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【悲報】異世界転生して与えられたスキルが『5ch』だった件〜無能と追放されたが、ネット民の集合知で最強へと成り上がる〜  作者: 烏丸ぽっぽ


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15/22

第15話:最強の防具は『みかん箱』


 鮮魚市場(と化したギルド)で手に入れた金貨500枚が詰まった重い皮袋を片手に、俺たちは街で一番と噂のドワーフの武具屋『鉄鎚亭(てっついてい)』の暖簾をくぐった。


「いらっしゃ……チッ、なんだ、ヒョロガキとエルフ、それにデカいチワワ(※古竜(こりゅう))の組み合わせか」


 カウンターの奥から顔を出したのは、見事な赤髭を蓄えた筋骨隆々のドワーフの親父だった。

 彼は俺の貧相な体格と、腰に差した『竹の棒(神話級の孫の手)』を見るなり、あからさまに鼻で笑った。


「冷やかしなら帰んな! ウチは本物の戦士にしか武具を売らねえ主義なんだよ!」


 いかにも「頑固な凄腕鍛冶師(かじし)」というテンプレ通りの反応だ。

 俺は無言でカウンターに金貨の入った袋をドンッと置いた。チャリン、と黄金の重い音が響く。


「……ッ!? こ、こりゃあ……!」

「金ならある。俺に合う『最高の防具』を出してくれ」


 ドワーフの親父は目の色を変え、慌てて店の奥の厳重な金庫から、布に包まれたひとつの鎧を取り出してきた。


「へ、へへっ、旦那! これぞワシの最高傑作、『オリハルコンのフルプレート』だ! どんな魔法も弾き、ドラゴンのブレスすら耐える伝説の逸品……これを着れば、旦那も無敵の騎士になれるぜ!」


 おおっ、めちゃくちゃカッコいい!

 白銀に輝く重厚な鎧。これぞ男のロマン、ファンタジーの醍醐味(だいごみ)である。

 俺が目を輝かせてオリハルコンの鎧に手を伸ばそうとした、その時だった。



『異世界転生・召喚板』

194 名前:名無しの転生者

お、ドワーフの武器屋イベントキタコレ!


195 名前:名無しの転生者

オリハルコンとかテンプレすぎて草


196 名前:名無しの転生者

イッチがまともな装備を着れると思うなよ?

【安価】イッチの最強の防具 >>200


197 名前:名無しの転生者

女子用のビキニアーマー


198 名前:名無しの転生者

防御力を完全に捨てて全裸になり、首に派手な柄のネクタイだけを締めて「これが真のクールビズだ」と爽やかに決める


199 名前:名無しの転生者

スク水


200 名前:名無しの転生者

オリハルコンの鎧を鼻で笑い、店の隅のゴミ捨て場にあった『みかんの段ボール箱』をすっぽり被って、「これが難攻不落の機動要塞、ミカン・バコだ」とドヤ顔で言い放つ



「なんでだよォォォォォォ!! 普通にカッコいい鎧着させてくれよォォォ!」


 心の底からの叫びは、無情なるスキルの強制力によってかき消される。

 俺はオリハルコンの鎧からスッと手を離すと、「フン」と鼻で笑って背を向けた。


「だ、旦那? どうしたんで……」


 俺は店の隅に積まれていたゴミの山から、なぜか異世界に存在する『みかん(産地直送)』と書かれたボロボロの段ボール箱を拾い上げた。

 そして、その箱の底をぶち抜き、頭と腕を通す穴を開けると、自分の上半身にすっぽりと被った。


「な、何をしてるんだアンタは……!?」


 唖然(あぜん)とするドワーフの親父に対し、俺は段ボール箱の隙間から鋭い視線を送り、低く響く声でドヤ顔を決めた。


「オリハルコンだと? 笑わせるな。……これが、難攻不落(なんこうふらく)の機動要塞『ミカン・バコ』だ」


 ピコォォォォォォンッ!!!!


 スキル確定音と共に、俺が被ったただのみかん箱が、一瞬だけ鈍いチタンのような輝きを放った。


「ふ、ふざけるなァァァッ! ワシの最高傑作をコケにして、そんな紙切れの箱を……! なら、その箱ごとワシのハンマーで叩き潰してやる!」


 ブチギレたドワーフの親父が、鍛冶用の巨大なミスリルハンマーを振り上げ、俺の段ボール箱(胴体)めがけてフルスイングで叩きつけてきた。


「危ない、盟主様ッ!」とアリアが叫ぶ。


 しかし、俺は微動だにしない(安価のせいで動けない)。


 ガゴォォォォォォォォンッ!!!!


 すさまじい金属音が店内に響き渡った。

 しかし、吹き飛んだのは俺ではなく――ドワーフの親父の持っていた『ミスリルハンマー』の方だった。


 ハンマーのヘッド部分は無惨(むざん)に粉砕され、俺の被っている『みかん箱』には、傷はおろか、凹みひとつ付いていない。


「なっ……ば、馬鹿な!? ミスリルのハンマーが粉々に……! この箱、打撃エネルギーを完全に吸収(無効化)しやがったのか!?」



201 名前:名無しの転生者

みかん箱(絶対防御)wwwwww


202 名前:名無しの転生者

オリハルコン超えてて大草原


203 名前:名無しの転生者

某潜入アクションゲームの最強装備かな?



 ドワーフの親父が腰を抜かしてへたり込む中、アリアがいつものように両手を組んで感涙にむせび始めた。


「ああ……『ミカン』……すなわち『未完(みかん)』! 決して完成されることのない、無限の拡張性と可能性を秘めた宇宙の真理! そして『バコ』……箱という完璧なる六面体の幾何学装甲! 盟主様は、この世界のあらゆる物理法則を、その紙の装甲一枚で超越してしまわれたのですね!!」

「うん、もうマジでそれでいいよ……」

「た、完敗だ……。ワシのオリハルコンなんかより、その『ミカン・バコ』の方が遥かに恐ろしい伝説の防具だ……! 旦那、アンタこそが真の戦士だ!!」


 ドワーフの親父までが、段ボール箱を被った俺に向かって土下座を始めた。


 かくして俺の装備は、


右手:神話級の孫の手

胴体:みかん箱

ペット:ちくわ(古竜)


 という、完全に正気を疑う不審者スタイルへと進化を遂げたのだった。

 街を歩くたびに子供に指を指されるのは、言うまでもない。


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