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透き通る雨に揺られて  作者: YUKI
《第2章》この気持ち
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【第8話_送るよ】

手を繋いだまま少し歩いたあと、雨の表情を見て透が言う。

「今日はもう無理でしょ。家まで送る」

「い、いいって…!大丈夫だから…!」

「さっきフラついたくせに?」

透は軽く眉を上げて、逃がさないように手を少し強く握る。

雨は言い返せないまま、結局透に連れられて家までたどり着く。

玄関前。

夕暮れの色が消えて、周りは静かで、手を離すのが急に惜しくなる距離。

「着いたね」

「……ありがと」

雨が鍵を開けようとした瞬間。

カチン、と小さく鳴った音と同時に、雨の指がまた震える。

透がそれに気づいて、後ろからそっと手を添えた。

「ほら。貸して」

背中越しの距離が近すぎて、雨は息を止めてしまう。

鍵を差し込みながら、透が小さくつぶやいた。

「……ねぇ、雨ってさ」

「な、なに…」

「俺のこと、ちゃんと見てよ」

ドキッ。

鍵が開いた音と同時に、透の指先が雨の手の上に滑る。

「体調悪いのに、がんばって隠すの…俺の前じゃやめて」

雨の心臓はさっきまでとは比べものにならないくらい早い。

それを誤魔化すように雨が言う。

「……透に、そんなこと言われたら……余計無理……」

透がくすっと笑う。

「じゃあさ、中で休んだら?」

「へっ!?入って…!?い、いや、その…部屋散らかってるし…!」

「気にしないよ。心配だから」

本気の顔。

逃げられない。

そして――雨はついに観念して、小さくうなずいてしまう。

透の表情が、わずかにほころぶ。

「じゃあ、おじゃまします」

雨の家のドアが静かに閉まる音。

二人きり。

静かな部屋。

近い距離。

透の視線。

ここから、さらに何かが始まりそうな気配がしたのは、気のせいだろうか。

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