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32.鳴りやまない歓声

説明したかったことを書いたらごちゃっとしてしまいました。読みにくかったらすみません。

この世界に来てから今までで俺が使える最上級魔法についてわかったことがいくつかある。

そのうちの一つはそれぞれ6つの魔法のデメリット、すなわち欠点の違いだ。


まだ使ったことの無い風魔法は除いて考えたところ、光魔法の雷神の怒り(トラローク)を除きそのほかの属性の魔法はどれも()()()()()()の間、いろんな魔法が使えるようになるという点は変わらなかった。だがこれらには大きな違いがあったことが判明したのだ。

その雷神の怒り(トラローク)は他の魔法と併用できることが先日発覚したのはここだけの話だが。


まず氷魔法、氷帝の憂い(クライオニクス)は他の魔法に比べてかなり応用が利き、自分がしたいことなら大抵何でもできる。俺が想像できる限りはだが。またそこそこの実力者の火魔法を受けても溶けないほど頑丈であり、攻撃にも防御にも使うことができる。ただ10分間という制限時間があり、一番の問題点として俺が魔法発動中一歩も動けなくなるというとんでもないデメリットがある。

以前ルーンさんと戦った時に氷ごと弾き飛ばされたことがあったが、もう一度氷のフィールドを広げたければまた氷が下半身を覆うし、何よりその10分間は他の魔法(火、闇)に変更できないため意味がなくなってしまう。

結論を言うとクライオニクスは()()()に俺に対してデメリットが生じるということだ。


次に闇魔法、魔王の贖罪(ディスコルティア)は発動中今まで見たことのある闇魔法をなんでも自由に使えるというものだ。義妹のレイが闇魔法の使い手だったおかげでレパートリーはそれなりに多く、なにより前世のゲーム中に見た魔法でも適用範囲内だったのでほとんどの魔法を使うことができる。

問題点はこの魔法が解けた後、乗り物酔いのような強烈な吐き気と頭痛が俺を襲うことだ。また氷魔法とは違い俺の体力、精神状態によって継続時間が変化するため過信もできない。

つまりこの魔法は()()にデメリットが生じると言える。



続いて土魔法、創造新の欲望(アリグナク)についてだが、こいつは地球の地殻の約5%を占める鉄原子を自在に操ることのできる魔法でこいつもかなり応用が利く上にほかの魔法と組み合わせて使えるというメリットもある。この世界が地球と同じかどうかはわからないが、集まるときはかなり集まるのでまあ似たようなものなんだろう。また魔法を解けば集まってきた鉄原子は元あった場所に戻るようだ。

こいつの欠点はまず発動までにかなりの時間がかかることに尽きる。また、俺の体がぼろぼろになていないと本領を発揮しないため条件がかなり限られるし正直うちの摸擬戦のシステムとは相性が悪い。また若干火力不足に陥りがちという側面も見えてきた。防御面はかなり優れているが。

さらに言えばこの魔法は俺のメンタルにも影響され、一度発動した後に気が緩むと魔法が勝手に解除されるという何ともめんどくさい性質を持っている。

結論、この魔法は()()()()にデメリットがあるということだ。


最後に残る火魔法、神話の拒絶(カグツチ)だが、先ほど使ったようにこの魔法は発動と同時に燃えさかる刀が召喚され、その刀を使って強力な魔法を使えるものだ。ほかの魔法と違い、戦闘が大きく不利に傾くような欠陥はないため俺はこの魔法を学園では主軸として使っていくことにした。

だがこの魔法にももちろん欠陥があり、まず発動中常に熱い。使用者なのにほかの人と同じくらいの熱を感じる。敵とこの刀を使ってつばぜり合いなんかした日にはおそらく二人とも灰になるであろう。

さらに言うとこの魔法、技のレパートリーがほかの魔法と比べて段違いに少ない。炎舞〇ノ太刀といった技しか使用することができないため応用が利きにくく大味になりやすいのだ。

そして一番の欠陥は、その使った太刀に応じて何らかの不具合が俺に生じるのだ。

例を挙げると壱ノ太刀は全くの手加減ができない。焼き尽くすことしかできないため人質を取られたりしたときには絶対使えないといった感じだ。

結論を言うとこの魔法は()()()使()()()()()()()()()デメリットが俺に降り注ぐということだ。



そして今まさにその状況に陥っている。

俺がさっき使った炎舞伍ノ太刀 八咫烏は一度使うとその炎は完全に消滅してしまい大体1時間ほど刀が炎を帯びなくなってしまうのだ。今右手にあるのは焦げたみすぼらしい刀だ。

今回に関して言えば次の試合まで絶対に1時間以上開くから心置きなく使うことができたがこれ以降、そして実際の戦いで使いものになるかは正直怪しい。炎魔法が使えなくなるのは俺にとってかなりの打撃になる。

もちろんこの魔法自体は派手で強力だから相手へのプレッシャーにもなるし、最上級魔法の名に恥じない強力な魔法であることに違いはない。

だからこそ一戦目で使う必要があったしなによりほかの学園への圧力をかけるという意味では今回の作戦は成功したと言えよう。ほかのところはこんな弱点があるなんて知る由もないし。


「お疲れカグツチ。また後で頼むな」

火魔法を解き刀が俺の手元から消える。

『それではほかの出場者の強制転移を行います。腕輪を外さないでください』


会場内に女性の声のアナウンスが響き渡る。

こうして俺たちは最初にいた控室へと戻るのであった。



*****

「いやー大成功だね!ユーキはお疲れ!!まさに理想の展開だよ!これでほかの学校は嫌でもユーキを意識しないといけなくなるから私たちも動きやすくなるし成瀬夕貴っていう存在を世間に知らしめることができたしで一石二鳥だね!!・・・まあ、なんか観客は引いてたみたいだけど」

「まああれほどの魔法を開始と同時に使えばそうなるであろう。引いていたというよりも何が起こっているのかわからないといった感じだったがな。とんでもなく静まり返ってたことに変わりはないが」

「なんにせよ勝ちは勝ちだよ!じゃあ今からはこの後について話すね。私たちの次の試合はあと3試合後の今からやる第2戦目の勝者との試合だから、昼くらいまでは自由時間でいいと思う。試合を見るでもいいし鍛錬場に行って体の調整するでもいいし自由に過ごす方向でいこうかな。確か13:00試合開始だったはずだから・・・12:45にはここにいるようにしてほしいな。特にユーキ気を付けてね!!じゃあとりあえず解散!」


さて、どうするか。一番みたいフロイド学園の試合は一回戦の一番最後の試合だから多分見積もっても多分一時間はあとだ。ほかの学園の試合は正直あまり興味を持てないけど今後に役に立つかもしれない。

控室にはモニターがついてるしここで試合でも眺めていようかな。


「お疲れ様です兄さん。無事作戦通りできたみたいですね」

「ん?ああレイか。まあただ焼き払うだけだったしな。レイはこの後どうするんだ?」

「私は一試合目ほとんど体を動かせてないので今から軽く体を動かしてこようかなと思っていましたが兄さんはどうするんですか?」

「俺は、そうだな。今神話の拒絶(カグツチ)は使えないしおとなしくここで試合でも眺めてようかなって思ってたところ」

「そうですか。ただ兄さん以外の人はみんな鍛錬場に向かうみたいですよ?」

「え!?ってまじだ誰もいねえ!みんなどこ行ったんだ!?」

「鍛錬場ですよ。兄さんの魔法を見たらみんな体がうずうずしてきてしまったんでしょう。迷う余地もなく一斉に向かっていきましたよ」

「じゃあ俺もいく!。一人にしないでよー!!」

「じゃ私に少し付き合ってくれませんか?試したい魔法もありますし」

「・・・・・次の試合に影響が出ないようにしてくれよ。ああ、俺にな」

「わかってますよ。ほら行きましょう」


こうして俺らは鍛錬場へと向かい、各々体を動かした。

試合が控えているというのに俺らは本気で汗を流したあと、配給された弁当を食べるために控室へと戻ってきた。ちょうどその時であった。部屋に取り付けられているモニターがフロイドオ学園の試合が映しだしていた。



配られた弁当を食べながらモニターを見つめる。

そこにはゲームで何度も見た主人公が右手には剣、左手には魔法陣をまとい相手校の陣地に攻め入り選手を何人も同時に相手取っている様子が流れている。主人公の学園の選手もやはり手練れが多いらしくどちらが有利かは火を見るよりも明らかだ。


あいつは自分がリーダーだってこと忘れてるのか?なんでそんな前線に来てんだよ。

ただ、やっぱり変わって無くて安心する。そうだよな、お前はそういうやつだもんな。

気付いた時には相手校のリーダーが打ち取られ決着がついていた。とどめを刺したのもはもちろん主人公だ。

会場内には歓声が鳴り響く。その完成を一身に受けフロイド学園の選手たちが観客に向かって手を振る。会場の気温が一度、二度上昇してるんじゃねえかってくらいの熱気だ。

俺らの時の勝利の時とは大違いだ。時間がたっても鳴りやむことはない。


「やっぱり・・・フロイド学園が勝ち上がってきた・・・。ん?・・・ユーキなんだかうれしそう・・・?」

「そうだね。いま俺はめちゃくちゃうれしいよ。あいつには絶対勝ちたいから。俺が」

「そう。・・・じゃあ午後の試合も頑張らないとだね」

「その通りだよ!みんな午後も頑張ろうね!!」

「「おう!!」」

待ってろ弘人。決勝で会おう。

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