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東方紅転録  作者: rick@吸血鬼好き
5章「幻想郷での日常 『春雪異変』」
41/96

5、「妹達のお遊戯」

 side Renata Scarlet


「フラーン、ルナー、ついでにレナー。遊びに来たよー」


 もう四月だと言うのに、まだ雪が振る今日この頃。

 地霊殿に行ってから何週間か経った後でも、こいしが毎日のように遊びに来てくれた。勿論、私ではなくフランとルナの為に。


「あ、こいし! また来てくれたのね!」

「こいし、こんばんは」

「こんばんはです。って『ついでに』は酷くないですか!?」

「こんばんはー。んー、そうなのー? それよりも、早く行こー!」


 こいしは、フランとルナを外に遊びに連れて行ってくれるからとても助かる。基本的に、夜に来て紅魔館の近くで遊んでいる。

 ちなみに、心配だから私もついて行ってる。まぁ、三人とも妖怪だから大丈夫だとは思うけど......一応ね。

 それにしても、私に対して酷くない? ......まぁ、無意識だから仕方ないね。


「今日は何処で遊ぶの? 森の中?」

「たまには人里まで行ってみよっ! ねぇねぇ、お姉様。いいよね?」

「え? んー......仕方ないですね。何があっても私が守りますからいいですよ。ただし、人間にバレないようにして下さいね。ある程度なら大丈夫だとは思いますけど......」

「やったー! ルナ、こいし。行こっ!」

「分かったー」

「うん、行こう。......オネー様、早く行かないと置いていかれるよ?」

「ん、そうですね。行きましょうか」


 こうして、私はいつも妹達について行く。理由は勿論、心配だからと言うのもあるが、何か不測の事態が起きても対処出来るようにだ。

 私でも対処出来ないことはあるけど、居ないよりは居た方がいいと思う。


「今日は何して遊ぼっか?」

「んーとね......かくれんぼ!」

「こいし強過ぎるからダメ。もっと公平なのがいい」

「えー! それなら......んー、何がいいかなー?」

「缶蹴りとかはどうです?」

「缶蹴り? ......あ、お姉様と二人きりでしたあれ? あれつまんなーい」

「それは二人でしたからですよ。私も含めて四人もいれば、楽しいですから安心して下さい」


 まぁ、確かに二人で缶蹴りはちょっと面白みに欠けるからね。......フランも私も吸血鬼だからか、相手が一人でも人間の時より大変だったけど......。


「ふーん、それじゃぁ、缶蹴りやる? お姉様が楽しいって言ったなら、本当に楽しいとは思うよ」

「じゃ、それにしよっかー」

「オネー様、ルール教えて」

「鬼は缶を守り、逃げる方は缶を蹴れば勝ちと言う簡単なルールですよ」

「......オネー様、こいしが無双しそう」

「鬼を私がやれば大丈夫ですよ」


 フランやルナと違って、私はこいしを見つけやすいしね。気付かない時は本当に気付かないけど......。


「私強いからね、仕方ないね」

「むっ、オネー様、やっぱり私が鬼やる。今日こそはこいしに勝ちたい」

「どうして貴女は火に油を注ぐようなことを......。はぁ、いいですよ。ただし、負けたからといって、私にあたらないで下さいね?」

「私、オネー様にあたったことないよ?」

「おっと。それはフランでしたっけ?」

「お姉様、言いがかりやめて。私はお姉様に優しいよ? 優しすぎるくらいだよ?」


 え? ......余計なことは言わない方がいいよね、うん。


「......そ、そうですねー」

「何よ今の間!? そしてなんで片言!?」

「フラン、オネー様。こいし、先に行っちゃったよ?」

「置いていかれると不味いでしょうし、急ぎましょうか!」

「あ、お姉様! 逃げるなー!」

「待って」


 私達はいつものように、月に照らされて銀色に光る雪の世界へと出ていった──




 ──数時間後 人里近くの森


「......ルナ、もう諦めてもいいのですよ? 試合終了のホイッスルはもう鳴っているのですよ?」

「諦めたくない。それと、オネー様。何言ってるか分かんない」


 あれから、ルナが鬼で、何回も何十回も缶蹴りをやっているが......一度も勝っていない。

 勿論、勝てない理由は──


「とりゃー!」

「あ、また飛んでった! こいし、卑怯!」


 こいしである。もっと詳しく言えば、こいしが意図せずとも無意識になっているので、気付かれることなく缶を蹴って逃げていく。

 ルナが気付いた時には、缶が何処かへと飛んでいってるのだ。

 ルナも結構本気で、能力を使っていない私が行くと、すぐに捕まえれるのに......。


「ハハハー、勝てばよかろうなのだー」

「卑怯と言うか、この娘、能力解けないから仕方ないような......」

「ルナー、諦めて雪だるま作ろうよー」


 ちなみに、フランはルナを勝たせる為に、十回目くらいで鬼になったのだが......やっぱり負けるので、今は諦めて私と一緒に雪だるまを作っている。

 私が鬼になるという方法もあったのだが、それはルナに断られた。出来る限り、一人で勝ちたいのだろう。フランに手伝ってもらっていた辺り「フランも(ルナ)だから、それで勝っても卑怯じゃないよね」とかは思っているんだろうけど。


「嫌! 勝つまでやる!」

「はぁー......こいし、負けてやってはくれないのですか? このままだと、朝まで続きますよ?」

「だが断るー」

「あ、はい。分かりました......」


 ルナもこいしも負けず嫌いなんだなぁ。朝までには無理やりにでも帰らすか。今は曇ってるから大丈夫だけど、それでも朝は危険だろうしね。

 それにしても、私達って雨は無理なのに雪は大丈夫なのね。......まぁ、流水じゃないからなのかな。よく分からないや。


「お姉様、雪だるま完成したね。次はかまくら作ろー」

「かまくらですね。分かりました。......やっぱり、魔法はダメですかね?」

「ダメー。そんなのつまらないでしょ? 私は作るのを楽しみたいのー」

「んー、私には少し分からないですが......フランがそう言うなら、そうしましょうか」


 正直に言うと、作るのめんどくさい。まだフランと一緒に作っているからいいけど......一人でなら、魔法で雪を動かしたり、氷を作って自動的にかまくら作ってると思う。


「お姉様って、めんどくさがり屋だよね。あ、別にいいよ? 私と一緒に遊んでくれるなら」

「それならよかったです。フランやお姉様達には嫌われたくないですしね......」

「え? お姉様、急にどうしたの?」

「......いえ、ただ、そう思っただけですよ。何も気にすることはありません」

「ふーん......」


 私とフランは、雪だるまを作りながら、そんな会話をしている。

 そのすぐ横では、またルナが悔しそうにしていた。やっぱり、また負けたんだね。


「そう言えばさ、今って四月なんだよね?」

「そうですよ。......どうしました?」

「ここでの四月ってさ、雪が降るものなの? 前に魔理沙から聞いた話だと、今頃は桜っていう花がいっぱい咲いてるって......」

「え? ......確かにおかしいですね」


 今まで何とも思ってなかったけど、四月なのに雪が降るのは確かにおかしい。ただ単に、春が来るのが遅いってだけなんだろうけど。


「もしかして、これって異変だったりするのかな?」

「......嬉しそうですね。だけど、残念ですが、ただ単に春の訪れが遅いってだけだと思いますよ」

「そっかー......異変だったら、解決しに行きたかったのになぁ。魔理沙とか霊夢にも出来るんだし、私にも出来ると思うんだけどなぁー」

「......出来れば、危険だからやめて欲しいですけど、フランが楽しめるのなら、機会があればやってみましょうか」


 確か、お姉様も異変解決に行ってたからね。......ん? 何か忘れてるような......。


「もー! 私の負けでいいー!」

「私に勝つなんて千年早いわー」

「むぅ......はぁー! もう疲れたー。怒る気力もないー」

「終わったみたいですね」

「うん、そうみたいだね。ルナー、こいしー。かまくら一緒に作ろー」

「ん、分かった。こいし、貴女も早く行こっ」

「敗者が勝者に命令するかー。でもいいよー」


 あの性格は無意識だから仕方ない......のかな? もうわざと言ってるようにしか見えないけど......。


「......怒るのは我慢してあげる......。オネー様、後で、ね?」

「どうしてそこで私に!?」

「レナ、諦めるのも時には肝心なんだよ?」

「貴女のせいですけどね!?」

「お姉様、落ち着いて。大丈夫だよ。私がついているから。......止めはしないけど」


 うぅ、みんなして私を......。もういいもん。後でお姉様に慰めてもらおうっと。


「あ、お姉様。桜ってさ、綺麗なのかな?」

「綺麗ですよ。冬があけたら、見に行きますか?」

「え? ......うん、そうしよ! 咲夜や美鈴達も連れて行こうね!」

「はい、みんなで行きましょうか」

「あ、その時は私も行くよー。多分、ほとんど邪魔にしかならないけどね!」

「それが分かっているのならおやめください」


 これも無意識に言ってることなんだろうけどさ......。やっぱり、こいしは全然読めないや。


「でも、オネー様。冬っていつになったらあけるの?」

「それは、勿論、もう、すぐ......あ!」

「急に大声を出してどうしたの?」

「い、いえ。何でもありませんよ。それよりも、いつあけるかですね。多分、五月くらいにはあけますよ」


 そう言えば、忘れていた。

 今年、『春雪異変』があるから、冬があけるの五月よりも先だ......。


「ふーん、結構待つんだ。ま、気長に待つしかないよね」

「それまで、こうして雪で遊べるなら私はそれでもいいかなぁ。お姉様も一緒に遊んでくれるし、レミリアお姉様もたまに来てくれるし、私はそれで充分だよ」

「......うん、私もフランと同じ意見。冬があけるまで、こうして遊んでよっか」


 うーん......異変を早く解決する為に手を打つか......それとも......。


「お姉様? どうしたの? 早くかまくら作ろー」

「......そうですね」


 流れに任せるか。わざわざ妖怪である私が手を出すのもねぇ。

 そんなことを考えながら、今日もいつも通りの一日を過ごした。ちなみにこの後、何故かルナに八つ当たりされたりする────

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