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【第5話_熱中症】
暗くて狭いロッカーの中。
さっきから呼吸がすごく浅いのに、必死に隠してる気配。
「……っ、なんか、暑い……」
ごまかすように言う声が、少し震えてる。
「……さっきから息、荒くない?」
暗い中で、落ち着いた低めの声が近く響く。
「べ、別に……大丈夫……だから……」
その瞬間、身体がふらっと揺れる。
「っ…!」
すぐ腕が伸びて、肩を支えられる。距離はほとんどゼロ。
「熱、あるじゃん」
触れた手が、一瞬だけ固まる。驚きと心配が混ざった声。
「ほんとに、平気……」
言いかけて、苦しそうに息が漏れる。
「大丈夫じゃないよ」
怒ってるわけじゃない。
でも、心配しすぎて声が少し強くなる。
「隠すなよ。…ずっと見てれば、わかるから」
耳元で落ちてくるような静かな声。
その言葉だけで胸がぎゅっとなる。
「……っ」
返事ができない。息が詰まる。
「倒れられても困るし…ほら、こっち」
そっと身体を引き寄せられる。
抱き寄せるというより、支えるための距離。
「……ち、か……」
息が触れ合う距離。
「仕方ないでしょ。倒れそうなんだから」
言葉は冷静なのに、声はいつもより優しいのは、何故だろうか。




