第2話:ただの木の枝が聖剣に変わるバグ技
『異世界転生・召喚板』
15 名前:名無しの転生者
よしイッチ、次はその辺の木の枝を拾え。
【安価】その木の枝で>>20
16 名前:名無しの転生者
wktk
17 名前:名無しの転生者
とりあえず素振りだな
18 名前:名無しの転生者
折る
19 名前:名無しの転生者
鼻の穴に突っ込む
20 名前:名無しの転生者
「これが俺の聖剣だ!」と叫んで本気で袈裟斬り
「いや恥ずかしいわ!! 中二病かよ!!」
俺はツッコミを入れながらも、足元に落ちていた手頃な木の枝を拾い上げた。
さっきのゴブリン討伐で確信した。この『5ch』スキルの安価には、絶対的な強制力と理不尽な補正がかかる。
今の俺は丸腰で、ここは魔物がうろつく危険な森だ。恥をかいて生き延びられるなら安いもんである。
俺は木の枝を両手でしっかりと握りしめ、大きく振りかぶった。
そして、顔を真っ赤にしながら森の奥に向かって叫んだ。
「こ、これが俺の聖剣だァァァァッ!!」
ブンッ!!!
ただの木の枝を全力で振り下ろした、次の瞬間。
枝の先端から、眩いほどに輝く極太の光の斬撃が放たれた。
「え?」
ズドゴォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
光の奔流は、立ち並ぶ大樹を次々と消し飛ばし、大地をえぐり、遥か彼方の山を一つ真っ二つにカチ割って、ようやく消滅した。
あとに残ったのは、綺麗に舗装されたかのような一直線の荒野と、その直線状にいて運悪く巻き込まれたであろう、巨大な猪の魔物(ただし黒焦げ)だった。
21 名前:名無しの転生者
ファッ!?
22 名前:名無しの転生者
草
23 名前:名無しの転生者
やりすぎだろwwwwww
24 名前:名無しの転生者
山が消えてて大草原
イッチのステータス、安価実行中だけSTR(筋力)カンストしてんなこれ
25 名前:名無しの転生者
てか、あの黒焦げになったデカい猪って、この森のボス『フォレスト・ボア(災害級)』じゃね?
開始10分でエリアボスワンパンは草生える
「嘘だろ……これ、ただの落ちてた枯れ枝だぞ……?」
手元を見ると、高出力のエネルギーに耐えきれなかったのか、木の枝はサラサラと灰になって崩れ落ちた。
26 名前:名無しの転生者
>>25 マジかよ。イッチ、とりあえずボスのドロップアイテム拾っとけ。
おっ、あっちから誰か走ってくるぞ。
27 名前:名無しの転生者
うお! エルフの美少女キタコレ!!
視界の端、俺が切り開いてしまった「光の道」を辿るようにして、一人の少女がこちらへ走ってくるのが見えた。
透き通るような金髪に、長く尖った耳。間違いなく王道ファンタジーでお馴染みのエルフだ。
しかし、彼女はボロボロの服を着ており、ひどく怯えた表情をしていた。
「あ、あの! 今の凄まじい一撃は、貴方様が……!?」
「え、あ、はい。まあ、そんなところです(木の枝でやりましたけど)」
エルフの少女は、俺の顔を見るなりバタッとその場に土下座した。
「どうかお願いです! 私の村を……邪悪なオークの軍勢から救ってください!! お礼はなんでもします!!」
異世界テンプレ、美少女からの村人救出クエスト発生である。
俺がどう答えるか迷っていると、目の前の半透明ウィンドウが猛烈な勢いで滝のように流れ始めた。
28 名前:名無しの転生者
うおおおおお!エルフチャン!!
29 名前:名無しの転生者
なんでもするって言ったよね!?
30 名前:名無しの転生者
イッチ!これは受けるしかない!!
【安価】エルフへの返答>>35
31 名前:名無しの転生者
もちろん助けるぜ!
32 名前:名無しの転生者
金ならいくらだ?
33 名前:名無しの転生者
一緒に逃げよう
34 名前:名無しの転生者
面倒くさいからパス
35 名前:名無しの転生者
「ふっ、俺の右腕の黒炎竜が疼き出したようだな……案内しろ(ドヤ顔)」
「だからなんでいちいち俺の黒歴史を抉るような指示にするんだよお前らァァァッ!!」
心の中で絶叫しながらも、俺は自分の右腕を抑え、エルフに向けて最高に痛いドヤ顔を作るのだった。




