ろくでなしの最後の善意
今日も、曇天の空模様。
偽りの理由を付け、金をせびる。
今日も、昨日と同じむしり取った金で、酒屋でビールを2本買い、それを一気に飲み干し、向かう先はいつもと同じパチンコ屋。 逃げるように家を飛び出し、耳に残る、家内の悲痛な叫び声、頭の片隅には残るが、朝から、夜勤明けの警備員、キャバクラのお姉ちゃん、ニートのお兄ちゃんたちに混じり、土建屋の社長だと偽り、他愛もない会話に参加している。
もうその時点で、自分の心は、有頂天だ むしりとった、ポケットの中のかね、耳に残っていた叫び声もどこふく風である。 そんな快楽的な状態も、物の数時間で、帰えうせ、いきと同じように、酒をあおり、家路に向かう。どうしよう、どうしよう、思いつくのは、とうていすぐに見破られるような、偽りのシナリオだ。翌日も、その先も、嘘のシナリオをだしに金をむしりとる。 さすがに自分でも、こりゃあ、病気かな、自分なんて存在しない方が、お前のためになる、死んでお前に償う、必ず立ち直りお前を楽にさせてやる。すべての思いを、彼女には伝えているつもりでも、心の奥底には、明日も狂人たちの集まるあの場所にゆき、嘘、偽りの自分を演じてみたい。こんな自分にも、転機が訪れてくれた。金もなく、ふて寝をし、見ていた薬物依存症のテレビであった、自分が映し出されているようで、あまりの嫌悪感で、流しではいた。今専門医にかかり、半年が過ぎようとしている。
だが、私の傍らには、もう、妻の姿はない。今、恋人、家族であるいている人々を見ると、ほほえみさえでてくる。しかし、私に、償い、楽しみ、喜びを共感していける大切な人はいないし、声も聞けず、ただ一人三つの部屋のある家で、べての明かりをつけ、テレビをつけ、一人一番小さな部屋の片隅に、布団を丸め込み、小さくなり一日をすごしている。