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23/62

23.その後

なんか主人公が思いのほか強くなっていったのでタイトルを変えました。

よろしくお願いします

巨大落雷が落ちる少し前、摸擬戦場待合室―――


「うわああっ! はあっ、はあっ、はっ!」

全身を地獄の業火のような炎が覆ったのを最後の記憶として突如場面が変わる。

そこは先ほどまでいた待合室であり自分は今その床で倒れこんでいるようだ。

とっさに自分の右手を確認するが目立った傷はどこにも見当たらない。

だがあの地獄の業火のような炎は目に焼きついている。

忘れもしない。あの熱を、温度を、色を音を。


震えが止まらない。

必死にその手を押さえつけて止めようとするが冷汗が背中を伝い膝が笑う。

そんな俺に名前も知らない男子生徒が話しかけてきた。


「よう、すげえ断末魔だったな。お前もあの銃弾にやられたのか? なんだよあの魔法、ホントまいっちまうぜ」

「銃弾? なんだそれは。俺は知らんぞそんなもの。というかまだ始まって5分もたっていないだろう。それなのにこの人数がもう転移されてるなんてなにがあったんだ?」

「何があったも何も、ここにいる全員開始してすぐに緑色の銃弾というか、とりあえずよくわからない何かに胸を貫かれたて気づいたらここにきたやつらばっかだ。今ここにいる奴らは。まあ多分あの柊とかいう女子生徒だろうけどな。たしかあの子って花の精の国からの留学生だろ? 俺らじゃ手におえないって」

「そ、そうなのか。俺らには来てないぞ・・・。距離があったからかもな」

「え? じゃあおたくは誰にやられたわけ?」

「お、おれは、あの、あの平民に・・・」

「平民? ああ、始まる前におたくがメンチきってたあの魔力がめちゃ低い子のコト? え、あの子に負けたの? いかにもしょぼそうだったのに」

「ちがう!やつは、やつは・・・奴は一体何者なんだ! あんな魔法見たことがない!」

「え、ちょ急にどうしたのさ、落ち着けって・・・」


男子生徒がそこまで言いかけたところで待合室のざわめきがさらに増す。

何事かと振り返るとそこには大きなモニターが3つあり摸擬戦場に設置されたカメラが内情を中継しているようで、その中の一つがさっきまで対面していた男子生徒たちが緑色の髪の二人組と戦っているのを映し出していた。


「やっぱりさっきの銃弾はこの生徒のやつだったんだな。かわいいし強いって最強だな!!」

「あんな結界魔法みたことねえよ。聞いたら教えてくれるかなぁ」

「ねえねえ、あの後ろの男の子かっこよくない! 執事さんみたい!」

「でも相対するはあの跳弾王と魔力50男じゃねえか。やられるのも時間の問題だな」



・・・違う。あいつとは、あの男子生徒とは戦ってはいけない。

相対した俺だからわかる。おそらくこのクラスで一番強いのはあの緑髪の少女ではなく一人の平凡な男子学生だ。

一人だけ煮え切らない思いをしながらモニターを見つめていると知らないうちに先ほどまでペアを組んでいた女子生徒が知らないうちに横に立っていた。


「・・・君も俺と同じことを思っているのか?」

「はい、多分。あの人に関しては一度手合わせしないと実力はわからないと思いますが・・・正直言ってあれは化け物です。私たちと同じくくりでは見てはいけないと思います」

「そう、だよな。本当に何者なんだあいつ」

二人でモニターを眺めていると、徐々にあの男子生徒&ヤンキーペアが押されているように見える。

ヤンキーに関しては完全にもてあそばれてるが男子生徒はなんとかかんとかついていっている様子であった。


・・・違う、違うだろ。お前の力はそんなものじゃないはずだ。

先ほどまであんなに馬鹿にしていたのになぜか今は力を出し切らないモニターに映るあの男に苛立ちを覚えるようになってくる。平民だとか、過去の失敗とか関係ない。ただ、自分たちを倒したやつがぼこぼこにされるのが気に食わないし、なぜかあんなに嘲笑った男を少しだけ、ほんの少しだけ尊敬してきている自分にも腹が立つ。さっきまで抱いていた畏怖が尊敬に変わりつつある。


『残り時間 1分です』


ふざけるな。みんなが注目している今こそお前の力を見せろよ。

舐められっぱなしでいいのかよ。お前は多分正当な理由でこの学園に入ったんだろう。

だったら今ここにいる全員をその力で納得させてみろよ。

俺たちを、ここにいる俺たち全員を・・・


「お前の力でねじ伏せろよ!!!!」


つい思いが口に出てしまった。

皆が俺のほうを向きかけた時、さっきまで彼らが見ていたモニターではなく目の前にあるガラスの奥のビル街に異変が起こった。みんなはまた向き直る。

「お、おいあれはなん・・・」

誰かがそう言ったか否か、もはやわからないが次の時には目の前が真っ白に光り少し間をおいて爆音が、振動がこの会場を覆いつくす。

さっきま彼らを映していたモニターはショートし、かなり分厚かったであろうガラスにひびがはいる音がする。

突如起こった爆音を伴った地震にほかの生徒は慌てふためき、一目散に建物から出ていく。

俺も一応命の危険を感じたし、一人ボーっと立ってるのもおかしな気がしたのでみんなと一緒に外に出るが気持ちは何故だかすっきりしていた。横には同じような顔をしているあの子もいた。


俺と、多分ペアだったあの娘だけおそらく気づいたであろう。

これは地震でも災害でもなく一人の魔法によるものだと。



*****


目の前がホワイトアウトし次に視界が開けた時、俺は先ほどまでいたあの待機室にいた。

体の痛みやしびれもないし、無事に転移されたらしい。

腕輪を見ると撃破数が8になっている。どうやら特攻隊攻撃は成功に終わったようだ。


「すっげえな今の技術って。何の後遺症もなしに魔法使えたな」

「ほほう、ならば現実世界であれを打つと何かしらのデメリットがあるということだな?」


声のする方に振り向くとやや不満そうな顔をしてこちらを覗きこむ柊さんの姿があった。

「はは、俺らの初戦は引き分けで終わったね」

「なーにが引き分けじゃ! いったい何なのだあれは。訳が分からぬ! 土魔法といい光魔法といい私が知らない魔法をバンバン使いよって」

「まあ、これが俺の唯一の取り柄だからね。あと、柊さんたちには見せてないけどその前に炎魔法も使ったよ」

「・・・おぬし。今炎魔法も使ったといったか」

「うん、柊さんと会う前に一組のペアに向かって」

「それもあれみたいに謎の派手な魔法でか?」

「そうだよ。炎の最上級魔法」

「・・・夕貴殿、今からでもいい。この学園このクラスで使う魔法をいくつかに絞れ。特にあの光魔法は切り札として誰にも見せないほうがいい」

「・・・やっぱりそうかな?」

「当たり前であろう。これからの学園生活で他クラスとの摸擬戦、他学園との交流戦など様々な戦いがある。それまでにあの魔法がばれていたら効力がだだ下がりであろう。さらにいえば、そんな強力な魔法が使えると知ったら研究したいもの、利用したいものが後を絶たないだろうからな。夕貴殿の身が危ない」

「そう、だよね。じゃあこれからは今日使っちゃった炎魔法と土魔法をベースとして戦っていくとして、ほかはできるだけ控えることにするよ」

「・・・まさか、全属性使えるとは言わぬよな?」

「今ここにいる柊さんと牡丹さんにだけ言うけど、使えることには使えるよ。全属性の最上級魔法を。でもそれぞれデメリットがあって使える場面、場所が限られるんだ。失敗したら俺は死ぬかもしれないほどの。だからあまり口外してほしくないし、これからは気を付けるからここだけの秘密でお願いだ」

「あい分かった。私は約束は守るたちだからな。うしろの牡丹にもきつく言っておこう。ただ、あの光魔法は随分と派手にやってしまったからなぁ仕方があるまい」


「「あの金髪ウノがやったことにしておこう」」


「は?」


タイムアップになって強制送還されたウノがちょうどのタイミングで現れる。

「じゃあ、あとのことよろしく! うまくやってね!!」

「ちょ、ちょっとまておい! 俺に詳しく説明しろ!!!」


ウノの叫び終え虚しくあの雷魔法は彼が放ったものとして事実が改ざんされたのであった。


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