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【悲報】異世界転生して与えられたスキルが『5ch』だった件〜無能と追放されたが、ネット民の集合知で最強へと成り上がる〜  作者: 烏丸ぽっぽ


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14/22

第14話:冒険者ギルドは鮮魚市場〜朝獲れ・成層圏経由の盗賊はいかが?〜


「チワワちゃ~ん、よしよし」

「キュルルン♡(ズシン、ズシン!)」


 街の通りを歩く俺たちの周りには、平和な光景が広がっていた。


 俺の『5ch』スキルが引き起こした概念改竄(がいねんかいざん)により、街の住人たちは体長20メートルの巨大な古竜(ちくわ)を、ちょっと大きいだけの愛らしいチワワとして完全に受け入れていた。


 ちくわが尻尾を振るたびに民家の屋根瓦が吹き飛んでいるが、誰も気にしない。

 認知の歪みとは恐ろしいものである。


 さて、俺たちがこの街に来た第一の目的は、宇宙旅行(ラジオ体操)から帰還した盗賊団のリーダーをギルドに突き出し、賞金をもらうことだ。


 俺の右手には、大気圏突入時の摩擦熱で全身がアフロヘアーのように黒焦げになり、ちくわのヨダレまみれになって白目を剥いている盗賊のリーダー(の足)が握られている。

 完全に硬直しており、もはや丸太のようだ。


 街の中央にある立派な冒険者ギルドの扉を蹴破り、俺はカウンターへと向かった。


「すいません、賞金首を捕まえたんで換金したいんですけど」

「いらっしゃいませ!……ひっ!?」


 受付嬢が俺の引きずってきた黒焦げの丸太(盗賊)を見て、悲鳴を上げた。

 ギルド内にいた冒険者たちも「おい、あれ『疾風の牙』の頭領じゃねえか?」「なんで消し炭みたいになってんだ……?」とざわめき始める。



『異世界転生・召喚板』

182 名前:名無しの転生者

お、換金イベントやんけ!


183 名前:名無しの転生者

盗賊の頭領、完全にマグロみたいにカチカチで草


184 名前:名無しの転生者

イッチ、普通に渡すだけじゃつまらんぞ。

【安価】受付嬢への賞金首の渡し方 >>190


185 名前:名無しの転生者

ゴミ箱に捨てる


186 名前:名無しの転生者

「これ、俺の親父なんだ……」と泣き崩れる


(中略)


189 名前:名無しの転生者

サインを求めてから渡す


190 名前:名無しの転生者

エアねじり鉢巻を締めるポーズをして、盗賊のハゲ頭をマグロのようにパンパン叩きながら「へいらっしゃい!本日の朝獲れ、成層圏帰り!脂の乗った極上盗賊一丁!競りはいくらからだァ!?」と市場のノリで叫ぶ



「だからなんでお前らはすぐ異世界を別の空間に変えようとするんだよォォォォ!!」


 俺の嘆きをよそに、スキルの絶対法則が発動する。


 俺はギルドのカウンターに黒焦げの盗賊をドサァッ! と横たわらせると、見えない手拭いで頭に「ねじり鉢巻」をキュッと締める動作をした。

 そして、盗賊の頭を魚の品定めをするようにパンパンッとリズミカルに叩き、腹の底からドスの効いた声を張り上げた。


「へいらっしゃい!! 本日の朝獲れ、成層圏帰り!! 脂の乗った極上盗賊一丁!! さあさあ、競りはいくらからだァ!?」


 ピコォォォォォォンッ!!!!


 スキル確定音がギルド内に響き渡った瞬間。

 俺の放った「競り」という概念が、ギルド全体の空間と人々の認識を強制的に書き換えた。


「――ッ!!」


 ギルドマスターが血相を変えて奥から飛び出してくる。その頭にはなぜか「豊洲」と書かれたキャップが被せられていた。


 周囲の荒くれ冒険者たちも、武器を置き、一斉に指で独特なサイン(市場特有の手やり)を作りながら、目を血走らせてカウンターに殺到した。


一番(ギルドマスター)! その朝獲れ盗賊、金貨100枚でどうだ!」

「甘え甘え! 成層圏帰りの極上モンだぞ! ウチが金貨150で貰うぜ!」

「なんだと!? じゃあウチは金貨200だ!」

「金貨300! その黒焦げのアフロ部分の身が一番美味いんだ!」


 カランカランカランカラン!!(※競りの鐘の音)



191 名前:名無しの転生者

ギルドが鮮魚市場と化してて大草原


192 名前:名無しの転生者

アフロ部分の身ってなんだよwwww


193 名前:名無しの転生者

イッチ、見事な大将っぷりだぜ!



 狂乱の競り市が開催される中、俺はただ遠い目をしていた。

 ただの賞金首の引き渡しが、なぜか「謎のマグロ(盗賊)のオークション」に変貌してしまったのだ。


「……金貨500! 金貨500枚でウチが落札だァァァッ!」

「くそっ、持っていかれたか……!」

「見事な競り落としだ、一番!」


 最終的に、ギルドマスターが涙を流しながら金貨500枚(通常の賞金の約50倍)という大枚を叩いて、黒焦げの盗賊を競り落とした。


 その異様な光景を後ろで見ていたアリアが、またしても両手を握りしめ、感極まったように叫んだ。


「ああ……なんという事でしょう! 血生臭い冒険者ギルドという空間を、己の言霊一つで『公平な経済取引のセリ』へと作り変えてしまわれるとは……! 人の闘争本能を商魂へと昇華させる、これぞ伝説の平和魔術『フリーマーケット』!! 盟主様の御心は、海よりも深く広いのですね!!」

「いや、ただの悪ノリだから……。ていうかギルドマスター、その黒焦げの盗賊買ってどうするの……?」

「へへっ、大将! こいつは今夜、ギルドの皆で美味く解体(じんもん)させてもらうぜ!」


 ねじり鉢巻姿のギルドマスターが、満面の笑みで親指を立てた。


 俺の財布は異様に潤ったが、代わりに冒険者ギルドの尊厳は完全に地に落ちた。

 5chの安価に支配された俺の行く先々で、異世界の常識が次々と崩壊していくのだった。


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