第5話:ギルド登録はテンプレ通りに
エルフの村を救い、神話級の武器(孫の手)を手に入れた俺は、アリアの強い希望により彼女を旅の供として連れて行くことになった。
「深淵の盟主様のお世話係として、一生お仕えいたします!」と目を輝かせるアリアを無下に断ることもできず、俺たちは最寄りの大きな街へとやってきた。
異世界テンプレのお約束に従い、まずは路銀を稼ぐために『冒険者ギルド』の扉を叩く。
カランコロン、と少し錆びたベルが鳴る。
昼間のギルド内には酒の匂いが充満しており、いかにも荒くれ者といった風貌の冒険者たちが、新入りの俺たちを品定めするようにジロジロと睨んできた。
「おいおい、なんだあのヒョロガキ。しかもエルフの極上美女を連れてやがる」
「腰に差してる武器、なんだあれ? 竹の棒キレじゃねえか。ギャハハハ!」
典型的なモブ冒険者からのテンプレ絡みである。
『異世界転生・召喚板』
64 名前:名無しの転生者
おっ、冒険者ギルドキタコレ!
65 名前:名無しの転生者
テンプレすぎるモブの煽りたすかるwww
66 名前:名無しの転生者
孫の手バカにされてんぞイッチ!
67 名前:名無しの転生者
とりあえず受付行け。実力見せつけて黙らせるのが王道だろ。
俺はモブたちの嘲笑をスルーし、ギルドの受付嬢の元へと向かった。
そばかすが似合う受付嬢は、プロの愛想笑いで俺たちを出迎えてくれた。
「冒険者登録ですね! では、こちらの『魔力測定水晶』に手を触れてください。魔力量に応じて初期ランクが決定されます」
……デジャヴだ。
第1話で王城を追放された時と全く同じ流れである。嫌な予感しかしない。
俺が恐る恐る水晶に手を伸ばそうとした、その時だった。
68 名前:名無しの転生者
おい待て。普通に測ってどうする。
【安価】ランク測定の方法 >>75
69 名前:名無しの転生者
wktk
70 名前:名無しの転生者
普通に手で触る
71 名前:名無しの転生者
アリアちゃんに「お先にどうぞ」とイケメンボイスで紳士的に順番をゆずる
72 名前:名無しの転生者
水晶にキスする
(中略)
74 名前:名無しの転生者
孫の手に魔力込めて測定
75 名前:名無しの転生者
神話級の孫の手で水晶をフルスイングで叩き割りながら、「私の戦闘力は53万です」と冷徹な宇宙の帝王風に言い放つ
「お前ら本当に訴えるぞ!!!」
脳内でブチギレる俺だったが、安価の強制力には逆らえない。
俺はスッと目を細め(冷徹な帝王のつもり)、腰から神話級のアーティファクトである『孫の手』を静かに引き抜いた。
「えっ……お客様? あの、手を触れていただくだけで……」
戸惑う受付嬢。背後から「なんだあいつ、棒切れを取り出して……」とモブたちのざわめきが聞こえる。
俺は孫の手を大きく振りかぶった。そして、血を吐くような羞恥心を必死に隠しながら、冷たく言い放った。
「私の戦闘力は、53万です」
バキィィィィィィィィィィィィンッ!!!!
孫の手が水晶に直撃した瞬間。
かつてないほどの轟音と共に魔力測定水晶が粉々に砕け散り、圧縮された膨大な魔力が黄金の竜巻となってギルド内部を吹き荒れた。
「ぎゃあああああああ!?」
「な、なんだこの魔力はぁぁぁぁっ!?」
つい先程まで俺を嘲笑っていた荒くれ者たちが、暴風に巻き込まれて次々と壁や天井に叩きつけられていく。
ギルドの窓ガラスは全て吹き飛び、頑丈な石造りのカウンターすらもひび割れた。
76 名前:名無しの転生者
やりすぎィ!wwww
77 名前:名無しの転生者
53万どころじゃない魔力放出してて草
78 名前:名無しの転生者
ギルド半壊してんじゃねーかwwww
黄金の暴風が収まった後、ギルド内は静まり返っていた。
モブ冒険者たちは全員白目を剥いて気絶しており、辛うじてカウンターの下に隠れて無事だった受付嬢は、ガクガクと震えながら俺を見上げている。
「す、すず、鈴木様……測定不能、いえ……特例の『Sランク』として登録させていただきますぅぅぅ! ど、どうか命だけはぁぁぁ!」
泣きながらSランクのギルドカードを差し出してくる受付嬢。
「……ありがとうございます(ごめんなさい)」
こうして俺は、初日のギルド登録にて「孫の手一本でギルドを半壊させた、戦闘力53万のヤバい奴」という、絶対に拭えない最悪の異名を轟かせることになったのだった。




