25.仲直り
説明したかったことを突っ込んだので読みにくいかもです
ごめんなさい
「ハーゲン先生?なぜあなたが残されたかわかっていますよね?大丈夫です。この部屋は完全防音ですしほかの先生方はちゃんと帰られたみたいですよ」
「そうですか。・・・確かにそのようですね」
「む!今魔力探知を行いましたか!どれだけ信用がないんですか!」
「いえ、一応念のためにと思って。気分を害されたのなら申し訳ありません」
「そんなことはどうでもいいです。・・・私は彼を推薦したルーンからいろいろな話は聞いていますし、今日の摸擬戦の様子だって先ほどビデオで確認しました。最後の光魔法を使ったのは成瀬君ですよね?」
「・・・はいそうです。ただあいつらにバレるとろくなことにならないので伏せさせてもらいました」
「確かにそうですね。まあそれを見越してあなたのクラスにあの子が来るように仕向けたのでそこはまあいいでしょう。虚偽の報告をした点も不問にします。ただ、あなたはちゃんと知っておいたほうがいいです。彼が使っている最上級魔法とはいったいどういうものなのかを」
「すみません、私は少々魔法分野には疎くてあまり深いところまでは知らないのです・・・」
「いえいえ、!そのために今残ってもらってるんですから。私が知っている限りの事しか話せませんが是非聞いていってください。そもそも『最上級魔法』とはいったいなんなのかを」
―――昔々、そうですね人々が『魔法』というものの存在を理解し始めたところまで戻りましょうか。人々が火を使うように、。道具を使うように、言葉を使うようにある日ごく自然とこの国では魔法というものが使えるようになったんです。今日の研究によって魔法とは空気中の魔素を体内に取り入れそれを魔力器官で増幅、貯蓄して自在に操るということが判明してますが、当時はただ訳も分からず使ってたようです。そんな風に魔法の存在が認知されてから数百年の時が立ちある程度の基礎が固められ、そこから昔の飽くなき研究者たちは研究に研究を重ね6つ、あぁ当時は氷と水を分けてたみたいですから7つですかね、まぁその7つの属性の魔法、そしてそこから派生したたくさんの魔法が『名前』を持ち始めたんです。そうしてその魔法のスペシャリストたちがたどり着いたそれぞれの属性の魔法の限界地点が最上級魔法なんです。今日だって世の中にはたくさんの新しい魔法が生まれてきています。その魔法の考案者は王国に申請することでその魔法の権利を持ち、富と名声を得ます。そしてその魔法は階級を持ちます。階級とはその魔法の威力、魔力の消費効率、発動の難しさなどなどを考慮して国のほうで会議して決められるんです。まぁこれに関しては申請しない人もいますけどね。申請するにはその魔法の作り方を公にすることになりますからそれを嫌がる人も少なくありませんし。フェニクスさんとかもそうですね。あの子の炎魔法は階級を持ちませんから。あともう一つ言い忘れてましたが、2属性以上の混合魔法も階級を持ちません。例を挙げるなら回復魔法は光と土魔法の混合魔法ですから階級を持たないというか分類ができないのです。若干話が少しそれましたが、要は最上級魔法とは発動術式が公にされている中で一番強力で発動が難しい魔法なんです。ただ・・・
・・・本来今まで実現可能とされてきたのは第12階級までなんです。つまり彼が使っている13階級魔法とは研究者たちが残した夢の跡、実現不可能な夢のまた夢の理論上発動できると思われる最強の魔法だったり、遥か昔に神や偉人が使ったとされるもはや実在したかもわからない伝説と語り継がれる魔法なんです。だから彼が使う魔法は普通の人は知らないし聞いたこともないでしょう。だって実現不可能だとされて大抵どの文献にも省かれてますから。ただ彼はそれをいとも簡単にやってのけたんです。無理だといわれ続け時間だけが過ぎ去りもはや存在すら風化しつつあったその魔法たちをです。
ですから彼は非常に危ういんです。彼はこれらのことを知らないように見えますし。これから先このことを知った悪い人たちが彼を利用しに来るかもしれません。それはこの学園内でも外でも。
「ですから、あなたにはあの子をしっかりとみてあげてほしいんです。こんな大役任されて大変かもしれませんが、魔法をあまり使わない、信用しないあなただからこそ、信頼してここまで話せるんです。あなたしかいません。よろしくお願いします。ハーゲン先生」
・・・あいつは本当に俺の悩みの種になるな。
初めて会った時だってそうだ。柊に代わる推薦者と聞いていたがいざあってみればなよなよの少年ときたもんだ。腹が立つのも仕方がない。ただ今のこの状況はなんだ。あいつは強すぎて問題になるのか?訳が分からない。ただ・・・あいつのあの強い目は、覚悟を決めた時の眼の光は奪いたくは、ない。
「・・・わかりました。出来る限りの事はします。ただ保証はしません」
「いいんです、わかっていただければそれで。私の話はこれで終わりです。よろしくお願いしますね」
「・・・・・・・失礼します」
その重い扉をゆっくりと明け少しひんやりとした廊下に出る。
扉を閉めるとなるほど、確かに防音はしっかりとしているみたいだ。
「やるしかないのか・・・」
誰もいない廊下にぽつりと俺のため息交じりの決意の言葉が響いた。
*****
そんなおっさんのため息が響く少し前に彼の悩みの種の生徒はその廊下を歩いていた。
先生と話していたらみんなよりもワンテンポ教室に帰るのが遅れ着いた時にはもう誰もおらずちょっとしんみりしながら下駄箱に向かってとぼとぼ一人でその廊下にいたのである。
「くっそうウノのやつ、待っててくれてもいいじゃんかよ。せっかく仲良くなったのに」
なんて不満を漏らしながら帰路を急ぐ。なんだかんだ学校から寮に向かうのは初めてなので少しドキドキする。が、ちょうど下駄箱についたあたりで見たことある男子生徒が壁にもたれかかってこちらを見ていた。そう、俺と摸擬戦前に口論になり神話の拒絶で焼き払ったあの男子生徒である。
「・・・話がある。時間がほしい」
どうやら俺は今日、三人目の男を相手にしないといけないようだ。
・・・変な意味じゃなく。
*****
「どうしたの?あの魔法についてなら何も話せないよ?」
「確かにあの炎魔法は知りたいことばかりだしどうせ最後の地震のような魔法も君が放ったんだろ?あの金髪が放ったことになってたが違うんだろう」
「なんのことだよ。探偵気取りならよそでやってくほしい」
「待て!ちがう、僕が言いたかったのは、その・・・すまなかった」
「それは何についてのなの?俺を馬鹿にしたことなら実際問題本当に俺は魔力がないし仕方ないことだから謝らなくてもいいけど・・・謝るならウノにだよね?あの感じだとみんな寄ってたかって今までウノの事を馬鹿にして、虐げてたんじゃない?あいつもあいつで性格悪いし、雷ふりまくしで確かにおびえる対象だけどさ、馬鹿にするのはちょっと違う気がする。距離をとるとかなら仕方ないと思うけど」
「そう・・・だな。またすぐにでも伝えるよ。あと、そのもう一つ・・・僕と友達になってほしい。手のひらをかえすようだけど、君を見て僕の自信とか傲慢さとかこう、音を立ててが砕け散ったんだ。そして強烈に憧れた。だから・・・」
そこまで言って頭を下げる。
その深々と下げた彼の頭を見て俺の心臓がドクンとなる。
・・・俺はここまで自分のしたことを悔やんですぐに行動できるだろうか。
もしこの力がなくても今の彼みたいにふるまえていただろうか。
・・・そうだよ。本来俺は彼ら側だ。力がなく魔法も使えず、他人をうらやんで尊敬するような。
急に強大な力が手に入ったから少し天狗になっていた。謙虚さを忘れかけていた。
あやうく俺が一番嫌いな、力を振りかざす系の高飛車お上り野郎に自分がなってしまうところだった。
忘れるな。俺はこの学園で一番弱い。もしかしたらこの魔法たちはいつか使えなくなるかもしれない。
いつまでも謙虚でい続けなければいけないんだ俺は。
しかも俺だって最初は彼らの事を金持ち貴族のプライドが高いボンボンだと内心馬鹿にしていたじゃないか。俺には彼をとやかく言う権利なんてないのかもしれない
天井を見上げ一息つく。
危うく一歩踏み間違えるところであった。
「そんな頭を下げないでよ。俺たちはクラスメイトじゃないか。ほら手を出して」
そういって彼の手を無理やりつかむ。
「俺の名前は成瀬夕貴。君の名前は!?」
「・・・シルフだ」
「シルフ、これからよろしく。今日から俺たちは友達だね」
この日俺は俺と同じような悩みを抱える素直じゃないヤンキーと、典型的なお坊ちゃんだと思っていたけど根は素直な、俺を初心に戻してくれた少年の合わせて二人、男友達を作ることができた。




