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恋空メモリー  作者: たくあん
2/2

本業

前回の続きです!

夕日が沈みきる少し前、薄暗くなってきた帰路を歩く灯。

その足は少し早足になっている。

(早く帰って晩飯作らないとあいつ拗ねるからなぁ)

同じ家で暮らすもう一人の住人の事を考えながら急いで帰る。


ガチャ

「ただいま〜」

帰宅の挨拶をしながらリビングに入る。

そしてそのままエプロンを着けキッチンへ。

この桜井家では家事は全て灯がやっている。

というより、やらざるを得ない。

それはもう一人の住人のせいと言えばそうなのであるが…

「きっと部屋でゲームでもしてるんだろ。

まぁ今日は俺もやる事があるから簡単なもので済ますか」

そう言いながら早速調理へ取り掛かる。

冷蔵庫から調味料、そらから挽き肉その他諸々を取り出す。

そう。具材からお察しの通りハンバーグだ。

慣れた手つきで調理を進める灯。

……

「さて、そろそろ呼んでくるか…」

そう呟きながら二階へ。

そしてもう一人の住人の部屋の前に立つ。

ドアに掛かっているプレートには「レン」の文字が。

ノックをして呼びかける。

「お〜い。蓮〜。晩飯出来たから降りてこ〜い。」


……

………


返事も無ければ物音もしない。

普通の人なら何かあったんじゃないか、倒れてるんじゃないか等と心配する人もいるだろうが、俺にとってはいつもの事なので動じない。

「おい蓮。晩飯出来たぞ。」

そう言いながらドアを開けて部屋へ入る。

「ん〜?兄さんお帰り。今レアモンスター討伐中だから待ってて。」

そこには大きなモニターが3台あり、これまた大きなベッドに寝転がりながらゲームをする妹の姿があった。部屋はそれほど広いわけじゃないのでベッドとPCで大半のスペースを取ってしまっているが本人曰くこれがベストとの事だ。

「はぁ〜帰って早々またゲームやってたのか…

それに待っててって、そこは先に降りててとかじゃないのか…?」

呆れながらもいつもの事だと諦めつつ問う。

「はぁ〜?何言ってるのさ兄さん。兄さんが先に降りたら誰が私を下まで運んで行くのさ?」

「さも当然かの様に言うな。少しは自分で動け。」

「この妹様をおんぶ出来るんだよ?むしろ兄さんにとっては癒しじゃない。」

「それだと俺がロリコンみたいだろ!」

「違うの?」

「違うわ!」

そんな言い合いをしている間に蓮は討伐を終え一区切りついたらしい。

仰向けになり上半身だけを起こし、両手をこちらに向けて伸ばす。

「ん」

それが何を意味してるのかはすぐに分かった。

「はぁ〜もう仕方ないなぁ。ほら」

そう言いながら背中を向けて屈む。

つまりおんぶしろという意味だ。

「全く、兄さんは妹の将来が心配だよ…」

そう呟きながら一階へ降りる。


リビングに入り蓮を椅子に座らせる。

桜井家と言っても両親は海外で暮らしている為実質妹の蓮との二人暮らしだ。

そして二人揃って手を合わせ合掌。

「いただきます。」

「いただきま〜す」

料理に対して特に何を言うでもなく食べ始める二人。


すると蓮が

「そういえば、兄さん締め切りは大丈夫なの?」

と聞いてくる。

「ん?あぁ大丈夫。と言い切りたいところだけど正直ギリギリかな…下手したらまた遅らせることにからかも…」

そう言いながら胃がキリキリする。

「ま、兄さんが締め切りギリギリなのはいつもの事だからね。」

そう言いながらも食事を進める蓮。


蓮聞いてきた締め切り。

それは学生であると同時にもう一つの灯の姿、もとい本業とも言える仕事の締め切り。

つまり小説家である。

普段は小説家である事を隠している。

学校でも知っている人間はほんの一部のみ。


「そもそもバレンタインでさえチョコを貰えないほど恋愛経験の無い兄さんが恋愛モノの小説を書くのが本来は無謀なんだよ。方向転換してSFにでもしたら?」

相変わらず辛口な妹である。

「恋愛経験が無いのは認めるがバレンタインの日にチョコぐらい貰った事はあるぞ!」

少し怪訝そうにする蓮

「へぇ〜それって一体誰?」

「……母さん…。」

見栄を張った灯。

「だと思った。」

「し、仕方ないだろ!元々はたの趣味でネットで書いてたのが編集者の目に留まってその流れでって感じだったんだから!」

「さっさとヒロインとくっつけて終わらせればいいじゃん。」

「そんな適当な事出来るか!読者の事も考えろよ…」


そうなんだかんだ言いつつもそれなりに人気のある作品なのだ。男女比率は半々といった具合だ。


「じゃあこの後は執筆?」

「あぁ、そうなるな。締め切りは二日後だから徹夜だろうな…」

毎度の事とは思いつつもやはり徹夜は辛い。

「ご愁傷様。」

うぅ、妹が冷たい。

「はぁ…生徒会の事といい、やる事いっぱいだ…」

その呟きに眉を動かす蓮。

「生徒会?兄さん生徒会に入ったの?」

少し食い気味に聞いてくる。

「いや、入った訳じゃないよ。俺は小説家としての仕事もあるし。ただ仕事を手伝ってくれって頼まれてな。」

「そんなの断ればいいじゃん。」

ごもっともです。

「それが出来れば苦労しないよ…」

「はぁ…まぁ兄さんが私の世話を疎かにしないならそれでいいけど。」

………


いや、最低限は自分でやってほしいものだが。

着替えは流石に自分でやるけど、部屋とリビングの行き来や靴下を履かせるとかもやらせるからな、この妹は。

「ま、まぁその辺りは問題ないと思うぞ。会長もその辺は考慮してくれると思うし。」

「そ。ならいいんじゃない。それより兄さん、そろそろゲームに戻りたいんだけど。」

つまり部屋まで連れて行けと…

「はいはい、分かりました…」


行きと同じ様に蓮をおぶり、二階の部屋へ連れて行く。

ベッドに降ろした後直ぐに前と同じようにうつ伏せになりゲームを始める。

その姿を後ろに部屋から出る。


「さて、食器洗ってシャワー浴びたら作業始めるか…」

今日も徹夜かと思い、心で泣きながら皿を洗う灯であった。

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