14.VSリラ
好きなように書いてたら量が多くなっちゃいました
読みにくかったらすみません
「創造神の欲望」
開始の合図と同時に俺は土魔法を発動する。
この魔法は最初のほうは何の役にも立たないが、俺が大ダメージを受けたりしたときに勝手にこいつは起動してくれるため戦闘が始まると同時にまずこいつを発動するようにしている。
今回のこの第一試合において俺が使える魔法は限られている。
風魔法はそもそも使う気がないし室内という都合上光魔法は打てない。打てたとしても気を失う恐れがある以上二試合目を控えてる俺には使えない。闇魔法もこれと同じ理由だ。
となると今俺が使える魔法は火か、氷かになる。
ただまだ俺自身、対人戦闘において火魔法を使ったことがないし制御が聞かない都合上魔物相手ならまだしも人に向かってぶっ放すわけにはいかない。となると俺にできるのは一つだ。
対する彼女は氷魔法のエキスパートだ。この段階で彼女がどこまでの魔法を使えるかはわからないが確かゲームではシナリオ内で7段階魔法を使用していた。
そもそもこの世界では使える魔法の段階が高ければ高いほど優秀というわけではなく、それ以外にその使用者の魔力量が大きくかかわってくる。大雑把に言うと魔力量が多い人は第1級でも少ない人の4級とかと同じ火力が出せるということだ。さらに魔力量が多ければ魔力切れが起こりにくくなるから多いに越したことはない。逆におれは魔力量が極端に少ない代わりに強力な魔法が使えるということになるが。
また、自分で作った魔法、いわゆる“創作魔法”というやつは分類がされていないことが多いためこの考え方をすることはできないが今そこについてはいいだろう。
話がそれたが今目の前にいるリラ・ククルカンといいう少女は前者の極端なパターンだ。
膨大な魔力量を駆使してぶっ放しまくる感じである。
今目の前で放たれた氷魔法だってそんなに段階は高くないはずだが俺の魔法よりもすげぇんじゃねえかってぐらいの量の氷が押し寄せてくる。
「いつまでよけ続けているの? つまらない」
「すまない! こっちは時間がかかるんだ!」
俺のいまの目標は身体的ダメージを稼ぎつつできるだけ闘技場の真ん中に居続けること。
向こうからしたら逃げ回ってるだけに見えるかもしれないが、俺が勝つためにはど真ん中に行って俺のフィールドをできるだけ広がるようにしなければいけない。
「はぁ、もういい。・・・終わらせる。強氷塊!」
瞬間、頭上から巨大な氷の塊が俺めがけて落ちてくる。
これ以上は流石にやばいと感じる。
「氷帝の憂い」
できるだけ氷のフィールドを広げてそこから大きな翼のような氷を出して自分の身を守る。
流石に最上級魔法で出した氷が崩れることはなかった。
「驚いた・・・あなたも氷魔法の使い手なの?」
ちらばった氷塊で当たりがホワイトアウトしているうちにぐんぐん氷のフィールドを広げていく。
鍛錬場の床や壁が俺の氷で完全に包まれたので俺も言葉を発する。
「そうだね。どっちが最強の氷魔法使いか勝負と行こうか!」
俺が氷魔法を選んだ理由として、彼女に俺の氷がどれほど通じるのか知りたかった節もあるから負けるわけにはいかない。
もうこの鍛錬場は俺のフィールドだ。
*****
「さむっ! ちょっと待って、あの子って氷魔法使いだったの! この魔法って何!?」
横のほうからこの学園の女性教員が声を上げた。
それもそうだろう。今目の前にあるガラスが全部氷で覆われてしまったのだから。そしてそこから確かな冷たさが伝わってる。
普通の魔法ならおそらく誰も驚かないであろうが、この魔法は見たことがない。彼から急に氷が出たと思えば翼のようなもので身を守り、今では彼の周りを4匹の氷の竜が地面から首を出しリラと戦っている。
それだけじゃない。予備動作なしにいきなり四方八方から氷の刃が彼女を襲い休む隙を与えない。この鍛錬場が彼の氷で覆われた時点でもうこの場は彼のものになったということか。
「ふふふ、ルーンは私の学園に面白いものを送り込んだみたいね」
これからの事を考えると私は笑みがこぼれるのを隠せなかった
*****
あれから何分くらいたっただろうか。
この魔法の欠点である自分が動けなくなる点はできるだけ懐に入れないように立ち振る舞うことである程度解消はできたがやはりそれだとやはり大味になり決定打にかける。
氷のフィールドに氷漬けにしようとしても彼女自身が氷をまとえるためそれのON,OFFで簡単にはがされてしまう。
それに加えリラさんがやる気なさそうな顔に反してかなり身体能力が高い。
身体強化も入ってるだろうがなかなかとらえることができない。
「魔法は強力だけど慣れてくるとさばけるようになる・・・。それにさっきからそこを動いていないけど多分あなた動けないでしょ。ということは接近戦が苦手?」
氷の剣を駆使して次々におれの作る氷の刃を切り落としていく。どうやら俺の氷ももろくなり始めているようだ。それに今まではあまり感じることがなかったがどうやら俺の発する冷気で俺の動きが鈍くなっているっぽい。頭もうまく働かなくなってくる。
「そこそこ楽しめたけどこれで終わり」
そういって俺に刀を向け猛進してくる。氷の合間を縫いながらレイさんがどんどん近づいてくる。
俺は必死にリラさんの進行方向に氷の竜を向かわせるが簡単に躱されてしまう。
彼女は氷のオーラをドリルのように纏いこちらに襲い掛かろうとする。
やはりこの魔法も実践には程遠かったかと思っていた矢先、俺の氷魔法が解ける感覚が来た。
つまりほかの魔法に切り替えるタイミングが一瞬だけできた。
そこからは完全に無意識の反応だった。
昔から自分に染みついているような、無駄のない動き。
この世界に来るよりも前に体感した感覚。
前方から強力な氷魔法が迫ってきたとき、ゲームをプレイしていた俺はいつも・・・
「神話の拒絶」
詠唱と同時におれの手元に深紅に燃え上がる刀が現れる。
と同時にすさまじいほどの熱量が俺の周りに充満し今まで冷やされていた空気が膨張して爆風が周りにひろがる。さっきまで凍っていたガラスが急に熱せられてひび割れ、爆風の衝撃でリラさんが端まで吹き飛ばされる。
俺の周りをうねるように炎がまとわりつき刀は刀身が見えなくなるほど燃え盛っている。
この温度、肌のヒリつきは未だ克服できないが同時に強さの象徴でもあることが嬉しく思う。
「ど、どういうこと・・・? あ、あなた火の魔法も使いこなせるの・・・?」
リラさんがよろめきながら俺に問いかける。
「ごめん、嘘をついた。おれは氷魔法使いじゃない」
「本当に何なの・・・? 訳が分からない!」
そういった俺に答えるように、恐らくリラさんが今放てる最大級の氷魔法を俺に向かって放つ。
「炎舞三ノ太刀 渦炎竜巻」
刀を空に掲げると俺の周りを超高温の炎の渦が包み込み天井まで届く。
炎の渦はやがて天井を焦がし空と室内を開通させる。
俺めがけて放たれた氷は跡形もなく蒸気になり消え去った。
この竜巻は15秒以上維持しようとすると俺を渦が包み込み消し炭にしてしまう恐ろしい魔法だが一瞬なら使える。それに今ならリラさんは遠くにいるから巻き込む心配はない。地面は熱で溶け始めているが。
炎の渦を消し、開けた視界で目に入ったのは何が起こっているのかわからない様子で呆けているリラさんだった。
カグツチを解きながら歩いていき、地べたにぺたんと座り込んでいるリラさんに今さっき出来たばかりの水ぶくれが2,3個ついた右手を差し伸べる。
「ふぅ・・・。何が何だかわからないけど私の負け。あなたすごい」
「・・・ありがとうございます」
そういってその小さな冷たい手で俺の手をつかんで立ち上がるリラさん。
熱で火照っていた俺の手に触れるリラさんの冷えた手のひらは心地よかった。
*****
「どういうことなんですか! 成瀬さんは氷魔法使いじゃなかったんですか!!!」
二階に着くなりフェニクスさんにすごい詰め寄られる。
「いや、その俺は何属性は使えて・・・」
「そんな何属性も使う人が到達できる魔法じゃないですよあれ!! あの火の魔法だって見たことありませんし!」
「氷魔法だってすごい。普通の人はあんなの使えない。それに私はあの魔法を知ってる。あれは氷の最上級魔法でしょ?」
「ああ、うん・・・そうだね。リラさんにはうまいこと攻略されちゃったけど」
「それはそれ・・・これはこれ」
「ほかにも土魔法とかも準備してたけど機会なかったや」
「「あなた本当に何者なの?(なんですか!!!)」」
二人の声が被ったところで玉露さんにも話しかけられる。
「いやー驚きましたね。まさか火と氷の魔法をあそこまでぶっ放せるとは・・・。鍛錬場もボロボロだし結構派手にやってくれましたね」
「うぐっ、それは・・・ごめんなさい・・・」
「まあ君の素性も少しづつわかってきたからそれに比べれば安いものだけど。どうするエルサ?こんな無茶苦茶で未知数な彼と戦いたい?」
「もちろんじゃないですか! 私のほうが強いってことをまだ証明出来てないですからね!」
「ってことです成瀬君。彼女やる気がギンギラギンになってるのでもう一試合やってくれます?彼女、あなたに勝つ気でいるらしいので」
「勝つ気でいるんじゃありません!! 勝つんです!!」
「はい・・・。わかりました。出せる力を全部出します」
そういった直後、フェニクスさんと目が合う。
「私は貴方が何者であろうと負けません! 最初から全力で来てください!!」
そういい放ったフェニクスさんと二人で一階へと向かった。
二人がいなくなったあと、夕貴を学長室まで連れて行った男性が学長に慌てた様子で話しかける。
「学長! あの少年は本当に何者なんですか!!! あんな得体のしれないものをこの学園に入学させる気ですか!?」
「彼? 私もまだ彼が何者なのか、何であんな強力な魔法をポンポン打てるのか、なぜ今まで無名だったのか全くわからないけどこの国、この学園では強さがすべて。入学を断るなんて言語道断です。それに彼・・・」
――― まるで物語の主人公みたいじゃないですか?




