初執筆
友人に誘われて始めた小説だったが、どうやって書けというのだろうか。
なんだか1ヶ月後には同人誌を出すと言っているし。
そこに俺のを載せるそうだ。
それまでの間に、俺のレベルをそこまで上げろっていうのは無理があるだろう。
仕方ないので、本業が作家の知り合いに助言を求めることにした。
「どうでしょうか」
その人は、友人の兄で、今の担当さんと一緒に喫茶店にいた。
「どう思う?」
俺が書いたものを担当さんに回してくれる。
「そうねー…」
その目は、真剣そのものだ。
数分間見続けてから、唐突に言った。
「同人誌に乗せるのだったら、まあ、これぐらいでも問題ないと思うわ」
書いた紙を返してもらって、そういった。
「ただ、これを商業誌に乗せるのは無理ね。そっちだったら、まだまだ突っ込みがいがあるんだけど?」
「それは、また次回ということで」
俺はお墨付きをもらったような気がして、お礼を言ってから喫茶店を飛び出した。