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28.しってたけども

あのあと寮までリラと一緒に向かいそれぞれの部屋に分かれた。

門限ギリギリで危うく先生に怒られるネタがさらに一つ増えそうになったのは内緒の話だ。

リラは俺の上着をたいそう気に入ったみたいで彼女が自分の上着を買うまでは俺のを貸すことになった。

他にも俺は何枚か上着があるし最悪実家まで取りに行けばいいだけだから俺は全然いいが、さっきまで俺が着ていた服だし匂いとか嫌かなと思ったがリラはこれがいいと言って聞かなかった。


「はぁああー。もう寝るか」

部屋の鍵を開け電気をつける。

なんだかこう、友達がさっきまで家にいて遊んでたけど帰っちゃって急に喪失感に襲われるのと同じ感じになる。人部屋はそれだけ寂しい。

寝る前にやわーくらいは浴びようと思い服を脱ぎ浴室に入る。

「・・・・結局まだ大浴場もいけてねえな・・・明日こそは行こう」

昨日はなんだかんだ摸擬戦で疲れて動く気になれずにシャワーで済ませ、今日はもう大浴場は締まっているときたもんだ。結構豪華なはずなのにまだいけていない。

入寮二日目にして前途多難な寮暮らしを振り返りながら水と一緒に汗を洗い流していく。

シャワーを浴び終え寝間着に着替えてベッドに腰かけ髪をタオルで拭いていると近くにおいてあった携帯電話に着信が入る。レイからだ。


「もしもし?レイか?俺だけどどうした?」

『いえ、今日ちゃんと晩御飯を食べましたか?昨日はクラスの男友達と一緒に食べているようでしたが今日は私がいる限りでは兄さんは見かけなかったので』

「男友達?あーシルフの事か。今日は気付いたら寝てて夜までやってる購買で適当におにぎりとか食ったよ。」

『・・・そうですか。じゃあ明日は必ず朝ごはんからしっかり食べてくださいね。なんなら起こしに行ってあげましょうか?』

「あれ?異性の部屋のフロアって行き来できたっけ?」

『・・・・・兄さんは配布された資料をちゃんと見ましたか?朝7時から23時までは守衛室に声をかけて名簿に名前と訪問先の相手の名前を書いたらドアのカギをその間常に開けておくことを条件にしてはいることができるんです。ただやましいことをしていたら一発退学らしいですけどね』

「へーそうなんか。じゃあ明日起こしに来てくれないか?部屋は2307ね!」

『いつまでそうやって私にすがって生きるつもりですか?まあいいですけど』

「ぐっ!い、いやじゃあいいよ、俺だけでしっかり自立して生活できるから!」

『多分無理だと思いますけど・・・。じゃあいいです。まあいいです。望みは薄いですが少しだけ期待しておきましょう』

「おっけー見てろよ!!明日朝一にレイのところに行ってやる!」

『あぁ、そういえば今日はテストみたいでしたけどどうでしたか?』

「おいやめてくれ、その話は厳禁だ」

『まぁ兄さんが解けるかどうかって言われたら怪しいラインでしたもんね』

「どうせ明日返ってくるだろうからまたわかり次第連絡するよ。もし特別課題になったら助けてくれ」

『1個や2個なら面倒は見れますが・・・さすがに全部は無理ですよ?』

「だ、大丈夫だ!1個や2個でっ!・・・おさまればいいな・・・」

『でしょうね。まあ詳しい話は明日聞きます。今日はもう遅いですし寝ましょう。おやすみなさい』

「そうだね、おやすみ」


レイとの通話を終えまたしても一人ぼっちになる。

ただやっぱりレイの声は安心する。もしかしたら俺がこうやって一人で寂しがってるのさえレイにはお見通しなのかもな。

もしかしたらレイも寂しかったりして・・・なんて考えるが俺の妄想力が乏しいのかレイが寂しがっている姿は中々想像できない。


とりあえず明日は朝ばっちり目覚めてレイにやればできるってことを証明せねばと決意し髪を乾かし布団にもぐる。

だが昼寝をした影響か、全く寝付けない。目はギンギンだ。

枕のひんやりしたところを探し、ここだ!ってところを見つけたらまたぬるくなってまた探してを繰り返すが全然寝付けない。

今何時だろうと携帯を付けて時間を見ようとするがその明かりで目がさらに冴える。



・・・・今日リラにしたことは正しかったのか。さっきの夜の出来事が中々寝付けない脳内で不意によみがえる。

今日リラに話したことは全部事実だ。だがリラの悩みや推薦のシステムは本来誰も知らないようなことだし俺がリラに言った『上の人』とはゲームをプレイした過去の俺の事だ。この世界に来て何度「お前は何者だ?」と言われたことか。正直もうシナリオなんてめちゃくちゃだ。

ただもうここまでやっちまった以上後戻りはできない。

本来主人公がやるべきであったイベントを俺がやるしかなんだ。欠陥だらけの俺が。

レイ、リラ、エルサ、柊さん、そしてまだ出会ってないヒロイン。

イベントが起こったときの最善策は頭に叩き込まれている。ただ俺がいることによって生じる不測の事態には全く対応できない。そしていなくなった主人公の存在・・・。

「おれは、やれることをやるだけ、か」

そんなことを考えてながら俺は夢の世界へと意識を手放した。


*****


朝。朝である。

俺こと成瀬夕貴は今ベッドの上で正座をして目の前にある目覚まし時計に向かい合っている。

目覚まし時計が示す時刻は8:00。

「なんで・・・なんでこうなった?」

どうやら昨日の目覚まし時計の件で設定時刻がくるっていたらしい。目安針がずれている。

いまから顔を洗って歯を磨いて、寝癖をとって服を着て今日の分の学校の準備をするとなると少なくとも15分はかかる。

「・・・明日、明日こそは頑張ろう」

俺はもうすべてを諦めていそいそと学校の準備を始めた。


昨日とは違い少しだけ余裕をもって学校に到着する。

だが向かう先は俺のクラスではなく、レイのクラスだ。

教室のドアを開けると大体クラスのド真ん中あたりの席ににレイは座って本を読んでいた。

「あの・・・レイ、さん?やっぱりネクタイ・・・無理でした」

「おや兄さんおはようございます。ただ朝一番ではありませんね。もうじきホームルームが始まりますよ」

「えっと、その、今日も寝坊しました・・・。明日から頑張ります」

「あれだけ昨日は威勢がよかったのに。残念でしたね。そしてネクタイも結べなかったと」

「時間があるときに教えてください・・・そのうち自分でちゃんとやります」

「はいはい、わかりました。ほら、ネクタイを貸してください」


俺が右手に握っていたネクタイをレイに差し出す。

レイは慣れた手つきで俺にネクタイを付けてくれる。

なんか結婚したての夫婦みたいだなーなんてのんきなことを考えていると周りの視線がさらに痛くなってくる。正直・・・これが毎日は無理だ・・・。


「はい、できましたよ。今日も頑張ってくださいね」

「うん!ありがとうじゃあね!」

昨日と同じように逃げるように教室から出る。


だって・・・ネクタイ結びながら普段は無表情の顔をほころばせるレイ見たら誰だって嫉妬するよそりゃ。



*****


チャイムと同時に先生が入ってくる。

なんか昨日よりも不機嫌な気がするけど気のせいか。

「今からホームルームを始める。今日から普通に授業が始まる。前に時間割を張っておくから一回は目を通しておくように。説明は不要だとは思うが一応説明すると魔力概念の講義、剣術、各属性の魔法の講義と演習、歴史、そして摸擬戦の授業がこの学園にはある。講義系はこの教室で、剣術と演習授業はグラウンドで、摸擬戦はこの前のところで行うから場所を間違えないように。今日はまだ午前授業で終わりだが来週からは午後まであるからな。集中を切らさないこと。」


なるほど、授業体系はそんな感じになっていたのか。

ゲームでは授業についてほとんど触れられなかったからその周辺の知識は全くなかった。

それに今歴史の授業って言ったか?勉強したことすらないしわかるわけないだろう赤点の教科が増えるだけだ。


「そして今からだが昨日やったテストを返す。結果としては・・・まあまあといておこう。このテストは100点満点で30点未満が特別課題だ。1教科でも30点を下回ったものはテスト返却後速やかに前まで来るように。それでは1番から順に前に来い」


そういって俺の列が前から順に立つ。俺は確か7番だからすぐ呼ばれるなーと前のほうに歩いていった。

「次5番!お前はもう少し土魔法を勉強しろギリギリだ。6番!これに満足することなく励め!8番!お前の課題は闇魔法だ。しっかりやるように、9番!・・・」


おい、今俺飛ばされたか?俺が呼ばれる前にウノがテスト結果を受けとてるし。

どうしてこうなっているのかは何となく想像がついているので変に騒ぐことなく手ぶらで席に戻る。

どうやら後ろの席のヤンキーは闇魔法はからっきしらしい。ちらっと見えたが29点だった。普通に赤点じゃねえか。

「あれ?もしかしてウノ特別課題?」

「るせーな昔からこれだけはできねえんだよ。でも闇魔法以外は8割超えてるぞ」

「え!?お前ってバカキャラのはずだろ!なんでそんなアイデンティティ捨てるようなことやってんだよ!」

「誰がバカキャラだ勝手に見た目で判断すんじゃねえ!!お前に至っては結果もらえてすらいねえじゃねえか!」

「いや見た目馬鹿っていう自覚あったんだ」

「うるせえ黙れ!」


「お前らいい加減にしろ!!いつもいつもギャーギャー騒ぎやがって!!・・・よしじゃあ赤点をとったものは前に来るように」

「っち、いくぞ」

「これって俺もいくんだよな・・・?」

「ったりめーだろ。おらいくぞ」


皆が座ってる中二人で席を立ち前に向かう。

俺ら以外で赤点になったは3人だ。


「お前らには今から問題集を配る。自分が30点切った属性の魔法の分野を全部解ききって今週中に出すこと。問題数は、そうだな1属性200問くらいだ。調べながらでもいいし間違えてもいいからしっかりとやること。いいな?」


「「「「「はい」」」」」

「あと成瀬、お前は今から職員室に来い」


俺は本当に何回呼び出されたら気が済むのだろうか。




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