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13.推薦入試

空を見上げれば雲一つない青い空が広がっていた。

そして俺は今この王国唯一の国立高等学校-アドミラ学園の尊大な門の前に立っていた。

家から電車やバスを使って片道1時間半ほどのところに位置するこの学園はルーンさんの家よりもでかく、目の前にある門からして別次元のオーラを放っていた。


そしてその前の門にはいかにも歴戦の騎士のようなオーラを放つ30代くらいのおっさんが佇んでいた。

話しかけるのはちょっと怖いがこの人のほかにそれっぽい人はいない。


「あの、すみません。推薦試験を受けに来たのですが・・・」

「・・・・・お前がフォルゴレ・ルーン殿が推薦した成瀬夕貴か?」

「は、はいそうです!」


そういって右手に持っていた推薦状をその騎士に手渡す。この封筒は俺がこの学校を受けるための切符でありルーンさんの信頼の証ともいえる。


「これです・・・どうぞ」

「ふん、あの結界姫の推薦を取り消してまで推薦したのがお前なのか? 纏っているオーラ、面構え、体つき、どれをとっても正直私には理解できないな。まあいいだろう、お前が最後だ。私についてこい」


そういって初っ端から俺のことをディスってきたおっさんに連れられ学園の中に入っていく。


恐らくさっきこのおっさんが言った『結界姫』とは柊さんのことだろう。

となるとゲームでは柊さんはルーンさんの推薦で入学していたのか。道理で関わりがあったはずだ。

普通に考えたら他国のお偉いさんが入学してくるのに一般で入らせるわけないか。

もし入学後に会えたらいろいろ謝ったりしないとな・・などと考えながら周りを見渡す。


周りの建物はとても前世の時に通っていた学校や今通っている中学校とは比べ物にならないほど大きく綺麗だった。



「なにをきょろきょろしている」


周りをいろいろ見ていたらおっさんに話しかけられてしまった。


「いえ、とても高等学校とは思えない広さ、綺麗さだなと思って」

「当たり前であろう。ここは唯一王国直属の高等学校だ。卒業生の多くは王国軍に入団したり国家の研究プロジェクトに参加したりしているからな」

「へぇ、すごいですね」


スケールが大きすぎるからなのか、俺のしょぼい語彙力ではそんな言葉しか出てこなかった。そんな反応が癪に障ったのかおっさんが声を少し荒らげて俺にしゃべりかけてきた。


「だからこそ、だからこそお前のような奴が仮にも“推薦”で入ってこれるような場所ではないのだ!! 推薦という立場上、私たちはよほどのことがなければ入学を断ることはない。ただ出来ないわけではない! 今日の試験で実力がないようなら容赦なく落とすからな! 覚悟しておけ!!」



・・・それは俺が一番わかっている。

俺はほかの推薦者よりも、それだけじゃないほかの一般生徒よりも明らかに経験が少ない、素養が少ない、才能がない。本来ここにいるはずの人間じゃない。

でも、そんな俺でも最強になれる可能性を見つけたんだ。こんなところでこんな脅しで屈するほど俺は弱くはない。いや弱くは()()()()()


「はい。それは俺が一番、誰よりもわかっていますから安心してください」


こちらを振り向いたおっさんと目が合ったがすぐに視線を外される。

何かを言いかけたようだったがその先は何も発することはなかった。

そのまま男二人無言のまま校舎の中に入っていった。



*****



「はいっじゃあこれで3人そろいましたね。初めまして!! この学校の第4代目学長を務めさせていただいている霧島玉露(きりしまぎょくろ)です!何年も前の卒業生なのであなたたちの先輩ということにもなりますね! あっ年齢はもちろんヒ・ミ・ツです!男の子もいますしね!! 得意魔法は闇魔法で専門は身体強化系です。みなさんも得意不得意あると思いますがこの学校でいろいろなことに挑戦してたくさんの事を学んでくださいね!! あっ、大事なことを言い忘れてた! 皆さんここに来た段階でもう合格ということになりますので安心してください! 巷では試験をやるだのなんか色々な情報が流れていますがこの学校ではやりませんので安心してくださいネ! ただ一応皆さんの技量を知りたいのでこの後移動してもらってそこでちょっとした試験みたいなのをやります! もしかしたらこれが試験と誤認されているのかもしれませんね。これは試験じゃなくてあくまで見るだけなので試験というには違うかなと思いまして・・・」


長い。あまりに長いししゃべるのが早いしテンションが高い。


おっさんに連れられて入った学長室のような部屋には、今だなおマシンガントークを繰り広げている学長である霧島さん、そしてそれを聞いている二人の女子生徒がいた。

俺はこの三人を知っている。この国に居たら嫌でも耳に入ってくる天才少女たち、そして何よりゲームの重要キャラクターだったから。



霧島さんのマシンガントークをもはや右から左に流しているであろう顔をしながら聞いている、背は低く銀色の髪を肩あたりで揃えた釣り目の金色の瞳が特徴の少女 -リラ・ククルカン- 


マシンガントークを興味ありげにふんふん相槌を打ちながらキラキラした眼差しで聞いている、深紅の長髪ポニーテールでまとめ肩から前側に垂らしている目まで真っ赤な瞳が特徴の少女 -エルサ・フェニクス-


こんだけたってもまだしゃべり続ける、見た目は20代後半くらい、実年齢は・・・といった感じの紺色の髪を背中まで伸ばした蒼色の目が特徴的なスーツ姿の女性  -霧島玉露(きりしまぎょくろ)



こんなふうに3人の素性を整理しているとと急に霧島さんの口が止まり顔が険しくなる。


「・・・今この中に私の年齢について茶々を入れた無礼者がいますね」


いや、なんでわかんだよ!思っただけだぞ!!


「そういう無礼なことを思った人はオーラでわかるんです。まぁ長く話してしまったのもありますしキリが良いのでおしゃべりはこの辺にして本題に入りましょうか。皆さんは王国軍各隊長さんたちから様々な事情がありこの学校に推薦されたと思います。こっちとしてもすぐ入学させたいのも山々なんですがさすがに何もせずに入らせるわけにはいかないんですよ。特に今年は」


そういって三人の視線は俺に集まる。それはそうだろう。ほかの二人は同年代なら名前くらいは誰もが知っている有名人だ。この中で実力が完全に未知数なのは俺だけってわけだ。


「なのでさっきも言いましたが今から軽い実力テスト? みたいなのをしますね。テストといても簡単です。三人で一対一の総当たり戦をしてもらうだけです。あまりにも見るに堪えるような結果ならほかの方法でその人の良さを見たりするかもですが基本的にはこれで判断させていただきます。口で説明するよりも実際のやったほうがいいと思うので移動しましょう!!」


そういって俺らは移動をする準備をする。

おそらくおれはここである程度の結果を残せなければ落とされる。

ほかの二人とは違って過去の実績がないから。

期待値がゼロの分上がるときは上がるがこの二人はそんなに簡単に勝てるほど甘くはない。


そんなことを考えているとほかの二人と目が合う。

そんな二人が同時に口を開いた。


「負けません」

「負けないからね!」


・・・正直俺なんて彼女らの眼中にすら入っていないと思っていた。

ただこの人たちはおれに何かしらの期待はしてくれている。

嬉しさと緊張が心の中で混ざる。ぱっと口から出たのはしょうもない言葉だったけどそれで十分だった。


「俺も、負けない」



*****


「そうだなぁまず一戦目は成瀬君とリラさんで行こうかな」


そう言われて俺とリラさんが下に降りる。


今いる闘技場みたいなところは完全室内で一階が会場、2階が観客席みたいになっていてガラス張りになっている。今いる一階から2階を見ると何人かの教師と思われる大人たちがこちらを見ている。さっきのおっさんも強面のままこちらを見つめている。おそらくこれが毎年の恒例行事なのであろう。

この結果によって落とされるかもしれないし、うまいこと評価されれば高校生活で有利に働くかもしれない。


「時間は無制限。どちらかが負けを認めるか、こちらで合図するまでは続けてね!」


霧島さんが2階からマイクでアナウンスを送る。


「あなたが何者か知らないけど・・・やるからには本気で行く。楽しませてね」


そういって彼女は深く息を吐く。こんな俺にも全力で来てくれるみたいだ。


「ああ、君には遠く及ばないけど俺の全身全霊をかけて戦うよ。」


集中しろ、今までと一緒だ。この三か月やってきたことは無駄じゃないと証明するときがきた。

ルーンさん、レイ、待ってろよ。俺は絶対勝つ。


周りから自分の鼓動以外の音が消える。

そして次に俺の耳がとらえたのは開始の合図であった


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