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昔のはなし

作者: れんすけ

 昔々。私が六、七歳のころ、思えばそのころからすでに感受性の強いやつだったのかもしれない。いや、その年頃の子供であれば誰しも感受性は強いものであるからこの言葉には御幣がある。正しくは、絶対的にも相対的にも彼女は感受性の強いやつだったのかもしれない、である。

 クラスの一部で石に気持ちや感情はあるかというのがはなしに上り、ちょっとした意見対立のようなものになった。三、四人ほどで始まったこの話題はその中で特に対立した二人によって各々の賛同者を募るといった一種のゲームへと変貌を遂げ、適当に近くにいる者に意見を聞きまわった。

 話題が上がった席の三つ後ろでプリントの裏に絵を書くのにふけっていた彼女に、早々問いがまわってきた。

 おまえはどう思う。石に感情とかあると思うか、と。

 あると思う。

 たぶん話を吹っかけられた者で思うと答えたのは彼女だけだったと思う。


 今にして思えば、この一連のできごとはただただホームルームが始まるま前までの何気ないルームメイトの日常のひとつだったのだ。最初に石に感情があるといったやつは本当にそう思っていて、ほかの同意見のやつを求めていたのか。それともたいして思ってはいなかったが、こうやって級友とたわいないやり取りを過ごしていただけなのか。あまりにも昔のことであるので覚えてはいない。


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