第10話:手のひら返しのお姫様? 悪いが俺は『二次元(エルフ)』しか愛せない
勇者の最強攻撃を小学生のバリアでへし折り、完全に王城の空気を制圧した俺。
絶望的な戦力差(主に神話級の孫の手と古竜)を前に、国王はガタガタと震えながら俺の足元にすがりついてきた。
「す、鈴木様ぁぁぁっ! わ、わしが愚かじゃった! どうか、どうかこの国を滅ぼすのだけは勘弁してくだされぇぇ!」
「あー……まあ、俺も別に国を滅ぼしたいわけじゃないんで」
俺が呆れ気味にため息をつくと、国王はパッと顔を輝かせた。
「おお! さすがは底知れぬ力を持つ御方、なんという慈悲深さ! お詫びと言ってはなんですが、我が国が誇る第一王女、フレアを貴方様の妻として差し上げましょう!」
「お父様ったら……もうっ♡」
国王の背後から、わざとらしく頬を染めた金髪の美女――フレア王女が進み出てきた。
そして、これ見よがしに豊かな胸の谷間を強調しながら、俺の腕にすり寄ってくる。
「鈴木様……私、最初から貴方様は特別な殿方だと信じておりましたわ。さあ、私と共にこの国を……いえ、世界を統べましょう?♡」
上目遣いでの色仕掛け。
……いや、お前、俺が追放された時「あんなキモい無能がいなくなってせいせいするわ」って一番デカい声で笑ってたの、しっかり聞こえてたからな。
*
『異世界転生・召喚板』
130 名前:名無しの転生者
出たー!なろう特有の「手のひら返しビッチ姫」だ!!
131 名前:名無しの転生者
うっわ、媚び方エグッwww
132 名前:名無しの転生者
イッチ、こんな薄っぺらい女に騙されんなよ!
133 名前:名無しの転生者
ここはガツンと振ってやるのが男ってもんだろ。
【安価】すり寄ってくる姫への断り方 >>140
*
「おっ、今回はまともな安価の予感……!」
俺は少しだけ期待した。カッコよく「お前の薄汚い魂などいらん」とか言って突き放せばいいんだな?
134 名前:名無しの転生者
金だけむしり取る
135 名前:名無しの転生者
孫の手でケツバット
(中略)
139 名前:名無しの転生者
「お前よりちくわの方が可愛い」とマジレス
140 名前:名無しの転生者
真顔で「悪いが、俺は『二次元』にしか興奮しないタチでね」と言い放ち、アリアを米俵のように肩に担いで、窓から「あばよ!」とスタイリッシュ・ダイブする
*
「だからなんで最後は絶対キモオタ&脳筋ムーブになるんだよお前らァァァッ!!」
安価の強制力発動。
俺はすり寄ってくるフレア王女をスッと冷たい瞳で引き剥がした。
「す、鈴木様……?」
戸惑う王女に対し、俺はキリッとした真顔を作って言い放った。
「悪いが。俺は『二次元』にしか、興奮しないタチでね」
「……は? にじ……げん?」
意味不明なオタク用語に王城の者たちが全員フリーズする中、俺は背後に控えていたアリアにツカツカと歩み寄り、彼女の腰を掴んで「よいしょっ」と米俵のように右肩に担ぎ上げた。
「ひゃうっ!? め、盟主様!?」
アリアが顔を真っ赤にして驚く。
「あばよ!!」
俺はそのまま、割れた窓ガラスから遥か下方の王都の街並みへ向かって、一切の躊躇なく頭からスタイリッシュにダイブした。
「キャアアアアアアアアッ!?」
アリアの悲鳴が遠ざかる。
もちろん、ただの自殺ではない。
「ちくわァァァァッ!!!」
俺が空中で叫ぶと、バルコニーで待機していた古竜が「ギュオォォォン!」と軽快な鳴き声を上げ、急降下して俺たちを背中で見事にキャッチした。
そのままちくわは巨大な翼を羽ばたかせ、あっという間に王城から飛び去っていく。
*
141 名前:名無しの転生者
最高にダサくて最高にクールwwwww
142 名前:名無しの転生者
姫、ガチでポカンとしてて大草原
143 名前:名無しの転生者
二次元宣言は草生える。イッチ、立派な変態(強者)になったな!
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空の上。ちくわの背中で、肩に担がれたままのアリアがポツリと呟いた。
「め、盟主様……先程の『ニジゲン』とは、いかなる意味なのでしょうか?」
「えっ? ああ……神聖なる……選ばれし者のみが到達できる、至高の領域のことだよ(適当)」
俺がごまかすように言うと、アリアは感極まったようにポロポロと涙を流し始めた。
「至高の領域……! つまり、盟主様は私のことを、神々の次元に等しいほど愛してくださっていると……!? ああ、アリアは一生、盟主様についていきます!!」
「えっ、ちょ、違う、そういう意味じゃ……!」
俺の悲鳴は、ちくわが巻き起こす爆風にかき消された。
王城へのざまぁを終え、圧倒的な力(と羞恥心)を手に入れた俺。
愛用の武器は『孫の手』。相棒は『ちくわ』。そして、完全に俺を狂信してしまったエルフの美少女。
ネット民たちの悪意(安価)に振り回される、鈴木一太の本当の異世界サバイバルは、ここから始まるのだった!




