【第15話_君との朝】[透目線]
カーテンの隙間から差し込む光が、透のまぶたに触れた。
「……ん、もう朝か。」
体を起こすと、隣で眠る雨の寝顔が目に入る。
穏やかで、少し熱っぽい頬。
昨夜の保健室でのことを思い出し、胸がちくりと痛む。
でも、今日は……
なんだかそわそわする。
スマホを手に取り、画面を見る。
通知は特にない。
だけど、心臓が落ち着かないのは、理由を透自身がまだ整理できていないせいだった。
(雨、大丈夫かな……体調…まだ悪くないか…?)
そっと雨の肩に触れてみる。寝息は落ち着いている。
少し安心し、でもまた緊張が戻る。
昨夜、家に“侵入者の気配”があったことを思い出す。
親の位置情報か…それとも……。
思わず、スマホを握りしめる手に力が入る。
「……まぁ、今日は普通に過ごそう。」
自分に言い聞かせて、朝の支度を始める。
雨はまだ寝ているけど、透は目を離せない。
見守るしかできない自分に、少しもどかしさを感じながら。
その時——
雨がもぞもぞと寝返りを打った。
透に気づいたのか、薄目を開けてぼんやり見つめる。
「おはよ…透」
寝起きの声はかすかに掠れていて、だけど柔らかい。
透は笑みを返し、そっと手を握り返す。
「おはよう。昨日は、よく眠れた?」
「うん…透がそばにいてくれたから」
それを聞いた透は、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
昨日の怖かった夜も、今のこの朝も、
“雨と一緒なら乗り越えられる”と思えた。
透は決める——
今日も、雨を守る。
そして、少しずつでも雨に甘えられる存在でいよう、と。




