一房のモノローグ
ようこそ、お越しくださいました。
本作は、どこか青く不器用な少年・海斗と、彼を惑わす大人の女性・夏子との、少し背徳的で切ない一瞬を描いたショートストーリーです。
甘い部屋の匂いや、夕暮れの陽光が織りなす濃密な空気感とともに、ふたりの距離感をお楽しみいただければ幸いです。
どうぞ、最後までお付き合いください。
よく見てご覧?これはわたしのなぁに?
夏子は、きゅっと首を横に傾げるようなポーズで訊いた。海斗はそれを見てくら、とくる目眩を感じて小さな身体を強張らせた。
女性のベッドは甘く誰かを誘惑しているような匂いがした。緊張していた海斗は、それがシングルでもダブルでもなく、キングサイズのベッドだというのに気づく余裕もなかった。
分厚いピンク色のカーテンの隙間からは、沈みかけの赤みを帯びた日光が入ってきていた。
「ん?」
海斗が何か言ったような気がして、夏子が訊き返した。が、彼は夏子の胸の豊満な膨らみに心を奪われ、視線もそこに釘付けであったから何も言わなかったのだ。
「お……」
2分してから、彼が口を開いた。
「お?」
彼は再び口を閉じた。唇が固く閉じられているのが外見からもわかった。
その仕草に夏子は堪らない愛おしさを感じた。夏子は海斗のまだ弱々しい掌をそっと握った。その手を両手で包むように丸めた。掌に男らしい熱い体温を感じ、陰唇内部を湿らせた。
しかし、そこで夏子は唐突に、残酷言葉を投げかけるのだ。最初から言わなければならないのを分かってはいたのだが……。あまりの愛おしさについ意地悪をしたのだ。
「あ、そろそろ会社から旦那が帰ってくるからおしまいよ。今日は帰って宿題をして寝て頂戴。ゴメンね」
「大人なお姉さんに翻弄される年下男の子」の甘い雰囲気が、ラストの一言ですべてひっくり返るギャグ展開を楽しんでいただけたら幸いです。
官能小説のような濃密で妖艶な空気感から、まさかの「宿題」という現実に引き戻される海斗くんの落差を目指して書きました。夏子さんのいじわるな魅力と、翻弄される海斗くんのリアクションを楽しんでもらえたら嬉しいです。




