ってますからね』
『まだですか?姉さんからはもう目が覚めたと聞いているので返信できると思うのですが・・・』
『ずっと待ってますよ』
「いや怖いよっ! 何なんだこの人!」
「まあ昔からアリアは心配性だったからな。まあその、・・・がんばれ」
「がんばれって言ってる時点でもう俺の事見放してますよね? あの人がやばい人だってわかってますよね?」
そうこう話しているうちに俺の携帯電話にまたメールが届く。あて先はまだこちらから登録していない誰かだ。
『ま だ で す か?』
「のわぁああああああ!!」
怖くなって携帯をベッドの上に落としてしまう。
「まあ、行かなかったらどうなるかは察してくれ、応援してるぞ。私はこれで失礼する」
「・・・と、取りあえず返信しておくか」
一人になった病室が途轍もなく怖く思えたのはこの日が最初で最後であった。
*****
こうして退院後真っ先に生徒会室に向かってアリアさんといろいろ喋ったところとりあえず話は保留にして次のテストまでアリアさんが俺の勉強を見てくれることになった。というか丸め込まれてしまった。
「成瀬君は知らないかもしれないですけどこの学園の生徒会役員は会長が指名できるんですよ」
「いえ、知ってます。でも拒否権ぐらいありますよね」
「一応ありますよ。ほぼないに等しいですが」
「どういうことですか・・・。まぁ俺は絶対にやらないですけど」
「ふふ、そういっていられるのも今のうちかもしれませんよ」
「どういうことですか?」
「それはまたのお楽しみです」
この時俺には彼女にどんどん外堀を埋められてしまっているのを気づくことはできなかった。
エルサのあの目、赤いガラス玉、生徒会、そして俺が気付いていないがもう動き始めているほかの歯車が噛み合うときが刻一刻と迫っていることも。
第三章 新人戦編 -完ー
*****
時間と空間を超えて別の世界。
どこにでもあるようなありふれた教室内でその会話は繰り広げられていた。
「なあシュンスケ、今日夜一緒にCORやらねえか?」
「急にどうしたんだよ。お前和樹が死んだあと、『あいつがいないなら俺はもうCORはやらない』って言って完全にやめたんじゃなかったのか?それに俺ら受験生だし・・・」
「いや、なんかその今日いい夢を見たっつーか、約束したっていうか・・・」
「約束? 誰と?」
「・・・和樹と」
「勉強しすぎで頭でもいったのか? あんまり根詰めて勉強しすぎるなよ」
「ああ・・・。」
和樹が死んだあと、俺ことサトルはCORをやめた。
深い理由はない。ただゲームを起動したときにフレンドになっている和樹の最終プレイ時間が一向に更新されないのを見るのが嫌になっただけだ。
それからはどんなゲームをしてもどこか心から楽しめなくなってしまったし、気付いたら学年1位をとれるほど勉強にのめり込んでいた。
「まあいいけどな。今日塾があるから家に帰った後からでもよければ付き合うぜ。俺も少し前に7週目のバグハンド戦で詰まってからやるのやめてたんだよ」
「本当か!? うん! それでいいからやろう!」
「ただ和樹か・・・。懐かしい名前だな。俺はてっきり公式の発表を聞いたからCORをやり直したくなったんだと思ったんだけどな」
「新しい発表? なにそれ?」
「なんだ、そっちはしらないのか。なんかCORの続編が出るみたいだぞ」
第4章 誰も知らない物語 始動
閲覧ありがとうございます。
当初は3章までの内容で終わる予定だったのですが書いているうちにいろいろ展開が浮かんできたのでまだもう少しは書いていこうと思います。
少し間を置いて煮詰めてから書いていこうと思うのでもしまた見かけたらよろしくお願いします。




