第21話:神話級・王様ゲーム〜魔娘の激烈・萌え萌えキュン♡〜
「……暇だな」
「……暇ですね」
「……暇だのう」
勇者がスーパーカップを超特急で買いに地上へと向かってから数時間。
奈落の間のコタツ組(俺、女神、魔娘、リッチ、エルフ、古竜)は、完全に手持ち無沙汰になっていた。
ダンジョン100階層の往復ともなれば、いくら勇者でも数日はかかる。
みかんを食べるのにも飽き、俺たちはただコタツのヒーターの赤い光をぼんやりと見つめていた。
『異世界転生・召喚板』
274 名前:名無しの転生者
勇者のパシリRTA、まだかかりそうだな。
275 名前:名無しの転生者
絵面が完全に「正月の親戚の集まり」で草
276 名前:名無しの転生者
暇だし、イッチたちでなんかゲームして遊ぼうぜ。
277 名前:名無しの転生者
よし、コタツといえばこれだろ!
【安価】コタツでやる暇つぶしゲーム >>285
278 名前:名無しの転生者
トランプ(大富豪)
279 名前:名無しの転生者
ツイスターゲーム
280 名前:名無しの転生者
人生ゲーム
(中略)
285 名前:名無しの転生者
手作りの割り箸クジで『王様ゲーム』。もちろん王様の命令は【絶対】な!
「おい待て、このメンツで王様ゲームは絶対アカンやつだろ!」
俺が止める間もなく、スキルの強制力が発動。
俺の手元に、スッ……と人数分の割り箸が出現した。一本だけ先端が赤く塗られており、残りの箸には番号が振られている。
「ほう? 『王様ゲーム』とな? なんじゃそれは」
魔娘が興味深そうに身を乗り出す。
「くじ引きをして、赤い印(王様)を引いた者が、番号を指定して絶対の命令を下せる……という遊戯です。……ほら、引いてください」
俺が割り箸を差し出すと、魔娘、女神エルミナ、不死の王、アリアの4人が、恐る恐る一本ずつ割り箸を引いた。
「ふむ……我は『2番』か」
「私は『4番』ですね」
「ワシは『1番』じゃ」
「アリアは『3番』です!」
そして、残った最後の一本を俺が引く。
先端には、赤い印。
「おっ、俺が王様だ」
ピコォォォォォォンッ!!!!
その瞬間、俺の引いた赤い割り箸が太陽のような後光を放ち、ダンジョンの空間全体が【王(俺)と臣下(その他)】という絶対的なカースト空間へと書き換えられた。
「な、なんだこの尋常ではないプレッシャーは……!?」
「わ、私の神としての権能が……この赤い木の棒の前に平伏しているだと!?」
魔娘と女神が、ガタガタと震えながら俺の持つ割り箸を見上げる。
『5ch』スキルの強制力によって、この王様ゲームの命令は「宇宙の真理」よりも重い絶対の法則となってしまったのだ。
286 名前:名無しの転生者
王様キタコレwww
287 名前:名無しの転生者
割り箸(世界を統べる神具)
288 名前:名無しの転生者
よしイッチ! 命令も俺たちで決めてやる!
【安価】王様の絶対命令 >>295
「やめろぉぉぉ! これ以上この世界の偉い人たちの尊厳を破壊しないでくれぇぇ!」
289 名前:名無しの転生者
1番が2番にデコピン
290 名前:名無しの転生者
全員で全裸になって踊る
291 名前:名無しの転生者
3番が1番に告白
(中略)
295 名前:名無しの転生者
2番(魔娘)がフリフリの猫耳メイド服を着て、4番(女神)に向かって全力の「美味しくな〜れ♡ 萌え萌えキュン♡」を実演する
「だからなんでお前らはすぐ異世界にアキバの文化を持ち込むんだよォォォォッ!!!」
俺は血の涙を流しながら、天高く赤い割り箸を掲げた。
「お、王の命令ッ!! 2番は猫耳メイド服を着て、4番に萌え萌えキュンだッ!!」
「えっ? 我(2番)が……?」
「えっ? 私(4番)に……?」
バサァァァァァンッ!!
スキルの絶対法則が発動。
普段は絶対的な威圧感を放っているものの、よく見れば年頃の可愛らしい容姿をしている魔娘の全身が眩い光に包まれたかと思うと、その威厳ある鎧が剥がれ落ち、漆黒のフリフリ・猫耳メイド服へと強制換装された。
ご丁寧に、頭にはネコ耳カチューシャ、背中のコウモリの翼にはピンク色のリボンまで結ばれている。
「な、なんじゃこの破廉恥な布地はァァァッ!? ち、力が……我の魔力が、可愛らしいポーズを取ること以外に使えなくなっておる……ッ!?」
「ヒッ……! こ、こっちに来ないでください魔娘! 普段の威圧感とのギャップが! 破壊力が高すぎて精神が保ちません!!」
コタツの向かい側で、女神エルミナが悲鳴を上げて後ずさる。
しかし、魔娘の体は強制的に女神の正面へと移動し、顔を真っ赤にしながら両手を猫の手にし、涙目でウインクを決めた。
「お、おいしくにゃ〜れ♡」
ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
魔娘の口から放たれた言葉が、その可愛らしい声色とは裏腹に、恐るべき呪詛となって空気を震わせる。
「も、萌え萌え……ッ! キュゥゥゥゥゥゥンッ♡(ドス黒い魔力爆発)」
ドゴォォォォォォォォォォンッ!!!!!
魔娘が恥ずかしさに震えながら両手でハートマークを作った瞬間、そこから放たれた「萌え(という名の圧縮された破壊エネルギー)」が女神エルミナを直撃した。
「キャアアアアアアアアッ!? 神の精神防壁が、こんな、こんな可愛くて屈辱的な魔法で破られるなんてェェェェッ!」
296 名前:名無しの転生者
腹痛いwwwwwwww
297 名前:名無しの転生者
魔娘のメイド服(ギャップ萌えの致死量)
298 名前:名無しの転生者
女神様、萌え萌えキュンで致命傷負ってて大草原
「ハァ……ハァ……! 我は、我は魔界の姫だぞ……! なんという羞恥……!」
極限まで顔を赤くしてへたり込む猫耳メイド服の魔娘と、ギャップ萌えの直撃を受けて白目を剥いて気絶している女神。
その地獄のような光景を見て、アリアがまたしても両手を組んで震え出した。
「おおお……! 『オウ・サマ・ゲーム』! 絶対的な序列をクジ引きという運命の手に委ね、世界の頂点に立つ者たちに強制的に『メイド(奉仕者)』という屈辱を与えて精神を破壊する、恐るべき平等と混沌の儀式! そしてあの『モエ・モエ・キュン』という神殺しの呪文……! 盟主様は、神すらもオモチャにする盤上の支配者なのですね!!」
「うん、もう今回は本当にごめん(可愛さと呪詛のギャップで俺も精神的にキツい)」
こうして、勇者がアイスを求めて走っている間、奈落の間のコタツでは、神と魔娘の尊厳がネット民の安価によってひたすらに削り取られ続けるのであった。




