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大勢の前で婚約破棄を言い渡されましたが、それは幸せへの道の第一歩でした  作者: 明衣令央


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第22話・エランド・ファインズの話


 親子水入らずで過ごすようにと言って、リカルドとステファンは仕事に戻って行った。


 アリアはサリーナと食事の用意をし、両親と弟に振る舞う。




「リカルド様もステファンくんも、素晴らしい男性だね。あんな二人に愛されるお前たちが、私は誇らしいよ」




 そう言ったエランドに、アリアとサリーナは顔を見合わせて笑った。


 自分の愛する人が、父親に褒められたのが嬉しかった。




「本当だよ。リカルド様も、ステファン義兄さんも、二人ともすごく大人でカッコいい。あいつとは大違いだ!」




 クリスが言った、「あいつ」が誰なのか、アリアにはすぐにわかった。




「ウクブレストの王族は、ひどい奴ばかりだ! あの王様も、あの王子も最低の人間だ!」




「クリス! いい加減にしなさい!」




「だって父様! 僕たちは、何も悪くないじゃないか! アリア姉様の事だって、今回の事だって、身勝手な王族に振り回されているだけじゃないか!」




 クリスの言葉に、エランドは深いため息をつき、セリカはハンカチで目元を押さえた。


 辛い話だが何があったかを聞かなければならなかった。




「お父様、何があったか、話してくれませんか?」




 長女であるサリーナが、エランドに尋ねる。


 エランドは、そうだね、と呟くように言うと、話を始める前に、と前置きをした。




「話を始める前に、サリーナとアリアに……言っておく事がある」




「何、でしょうか?」




「クリスはとても怒って、私の事を弱虫だと、不甲斐ない父親だと言ったのだが、私は今回の件、驚きはしたものの、素直に受け入れようと思っているんだ」




「え?」




「どういう事ですか?」




 受け入れるというのは、まさか爵位剥奪と、国外追放の事だろうか?




「まぁ、爵位はすでに奪われ、国外追放をされてしまっているのだけどね。だけど、私はこの状況を、全て受け入れて、これから新しい生活をしていけたらと思っているんだ」




 アリアもサリーナも耳を疑ったが、父親であるエランドの表情は、とても穏やかなように見えた。








 三日後、エランドはフレルデント王宮へと、今回の爵位剥奪と国外追放の件について、話をしに来ていた。


 それには妻であるセリカ、息子であるクリス、そしてサリーナとアリアも同席し、フレルデント側は、フレルデント王家の他、ダーフィル公爵と夫人、そして子息でありサリーナの夫であるステファンが同席していた。




 爵位剥奪と国外追放は、エランドが次期王太子妃になるスザンヌに、アリアへ毒を盛ったのではないかという、疑いをかけたという理由から行われたものだった。


 だが、エランドもセリカもクリスも、そして屋敷の使用人たちも、胸の内には確かにスザンヌへの疑いを持ってはいたが、誰一人としてそれを外に向けて口にした者はいなかった。


 なのにエランドは突然城へと呼び出され、大勢の前で問答無用で罪を着せられて罰せられてしまった。


 エランドや屋敷の使用人がいくら口を閉ざそうと、周りが噂をしており、それを利用されて、無実の罪で罰せられた事になる。




 アリアはこの事を聞いた時、また自分のせいではないかと、己を責めてしまったが、家族は誰も彼女を責めなかった。




 ただ、今回の事は、誰がどう考えてもおかしいと言う。


 いくらスザンヌが次期王太子妃だとはいえ、ファインズ公爵家がその権威を振りかざしてスザンヌに詰め寄ったわけでもなく、ただそういう噂が流れていたというだけなのだから。


 だから今回の件は、公爵家とはいえ、王家に逆らうとこうなるぞという見せしめだったのではないかというのが、エランドの考えだった。


 あとは、何かしらの理由で、ウクブレスト王家は、ファインズ公爵家を遠ざけたかったのかもしれない。




「今回の件、私は、ウクブレスト王家で、何かが起こっているのではないかと思うのです。そして、結果的には爵位剥奪と国外追放という形ではありましたが、ウクブレスト王……ヨハンは、王家で起こっている何かから、私たちを守るために、遠ざけたような気もするのです」




「父様は人が好過ぎるよ!」




 父親の話を発言の後、堪えきれなくなったのだろう、吐き捨てるようにクリスが言った。


 クリスは自分の考えを誰かに肯定してもらいかったのだ。




「僕は許せない! ウクブレスト王も、ディスタルも! あのスザンヌって女も、絶対に許せない!」




「クリス、落ち着いて……」




 隣に座っていたアリアは、優しく弟の背中を撫でた。


 クリスは悔しそうに歯を食いしばって俯く。


 彼は、何度エランドに諭されても、今回の事に納得できないでいたのだ。




「ファインズ公、もしかして、そう思われる理由があるのではないですか?」




 リカルドの言葉に、エランドは頷いた。




「ウクブレスト王であるヨハンは、私の親友です。彼は怒りの形相で私に爵位剥奪と国外追放を言い渡しましたが、その表情はどこか悲しげだとも感じました。それに、彼は爵位剥奪と国外追放を私に言い渡しましたが、身辺整理をするための時間として、三日、猶予をくれたのです。私たちはそれで使用人たちの退職金を用意し、今後の生活を考え、全てではありませんが、いくらかの蓄えを持ち出す事ができたのです」




 本当なら、即日国外追放にする事もできたはずだった。


 だが、ウクブレスト王は大げさに爵位剥奪と国外追放を言い渡した代わりに、身辺整理としてファインズ公爵家に時間をくれた。


 それが、エランドが、ウクブレスト王家で何かが起こっていて、ウクブレスト王が自分たちを守るために遠ざけようとしたと思う理由だった。




「何言っているんだよ、父様っ! こんな事になっているのに、本当にお人好し過ぎるよっ」




 エランドの発言は、クリスにはまだ納得できないものだったらしい。


 アリアはまた俯いて震える弟の背中を撫で、困った表情で父親を見つめた。



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