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10.闇魔法のメリットとデメリット +デート? ②

魔王の贖罪(ディスコルディア)

それは闇魔法の最上級に君臨する魔法。


ゲームでの性能は単純明快。これの発動中はすべての闇魔法を魔力の消費や一切の反動なくかつ何個でも同時に使用できるという、いわゆる「無敵時間」になれるものだ。


だがこれが解けると、その後に自分の攻撃力と防御力が一段階下がるという条件があり、恐らくだがこのタイミングでゲームとは違う影響が俺に出ると思われる。


現に今のところ何の問題もないし、そもそもこの世界に来て魔力を消費するという概念をまだ実感していないため、もしかしたら俺は最上級魔法を使う時だけは一切の魔力を消費しないのかもしれないが。


長くなったがつまりは、今のところはゲームの力ほぼ100%で戦えるってことだ。


*****


トイレの窓を突き破り空中に飛び出る。

すぐに足元に魔法陣を起動し、上に駆け上がっていく。

おそらく風魔法が使えない俺が空を舞うことができる唯一の方法であるだろう。


この魔法の使い方なら体ではなく脳に、コントローラーを操作した指に染みついている。

この状況だと指に染みついていても何の意味もないが。


また今発動している魔法陣だが、強く踏み込むと押し返す力が働くためそのまま踏み抜き上に吹っ飛ぶ。

気づいた時には10階、屋上に到達していた。



屋上につくとそこには忌々しきあの巨大ムカデが3体もいた。

久しぶりに見るとやはりでかい。高さは大体俺の3倍あるかないくらいか。それが今は3体もいる。



ただこの前と違う点は、戦っているのはレイだけじゃなくフードを目元まで深くかぶった服装的に少女と思われる者と、でかい剣を力任せに振り回す多分2mは超えているだろう大男の3人だった。



三人ともこちらに気がついていないようなのでとりあえずレイが交戦しているムカデを魔法陣を幾つもまとわせた拳でぶん殴る。

腹にモロに入ったムカデはその勢いで屋上から吹っ飛ばされ外に出そうになる。


「あっやべ!」


外にムカデがでたらやばいに決まっているのに完全に頭から抜けていた。


だがそんな思いとは裏腹に、ムカデは見えない何かに激突したため外に出ることはなかった。


・・・結界魔法。これによりあのフードの少女の正体が判明した。まぁあの大男がいる時点でほぼ確信していたが。


「・・・その声、もしかして兄さんですか?」


急に手持ち無沙汰になったレイがこちらに話しかけてくる。


「あぁ。やっぱり俺はこっちのほうが俺らしいなって思って。それにレイにかっこ悪いって思われっぱなしじゃ終われないし」

「そんな動機で・・・。ふふっ、まあ兄さんらしいですね。 むっ、前方きてます。」


先ほど吹っ飛ばしたムカデがこっちに来る。だがもはや俺とレイの敵ではなかった。

著しく身体能力の上がった俺がムカデを翻弄し、何度も何度も二人で殴り、蹴り、魔法を浴びせる。

俺が来てから3分もしないうちに一体目のムカデはさらさらと細かい粒子になって消えていった。


後の2体だが一体はもうかたずけたのか、二人で一体を相手取っていた。


少女が相手のブレスを結界のようなもので閉じ込め、霧散させるところが目に入る。

もう絶対間違いない、俺は彼女を知っている。


彼女は風魔法をまとわせたその拳で、大男は剣でムカデと相対していた。

はたから見ると押しているように見えるが長引いていいことはない。


目が合ったレイと二人でムカデに向かっていき、レイは最大限の闇魔法を浴びせ、俺は魔法陣を何重にも重ねた拳でぶち抜く。


最後の一体が塵になったところで今回の戦いは幕を閉じた。


*****


「そういやルーンさん来なかったな」


ふっと疑問に思っていたことをレイに投げかけると意外なところから返事が返ってきた。


「ルーン? フォルゴレ・ルーンのことか? 奴ならおそらくだが来ないぞ?」


「えっ、ルーンさんのお知り合いだったんですか!?」

「あぁ、まだ名乗っていなかったな。私の名前は(ひいらぎ)。こっちのデカブツは椿(つばき)だ。まずは助太刀感謝する。」


そういって少女がフードをとると、緑色のショートカット、そして首筋には特徴的な花柄の模様。

間違いない。ゲーム内で主人公と同級生の他国からの留学生である柊だ。


しかもこのなりでこの人、他国のお偉いさまである。間違っても不遜な態度はとれない。


「椿と一緒に買い物をしていたところにな、急に電話がかかってきてこっちにもムカデが出てきたからそっちで足止めしてくれませんかとな。まぁ頼りになる助っ人がいるから多分大丈夫ともいわれていたがおそらくおぬしたちの事であろう」


そういってこちらに視線をやる。

どうやらルーンさんには俺らが魔物のもとに行くだろうと踏まれていたらしい。ショッピングモールにいることは俺らからの電話でバレてたし。なんかこう、見透かされてる感が半端ない。


「そ、そうだったんですか」

「む、なぜおぬしはおぬしよりも若く見えるはずの私に敬語を使うのだ?…さては私の素性を知っているな?」


・・・やばい、既に知っていることがばれてしまった。

こうなってしまってはしょうがない。ここはもう最初からルーンさん伝いで知っていることにしておくしかない。


「え、ええ。あの“花の精の国”からの・・・」


そこまで言いかけた時だった。いままでずっと発動していた魔王の贖罪(ディスコルディア)が解けた。

服は元に戻りどうやら変わっていたらしい眼や髪の色も戻る。そこまではよかった。そこまでは。



解けた瞬間、俺は猛烈な吐き気と頭痛に襲われた。

なんなら3人の前でその場で嘔吐してしまった。


・・・しっている。この感覚は前世の俺の記憶が知っている。これは、そう。


乗り物酔いの感覚だ。

あ、ちょっとこれやばいわ。


「あとは、・・・レイ頼む」


もはや働かない頭でレイにちゃんと頼めたかどうか定かではないがとりあえずはすべてを諦めることにした。




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