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透き通る雨に揺られて  作者: YUKI
《第2章》この気持ち
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【第7話_夕暮れ】

保健室を出た雨は、まだ熱の残る身体を引きずりながら歩きだす。

夕方の空は少しオレンジで、校舎の影が細長く伸びてる。

「…ちゃんと歩ける?」

横に立つ透は、表情はいつも通りのクールだけど、歩幅を合わせてくれてるのがわかる。

雨はむきになって、

「歩けるし………大丈夫だし」

と前を向いたまま強がる。

でも、階段を降りるときふらっと体が揺れる。

すかさず透の手が、ためらいもなく腕をつかんだ。

「ほら。言ったじゃん、まだフラついてるって」

近い。

距離も、声も、息も。

雨の耳まで色づくのを見て、透は小さく笑う。

「そんな顔するならさ。…ほら、手」

ひょいっと差し出された手。

「え、い、いらないっ…!」

と拒否しようとするけど、透はそのまま強引に指を絡めてきた。

「じゃ、転んだら困るから。仕方ないよね?」

“仕方ない”のに、繋いだ手を離す気ゼロの握り方。

雨は心臓がまた早くなって、息がうまく整わない。

校門を抜けると風が少し冷たくて、透がもう片方の手を自分のポケットに突っ込みながら言う。

「…雨さ、俺のこと避けようとしてない?」

不意打ち。

雨は慌てて首を振る。

「してない…っ!してないけど…その…っ」

透が覗き込むように顔を近づける。

「けど?」

「……恥ずい…だけ…」

その瞬間、透がふっと笑う。

「じゃあ、もっと恥ずかしくなることしていい?」

夕焼けの下で手を繋ぐ時間は、とろけそうなほど甘かった。

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