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1.プロローグ

1話だけどうしても気に食わなかったので書き換えました。

ごめんなさい

<Cycle of Reverse 略してCOR>


この名前を聞いたことはない高校生は少ないのでは?と思うくらい現代の日本で爆発的に人気を博した学園戦闘シミュレーションゲームがあった。


内容としては魔法の使える世界で魔物や他国からの侵略から自国を守るという超ありきたりの内容ではあったが、友人とマルチプレイができたり極めればどこまででも極めれたゲーム性が話題となり、なにより有名人の間で非常にはやったことが引き金となり徐々に人気が出てきて俺ら一般人でも広く認識されることになった次第だ。


かくいう俺もこのゲームの虜になりもう家に居るときは飯を食うか風呂に入るか寝るかこのゲームをしてたんじゃないかってくらいどっぷりとはまっていた。

確かプレイ時間が400時間を超えたあたりで一番難易度の高いミッションをクリアしてこのゲームにおける最上級魔法、言ってしまえばこのゲームで一番強い魔法を全て習得してそれはもう天にも昇る気持ちになったとこまでは覚えている。それからは何も覚えていない。

たしかあの後一睡もすることなく学校へと向かって友達に自慢しようとしていたはずなのだが今目の前に広がっている光景は教室なんかではなく見知らぬ天井が広がる今まで見たこともない部屋だ。

ただほんの少しだけこの部屋に見覚えがある気がしないでもない。


「・・・あれ?もしかして俺って事故ったのか?」

まず最初に思いつくのはCORの事かよと自分自身に呆れるが、とりあえずここは俺の部屋ではないことは確かである。

さっき発した独り言には誰も反応してくれないが、とりあえず学校に行く最中に何らかの事故に巻き込まれどこかのベッドに寝かされているんだろう。うん、そういうことにしておこう。まぁよくあることだろうしな。

うん、今ちらっと横にあった鏡見たら全く知らない顔だったけど。


・・・え、誰?顔違うっておかしくね?


「えっちょ待っ!」

「ユーキ! いつまで寝てんの! 早く起きなさい学校に遅刻するわよ!!」


とりあえず俺の名前ではない誰かの名前を呼びながらめちゃくちゃ美人な人が俺の部屋のドアを容赦なく開けながら俺よりもでかい声で叫ぶ。


「ちょっ、い、いや俺はだれであなたは誰ですか!? ここはどこ!?」

「なーに寝ぼけてんのよ! ちゃっちゃとご飯食べて学校来なさい!」

「いていていてっ! ちょっとそんな強引な!?」


ごだごだわめく俺の腕をがっしりつかむと俺をリビングのほうへ引っ張っていく謎の美人。全然ほどける気がしないつかまれている右腕。いや、力つよっ!

なんとか振りほどいて自力でリビングに向かうと目が覚めてからようやくおれの記憶にある人と会うことができた。



ただ俺がいたはずの現実の世界には存在してはいけない人のはずなのに。


「やっと起きましたか、兄さん。」


そこにはあの「cycle of reverse」のヒロインの一人の成瀬レイが優雅に朝食をとっていた。

それはもうゲームのワンシーンのように。


*****


あれからすこしずつこっちの世界での記憶が補完されてきていくつか分かったことがある。

一つ目、どうやら俺は事故った拍子にゲーム世界にスリップした、もしくは事故って死んだという前世を突然思い出したのかもしれないということ。まあいろいろ考えても分からないから前世の記憶を思い出したとしたほうがいいだろう。そうすると今の状況は異世界転生ってことになるか。

これに関しては学校に向かう途中の街の感じや成瀬レイが物語っている。

二つ目、俺の名前は成瀬夕貴という名前で成瀬レイとは血のつながりのない同い年の兄妹であること。

三つ目、俺は今中等部3年生であと3か月もしたら高等部の入試があること。いわゆる受験生ってやつだ。

そして最後に一番大事なことがわかった。



おれはほぼ魔法が使えない。



まぁ正直ゲーム中のシナリオに一切でてこなかったので重要人物ではないことはわかっていたがまさかここまでセンスがないとは。

この世界において魔法は火、水、風、土、光、闇の6種類に分類できて、それぞれに13階級まで魔法の威力や難易度で振り分けられることはゲームの知識で知っていたが、どうやら俺は初級が限界らしい。ちなみに高校入学までに普通の人は3階級くらいまでは使えるらしいが。

というか使えないと落ちこぼれ認定されるらしい。


逆に隣の美少女はゲームのヒロインに選ばれるだけあって化け物みたいに強く、すべての属性の5段階まではもう使え、得意属性である闇は7階級まで使えるらしい。どうしてこうなった。これがヒロイン補正というやつか。


だからレイはゲームの舞台であった王国唯一の国立高等学校を受験する予定だし、俺は近所の商業科の高校を受験する予定みたいだ。

商業化の学校に通って、卒業したら城下町の鍛冶屋さんとかどっかその辺に弟子入りしてかわいいお嫁さんもらって、いつかは独立してやがて死んでいくんだろう。

正直悔しくないかと言われれば嘘になるが、あのときよりかは幾分楽しそうだから良しとするか。


「・・・さん、兄さん聞いていますか?」

「あぁ悪い悪い。それで鍛冶屋さんがどうしたって?」

「はぁ? そんなこと一切話していません。全く聞いていないじゃないですか。今日も帰るときはいつもの場所で待っていてくださいね」


いろいろと考え事をしているとレイがジト目でこちらを覗いている。

ちょっと待て、いつもの場所の記憶なんてまだ戻ってきてない。


「な、なぁいつもの場所ってどこだっけ?」

「何を言っているんですか、あの木の下ですよ」

・・・一瞬レイの目が曇ったが何も見ていないことにする。確かゲームの主人公にもこういう目をけっこうしてたなぁ。大体機嫌が悪い時だったけど。Mの方々はこの視線をむしろご褒美と言っていたが実際にそんな目で見られると精神的に来るものがある。


レイが指さしたほうを見てみるとそこには公園があり、中央にはかなりでかい木があった。その公園の向かいが俺らの学校ってわけだ。


「おっけーわかった。じゃあまた授業後に」

「ちゃんと授業を受けてくださいね? いつ魔力が覚醒するかもわかりませんし、基礎がないと覚醒しても全く使えませんからね?」

「はは、まあ期待だけしとくよ」


そんなこんなで学校につき、記憶の片隅にあった友人であろう人たちと適当にしゃべりながら一日を終えた。

授業の内容としては、日本にいたころの数学やら物理がそのまま魔法に置き換わった感じで不安があったが案の定全く理解できなかった。ある程度、魔法についての記憶は戻ってきたが正直授業の内容は何を言っているのかまったくわからない。おそらくだがこっちの世界に来る前からこの成瀬夕貴という男は勉強ができなかったと思われる。あっちの時の俺とそっくりだ。

もうなんだかずっと外国語で授業を受けているような感覚になる。レイ助けてくれ・・・。


あと正直、魔法が使えなかったり義妹が完璧超人だからやっかみや差別があることも少し心配だったが、あそこまで完璧だと一周回って何も起きないのか特にそういったことは何もなかった。魔法についても俺みたいなほぼ使えない人はたまーにいるみたいでただの勉強できないバカという立ち位置に落ち着いていることが分かった。だからこそ商業科ていうのが設立されてるし、貴族様とかになら馬鹿にされるだろうけど今ここにいる友人たちからそういう目で見られることはない。だから居心地の悪さとかを感じることはなかった。


こうしてなんやかんやでこの世界での高校生活が始まった。


魔法が使える世界でどのような生活が送れるのか期待していたのは最初の数日だけで、ふたを開けてみれば俺みたいな魔法の使えない一般人は正直ただ学校に行って友達とだべって、帰って飯食って風呂入って寝るだけの前世と大して変わらない生活をおくっていた。



しかし、こっちの世界での生活が始まって2週間が経とうとしているころに事件は起こった。




*****



その日いつものように学校に行って授業を受け今まさに帰ろうとしている時、グラウンドのほうから大勢の悲鳴が聞こえた。まだ教室にいた俺は友人たちと外を見るとそこには1体の馬鹿でかいムカデみたいな魔物がワープゲートみたいなものから顔を出していた。


『緊急放送です。本校のグラウンドに魔物が出現しました。グラウンドにいる生徒は直ちに校内にもどってください。繰り返しますー』


この世界において自分の敵になりうる存在は大きく二つある。

それは他国と“魔物”だ。一般的に魔物はこの世界には存在しておらず、別次元、もっと詳しく言えばこの世界の裏側に存在するとされており、こいつらは人の負の感情を栄養源としているらしいが、栄養がなくなってきたりするとこうしてワープゲート越しにこの世界にやってきてそのまま人間を捕食することがあるらしい。

人間はこれの対策としてワープゲートの出現を確認すると、国家の精鋭部隊を派遣することになっているので大丈夫のはず。まぁ国家の精鋭部隊が来るってことは基本的に一般人には対処できないということだ。


だから俺らは建物内でじっと身を潜めて彼らが来るのを待つしかないのだ。

クラスの友人たちと窓にへばりつくようにして外を眺めていると不安に思ったのか一人の友人が俺につぶやく。


「なぁこの建物って本当にあの魔物に壊されたりしないよな・・・?」

「大丈夫の、はず・・・多分」

「魔物ってあんなにでかいのかよ・・・俺、初めて見た・・・」


いままでは教師からいろいろと説明を受けて魔物が現れた時の対処法を聞いていたから安心はしていたけど、いざ本物を見るとまじでめちゃくちゃ怖い。

魔法が使えたらあんな奴らと戦わなくちゃいけなかったんだと思うと魔法使えなくてよかったとも思ってしまっている自分もいる。情けないけどそれが本音だ。


「おいっ誰か取り残されているぞ!」


クラスの誰かが発したその声にはっとし外を見るとグラウンドには尻もちをついている少女がおり、その前には今にも捕食せんとする魔物がよだれを垂らしている。


その時、隣の教室の窓から颯爽と飛び出した少女がいた。見間違えるわけない。レイだ。

レイは魔物に向かっておそらくレイが使える最高魔法であろうものをぶつけ、退かせるとそこからは手数の多さで戦いをなんとか優位に運んでいるように見えた。その姿を見た時どこか安心している俺がいた。レイならなんとかできると。おそらく教員も同じ考えであったのだろう、はたまた自分が危ない目に合うのを避けたのかもしれない。


このとき、レイ以外に戦っている者はいなかった。


ぼろぼろになりながらもなんとかその魔物を両断したところで不意にレイが高速で迫る何かに弾き飛ばされた。切ったほうの頭があるほうが動いている。


「ああ! レイちゃんが吹き飛ばされた、っておい夕貴!? お前何を・・・」

一瞬なにが起こったのかわからなかったが気づいたらもう俺は無意識にグラウンドに出ていた。



・・・思い出した。この元になっているゲームにおいて主人公とレイが仲良くなるきっかけを。

このムカデみたいな化け物に対してレイにトラウマがあり、再度現れたこいつから主人公がレイを守ることを。今のレイにはない傷のある腕をしきりにさすっていたことも。


ゲームでレイが生きてるっていうことはこの件でレイは死ぬことはないということではあるが、この事件を境にレイが人間不信になり魔物に対してトラウマを持つことに違いはない。

周りの静止する声なんか聞こえない。ただ守りたいと思ったから守りたい。

エサが向こうからやってきたと魔物はこちらに捕食体制をとる。

勝てるわけない。でも体は動くのをやめない。必死に俺が知っている強い魔法を出そうとするが出る気配はない。当たり前だ。おれはほぼ魔法を使えないから。


「頼む・・・どうか頼む! 神様でも悪魔でも何でもいい。どうか俺に守るべき人を守る力を! 頼むっ!」


魔物の口はもう目前に迫っている。もうここまでかと覚悟を決めた時ふいに周りから音が消えた。


刹那、視界が真っ白になり前世だと思われる俺の記憶が頭の中を駆け巡りあの夜必死にプレイして習得した最上級魔法の魔術式が文字となってが宙を舞いすべて頭に入ってくる。

時間が止まっているような感覚に陥りすべてがスローモーションに見える。


もう何が起こっているのかわからない。目の前には迫りくる魔物。

とっさに俺は魔法を放つ。なぜかいままで全く発動しそうもなかったのに今だけは発動できる気がする。


雷神の怒り(トラローク)



動き出した視界がまた真っ白になり体に激痛が走ったと思えば周りに爆音が轟く。

教室の窓が割れ、校庭の木々が激しくしなる音がした時にはもう俺は意識を手放していた。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 中学生なの?高校生なの?どっち?
[良い点] 続きが気になってワクワクする始まり方でした! こういう始まり方いいと思います! [一言] プレイ時間400時間と聞いて少ないと感じた...俺おかしいのか...(´・ω・`)
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