表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方紅転録  作者: rick@吸血鬼好き
7章「花と神社と天界と」
71/96

8、「地霊殿のお泊まり会 後編」

 side Renata Scarlet


 ──地霊殿


「お姉ちゃん達お待たせ〜」


 夕ご飯を食べ終える頃にはミアが地霊殿(ここ)に到着した。

 お出かけ好きなミアと会うのは、何気に二日ぶりだったりするのだが、元はと言えばミアはもう一人の私。そのせいか、久しぶりに会った、という感覚は全くしない。


「遅かったわね。今日は何処に行ってたの?」

「今日は妖怪の山巡りだよー。危うく天狗に見つかりそうになったり、河童と遊んだりして楽しかったよー。今度お姉ちゃん達も行く?」

「貴女ってチャレンジャーよねぇ。危なかっしくて心配になるわ......」

「大丈夫大丈夫! ここに来るのも本当はダメらしいし、お姉ちゃん達も割とチャレンジャーだからね!」

「大丈夫ではないと思うんだけど......?」


 確かに、前に霊夢か魔理沙に聞いたことがある。

 地上の妖怪は地底には行ってはいけないという、不可侵条約みたいなのを結んでいるんだとか。


 ──けど、バレなきゃ大丈夫だよね。バレても友達の家に遊びに行っただけなんだから、本当は咎められる謂れはない......はず。まぁ、ちょっとくらいはあるかもしれないけど......。


「さぁ、食事が冷えますよ。早く食べて、遊びませんか?」

「あ、そうだね。レナ。横失礼。それじゃぁいただきまーす!」


 そう呟くと、ミアは私の横に座り、ご飯をもぐもぐと食べ始めた。


 ──それにしてもよく食べるなぁ。お腹空いてたのかな?


「......お気に召したようで何よりです。えぇ、心を読む程度の能力ですよ。すいません。自動で読んでしまうもので......」

「ううん。自動なのは仕方ないからね。全然大丈夫だよー」

「そうそう。お姉ちゃんはいつもオドオドし過ぎー。もっと外に触れないとねー」

「そ、そうですか......? いえ、私よりも外に触れている貴女が言うのだからそうなんでしょうね」


 さとりは自分の妹に向かって、羨ましそうにも見える笑みを浮かべる。


 ──何か思うことでもあるのかな? ......それともただ単に、妹が羨ましいのかな?

 私もたまにあるし......。


「さぁて。ご飯食べ終わったら、みんなでお風呂入ろっか!」

「そうだね! お姉様! 今日は特別ってことで一緒に入ってもいいよね?」

「いつもお願いされれば一緒には入りますよ。ただ、早めに上がるだけで」


 私が前世が男だったはず、というのもあり、姉妹と一緒にお風呂に入るのは少し抵抗がある。一緒に寝る程度ならまだ問題は無いのだが、妹や姉の裸を見るのは恥ずかしくておかしくなりそうなのだ。


 ──それでもまぁ、長い年月を共に過ごしてきた成果もあり、短時間だけならフラン達は大丈夫だ。けど、お姉様は未だに慣れない。いや、慣れるのもダメだろうけど。


「えぇー! 今日くらいゆっくり一緒に入ろうよー!」

「そうよ、レナ。たまにはいいじゃない。それとも、何か悪いことでもあるの?」

「無いですけど......」

「あ、さとり様。お風呂上がりましたよー」


 お燐が大きな音を立てて扉を開け、部屋へと入ってくる。

 先にお風呂にでも入っていたのか、髪は濡れている様子だった。


 ──猫ってお風呂とか、水が嫌いなイメージがあるけど、お燐は大丈夫なのかな? 猫でも清潔に保つにはお風呂に入るしか無いし、しょうが無いか。


「あらそう。あ、悪いけど、お片付けお願いね。私達はお風呂に入っているから」

「いいですよー。じゃあ、ごゆっくりしてくださいねー」

「ありがとうね、お燐。あ、着替えとか大丈夫ですか? 無ければお貸ししますが」

「大丈夫よ。無くてもレナの魔法ですぐに取りに行けるしね」

「タクシーか何かですか私は......」

「お金払わない分いいよねー。あ、私一番最初に入るー!」


 結局はみんなで一緒に入ることになるのに、こいしはそそくさとお風呂へと向かって行く。


 ──って、ん? どうしてこいしはタクシー知ってるの......? ある意味怖いんだけど......。


「レミリアお姉様。お姉様をちゃんと連れてきてね。こいしー! 私も行くから待ってー!」

「あ......私も行く!」


 こいしにつられて、私の妹達も後を追うように走っていく。


「別に連れて行かれなくても、行くのですが......」

「......道に迷わずに着けばいいんですけど......」

「大丈夫じゃないかなぁ。あ、レナ。先に上がったらダメだからね?」

「はいはい。分かってますよ」

「ミア。そう心配しなくても大丈夫よ。さとり。お風呂まで案内よろしくね」

「はい、分かりました」


 さとりに案内され、私達はお風呂へと向かって行く。




 案内されたお風呂場の中には、既にフラン達が入っていた。


 地霊殿のお風呂はとても一人で入るような狭いお風呂では無く、まるで温泉かのように広い。さらに、男女別で分かれていることや、温泉によくある椅子付きのシャワーが複数あることもあって本当に温泉かと間違いそうになる。


「やっぱり広いのねぇ。紅魔館のお風呂よりも広い気がするわ」

「逆にこれ以外では取得が無いですけどね......。あ。足元にはお気を付けて下さい。滑るので」


 お風呂場の中では、フラン達が全員近くの椅子に座って体を洗っている。


 フランとルナの二人はシャワーを掛け合ったりして戯れている。

 すぐ横に居るこいしは珍しくその遊びには関わらず、我先にと体を洗っている。


「お姉ちゃんってば、それで一回転んだもんねー」

「こ、転んでいません! あれは、ちょっと滑っただけで......」

「あ、お風呂入っていいー?」

「突然話題が変わりますね......できれば体を洗ってからにして下さい」

「じゃぁ、もう洗ったから大丈夫だねー。やっふー!」

「あ、こいし──」


 姉の静止する声を無視して、こいしは浴槽の中へと勢いよくダイブする。

 浴槽の水は壮大に飛び跳ね、ほぼ満タンまで入っていた水は流れ出し、少なくなってしまった。


「痛ーっ! 頭打ったぁ〜......」

「この娘ったら......。こいし? 大丈夫なの?」

「うん! 大丈夫よー。あ、お姉ちゃんもしたいの? どいた方がいい?」

「やらないのでどかなくてもいいですよ。友達が来て楽しみたい、騒ぎたいという気持ちも分かりますが、程々にして下さいよ?」

「はーい!」


 元気にそう返事する辺り、反省をしている様子は無さそうだ。

 さとりもそう思っているのか、やれやれとした表情で体を洗いに向かっていた。


 ──フラン達がやりたそうな目で見ている気がするし、やらないように注意しとかないとなぁ。


「ねぇねぇ。お風呂の後は何かやったりするのー?」


 椅子に座り、体を洗っていると、突然、左隣に座っていたミアがそんなことを聞いてきた。


 もう片方の椅子には、お姉様が。そして、お姉様のさらに横にはさとりやフラン達が座っている。


「寝るくらいじゃないですかね」

「あら。それじゃ面白くないじゃないの。ねぇ、ミア」

「そうだよー。あ、恋バナでもする?」

「別に好きな人とか居ないので意味無いと思いますよ?」


 私は前世ではおそらく男だった。そのせいか、男性には恋心という興味は全く湧かない。いや、もしかしたらいつかは前世のことも全て忘れ、湧くようになるのかもしれないが。


「えぇー? お姉ちゃんのこと好きじゃないのー?」

「えっ? いえ、それは......大好き、ですけど......」

「あら。嬉しいわね。私も好きよ」

「あ、ありがとう、ございます......」


 まともにお姉様の方を見ることができない。目の前にある鏡により、顔が熱く、紅潮していくのが分かる。


「あれ、レナ? 大丈夫? ......あ、あぁ、いつものあれねー。そろそろ慣れればいいのに。

 そんなんじゃ、まだまだ先なのかなー」

「み、ミア......からかわないで下さい......」

「ん? レナがどうかしたの?」

「な、何でもありません......。あ、先にお風呂に浸かっていますね!」


 顔を近付けるお姉様から逃げるように、私は急いで浴槽へと入っていく。


「あ、お姉様が入るなら私も入るー」

「ようやくみんな洗い終わったんだね! 遅かったじゃないかー」

「こいしが早いだけだよー」

「......フラン。あまりくっつかないで下さい。狭いです」

「えぇー! そう言われると悲しいなぁー」


 フランの声は明らかに遊び半分で言っているが、顔だけは本当に悲しそうにしていた。


「......むぅ、そんな顔で見ないで下さい......。仕方ないです。少しくらいならいいですよ」

「流石お姉様ー。物分り良いねー」

「レナ。さっき、顔が真っ赤になってたわよ? 無理して長く入らないでよ?」

「あ、お姉様......。は、はい。大丈夫です......」


 お姉様がそう言いながら、私の横に入ってきた。後ろからは、ミアやさとりも付いてきている。


「それならいいけど......。貴女、無理し過ぎることがあるから心配なのよねぇ。

 あ、そう言えば久しぶりにお風呂に一緒に入るわね。......レナ?」

「......え、あ、そうですね。......お姉様。今日、久しぶりに一緒に寝ますよね。楽しみですか?」

「ふふっ、そうね。楽しみね。今日はミアやさとりも居るから、より一層楽しいでしょうね。けど、ごめんね。私は疲れてるからすぐ寝るつもりなのよ」

「あらま。そうですか......」


 お姉様と寝る時も話すことができると期待していたのだが、少し残念だ。

 だが、姉が疲れているなら仕方がないと割り切った。


「あー。なんだか頭がふらふらしてきたー。あ、私先に上がるねー」

「え? こ、こいし? それ大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫ー。私、強いからね!」

「こいしちゃんそれフラグ」

「回収速度そんなに早くないから大丈夫!」

「それいつか回収するってことだから大丈夫じゃないよね!?」


 何故か、こいしがミアと現代っ子のような会話をしている。


 ──ミアは分かるけど、こいしはどうして知ってるんだろう......。なんか普通に怖いんだけど。


「......まぁ、そろそろ上がってもいいわね。レナ。上がりましょうか」


 何気にお風呂でのお姉様に慣れてはきているが、まだまだ抵抗は多い。

 いつかは、完全に慣れているのだろうかと心配はあるが、それはまだ先の話だろう。


「......はい。そうですね」


 そんなことを考えながら、私はお姉様の促されるまま、お風呂を上がった────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ